Home  > ライサンダー (マッチボックス 1/72)> 特集 蛇の目>2021年2月号

特集 蛇の目

  ライサンダー (マッチボックス 1/72)

  by 加藤 寛之

 マッチボックスは、精密ではない。そんなものを目指していない。もしも会社の人に聞いたら、「精密じゃないですね。暇つぶしのおもちゃですよ」と言ったと思う。精密でも途中で箱を閉めてしまうような製品でなく、“なんだよ、これ”とか言いながらちゃんと完成する、そんな製品だ。だから、私は大好きだ。



 このキットは20年くらい前に作ったことがある。
 何の理由もなく箱を開けて作り始めた。
最初に、主脚から組む。脚のタイヤは、半分に切ってあとで差し込めばいいので、スパッツだけで接着してしまう。接着面を丁寧に整形することで隙間を生じないようにする。スパッツがしっかり固まったら、前端に穴を掘って前照灯を作る。貫通させてしまい、裏にプラ板をあてて底をつくる。前から穴に瞬間接着剤を適量入れて固めると、丸みのある窪みになる。その後に銀で塗り、透明レジンを膨らむように詰めて、オシマイ。
次は胴体。コックピットは床板に椅子2こ、主翼の台座、後席には弾薬ケースらしい凸モールドの板と機銃があって、終わり。計器盤と操縦桿はない。模型で操縦することはないので、いらないのだ。私は床板だけを挟んで胴体左右を接着、それ以外は後から入れることにした。こうすることで、風防パーツとの擦りあわせが簡単になる。



 胴体左右は、まあ合う。風防を着ける部分の胴体を整形、小物を組み込んで風防パーツを胴体に接着した。
次に水平尾翼を胴体に接着する。大きな垂直尾翼と直交するように接着する。これは結構うまく直交するが、多少の隙間はできる。隙間にパテを擦りこんでから溶剤で拭き取り、瞬間接着剤を整形剤として流せば、まあOK。
水平尾翼や垂直尾翼との関係を確かめながら、置いたときに傾かないように胴体へスパッツを接着。傾かないように注意が必要だ。しっかりと固まったら、弾架となる小翼を接着する。水平尾翼との位置関係を確かめ、斜めにならないようにする。このとき、平面形のチェックもして、前後に斜めにならないことにも注意する。
エンジンは、意外なほどよく出来ている。カウリングへの挿入は決まった位置があるので、パーツの形を確かめておくこと。入れたら、周囲数か所に瞬間接着剤を流すと簡単に固定できる。排気管は前端をそれなりに綺麗に接着し、カウリング前端と一体感をだす…とよいのだが、プラモデルだから、まあいいや。先端に穴があるらしいが、まあいいや。



 主翼はまだ取り付けていないが、このあたりまで塗装にかかる。細かいことは気にせず、テキトウに塗る。テキトウと書くとテキトウそうだが、丁寧に塗り過ぎてペタッとさせないことが大切だと思っている。ちなみに、キットの塗装図には胴体右側がない。カウリング前端は排気管が輪になっているのだろうから、そんな風に塗った。
ほぼ最後に、窓の穴に主翼を差し込んで接着する。左右翼の接合面だけに接着剤をつけることで、窓枠にベチョ~~と接着剤が着いてしまうのを防止する。何とかそれなりに着いたら、斜め支柱をそれなりに接着する。今日のキットのようにピッタリにならないので、それなりでOKとする。これでは主翼組みが強度不足なので、風防と主翼の間に接着剤を流して固着させる。…まあ、うまく出来た。アンテナみたいな棒は伸ばしランナー。キットの雰囲気にあわせて、無愛想な太めの棒とした。
デカールはとても上質。製造から年月を経ているとは思えないほど。寸法はやや大きめ。小さいよりは見栄えがするのでOK。
最後に透明部分をマスキングテープで覆い、半光沢スプレーをぷ~~~~とふいて完成とした。



…いい感じだ。「ライサンダーってこんなだよね」感に満ちている。マッチボックスは、こういう感じのヒコウキになると本領を発揮する。仮に精密キットのライサンダーが隣にあっても、私はこっちを作ると思う。
マッチボックス、礼賛だ…。


  Home>ライサンダー (マッチボックス 1/72)> 特集 蛇の目>2021年2月号
Vol.150 2021 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集1

TOTAL PAGE