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特集 ドイツ

Fw190A4 東部戦闘訓練飛行隊 飛行隊長ヘルマン・グラーフ少佐機 フランス 1943年夏 (ハセガワ1/48)

  by 寿



 空冷フォッケの割とポピュラーなタイプです。ただ吸気流量を増やし高空性能を上げる為にスーパーチャージャーのインテークをカウリング内から外に露出したタイプです。最初はこれをよくあるサンドフィルターだと勘違いして「フィルタースリット付いてないぢゃん何やってんのハセガワ様」と勝手に溜息ついていたのは内緒です。ダビデさんに教えて貰わなかったら危うくスリット追加する所でしたよ。ヤバかった・・・・



  塗装はドイツ機の中でも超ハデなヘルマン・グラーフ少佐機。世界で最初に撃墜200機を達成した人物らしいのですが、大戦中には100機オーバーの撃墜王なんて東部戦線にゴロゴロ居ましたから「ソ連機っていったい・・・・」と思わなくもないです。スゴいのは間違いないんでしょうが数が多すぎてイマイチぴんと来ません。坂井三郎の40機オーバーってのがむしろリアルに感じられたりして。それでもソ連は勝ったんだから「量が質を駆逐する」って所なんでしょうかね。堕とされるパイロットはたまったもんじゃありませんけど。



  この「レッドチューリップ」は結構展示会などで目にしますけどわたし的にはハデ過ぎて敬遠していた機体です。別にキライな訳じゃないんですけど「このド派手な塗装で敵をドン引きにさせてやるゼ」みたいなネガティブキャンペーン実施中!なんて考えちゃうわたしはヒネクレ者なんでござんしょうかね?なんつーかドイツ機だってのにこのアメリカ的「ガハハ感」が何だかなーみたいな?折角のどろどろと根暗な、もとい!古く長い歴史を持つヨーロッパの機体なんだから小理屈ひねくり回した「ガハハ感」であって欲しかった。でもそんなこと思うのはやはりわたしがドイツの事を知らなさ過ぎるだけなのでしょうかねぇ。
 ちなみに勝っている国っていうのは程度の差はあれどこの俺様感が付きものですね。アメリカを筆頭に開戦初頭イケイケゴーゴーだったドイツしかり日本しかりです。まぁこーゆー図に乗って天狗状態のお馬鹿な塗装も割と好きなのでこれはこれでいいか。頭ん中が始終お祭りってのは自分自身を見るようで何か無駄な元気が湧いてきますし。「俺は強いぜスゴいんだぞ。うひょう!」みたいな?



  キット的には流石ハセガワ。さくさく作れます。カウリングのパーツ割りがちょびっとメンドイけど、内部のエンジンパーツとの芯をきちんと出してやれば無問題。今回はキットに梱包されてたレジン製のインテークパーツを使用。その為に多少の摺り合わせが必要でしたけど仮組を何度か繰り返せば良いだけの話なので問題ないレベルです。
 やっぱり「丁寧さに勝るテクニック無し」でありますですよ。



 さてプラモ界でドイツ機といえば文句なしに人気のカテゴリーですが世間様では「気になるんだけどもドイツ機はちょっと」って人も割といらっしゃるみたい。
 完全に興味が無い方はさておき気になったり好きになったりしたらチャレンジしてみればよろしいのではと思うんだけれども初見の方にはちょびっと敷居が高いみたい。うんちく人口の多さや底なし沼のごとく濃いディ~プな世界だからびびっちゃうのは仕方がないけれどそれでも手を出さないってのはもったいない話です。コアな人間ってのは何処にでも居るしねぇ。それに誰だって最初は初心者なんだしちょびっとでも琴線に触れたのなら躊躇わず手を出すのが吉かと。別に触ったからって爆発する訳でも無いし。(とかいってホントに爆発したらどうしよう・・・・)



 どーせ模型なんだし誰かから何か言われても「これが俺様の模型道である」と胸張ってればいいのです。プラモは完成した時点でマイワールドが完結しているのです。人生なんて一回こっきりなんだし楽しんだ者勝ちですよ。でもその煽りを喰らってお手つきのキットがバカスカ増えてってるのは内緒だけれど。
 色んなものにチャレンジするのは良いのだけれどその都度に作りかけ、いわゆるお手つきットが増えてゆくというこの不思議。謎だ、ミステリーだ、であります。
 いやね、作ってるのは楽しいんだけれども必ずしも手元のキットだけに脇目もふらず一点集中って訳じゃ無いってのがちょっとね。分かってます分かってます一機完成してから次に移るのが筋なのだと、よ~く分かってるんです。魂に刻まれた戒律として身に染みているのです。でも理解出来ているからと言って実行出来るとは限らないのがモデラーなんだよなぁ。



 欲しかったキットを買う→買って直ぐに作り始める→その途中で気になるキットが出る→思わず買っちゃう→買ったその日に箱を開けて・・・・っていう際限の無い無間地獄。延々と輪廻する欲望のメリーゴーランドに乗っちゃってるような気がする。最初の数日は並行作業で進めるけれどその内どちらか片方が「一旦お預け」に為っちゃうのが何と言うかかんと言うか。確かに同時に色んな味のキットを作るのは楽しいけれど一機に投入する筈のリソースが他に逸れて完成が遠のくのは本末転倒かもなぁ。
 しかし遅れたとてそのうち(此所がミソ。或いは癌)手数でフォローするから無問題なのだと居直る訳です。「一時預け」であって「中止」ではないのであります。勢いに任せて走り続ける自転車操業的なプラモ生活が快感なのです。至福なのです。
 悪魔の甘い囁きも平然と呑み下し呪いとしか思えぬキットですらも一興であるとのたまう脳天気。積みプラ山の標高は高くなるばかり。負けて堪るかとばかりにお手つきットも等比級数的に増殖してゆく一方。懲りないというか手の施しようがないというか、ああもうどうしたもんやら。
 まぁあれですね。数々のお手つきット同士がせめぎ合い其所からにじみ出した何某かがモデラーにキットを完成せしめているのですよ。それがお手つきの存在意義、持て余した欲求を注ぎ込む為の器であり完成の暁を幻視させるモデラーの救いなのであります。



 資料が足りないだとかキットが間違っとるだとか上手く完成させられないだとか他のモデラーの目が恐いだとかお手つきットが増えるのはカンベンだとかメッサーの足は脆弱だとか双発機の窓枠が無駄に多いだとかネガティブな事ばかり考えてちゃ駄目ですよ。ドイツ機マニアには特にそーゆー要ICU「ご家族の皆様はお覚悟をお願い致します」的重篤な御仁が多々御生息あそばされていらっしゃるように見受けられますが、果たしてわたくしの偏見なのでしょうかね。
 願わくば新参のファンには生あったかい目で見守る度量と枷と鉄鎖でがんじがらめになった黒十字を背負う者の懐の広さとを見せ付けては如何かと愚考する所存。
 モデラーがキットを作るのは其所にキットがあるからなのです。登山家が山に登るのは上手く登れるからじゃないでしょ?山を知り尽くしたからでもなく誰かに見てもらいたい訳でも絶対なくって其所に山が在るからとのたまっていらっしゃるじゃありませんか。モデラーだって一緒ですよ。
 箱を開けて開封し取説読んでニッパーを手にとってパーツを切り出す。誰に何の断りや言い訳が必要でありましょうか。
 ドイツ機なんぼのもんじゃい。知らなくってもキットは組める。もちろん色々と知った方がより楽しくなるけれどそれは絶対条件じゃないしね。
 作りたいものを作りたいときに作る、何という贅沢。
 何という至福。
 プラモは愉しんで作らなきゃね。それが一番であります。



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