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特集 ハセガワ48

 三式戦闘機 飛燕 (ハセガワ 1/48)

by 老人とプラモ

 旧陸軍の三式戦「飛燕」の特徴は何といっても当時の日本機には珍しい流麗なシルエット。
それはダイムラーベンツから導入した倒立のV型液冷式エンジンDB601の川崎版「ハ-40」搭載のおかげです。愛称の「飛燕」とは前漢のスリムな美人、趙飛燕から採ったという由、昔の人はキョーヨーが有ったんですね。胴体の幅はスピナー後部からラジエターのあたりまで84cmだそうです。





しかし技術史によるとDB601は当時の日本の工業力を遥かに上回るハイテクの塊、数々の未経験な技術要素が祟り、部品製造、信頼性、運用、整備、補給のあらゆる面で課題続出。
昭和18年から部隊運用が始まっても大した戦果は挙がらず、結局、川崎航空から直接、技術指導と部品供給を受けられる本土防空戦が活躍の舞台となったそうです。

 今回のハセガワのキットは3式戦のI型丁(機首上部に20mm砲(ホ5)を装備するために機首が少し延長された型)。箱絵はB-29の迎撃に上昇中(または限界高度付近で機首を上げ気味にして浮いている)の場面であろうと思います。証言では、三式戦はハー40がキャブレター式ではなく直噴式であったため、他の日本機よりも多少、高空性能は良かったとのことです。



 このキットには箱絵の通り B-29への体当たり部隊として有名となった三式戦の244戦隊の隊長 小林照彦大尉の愛機(24号機)のデカールが入っています。戦意鼓舞のための派手な塗装と思っていたのですが、体当たり担当機がP-51などに食われないように自ら囮役をする意味もあったのかもしれません。24号機は昭和20年の4月の写真では緑の斑点が後から追加されたらしく 日の丸や青線に重なっていません。製作ではデカールを後から貼っても緑の斑点に重ならぬようパターンを描いたつもりです。24号機の実物の写真は排煙やオイル汚れもあまり見えません。整備が行き届いていたのか たまたまペンキ塗り直後の撮影であったのかは判りません。ので、今回も汚れや剥がれの表現はしていません。





翼下の黄色いものは標準型落下タンクですが 当時の女学生たちが竹や木で作った粗末なもの。それでも回収しやすくするため黄色に塗ったという涙ぐましい話はDB601とは対極の組み合わせ。



244戦隊は昭和20年の5月に五式戦に機種改変となったそうで、その五式戦(ハセガワの1/48)を後景に入れてみました。活発でずんぐり頭の妹(五式戦)と降下上昇の得意なお姉さんの趙飛燕。この角度から見ると三式戦-丁の機首左側のホ5が突き出て見えますが、同じアングルの実機写真とよく一致していると思います。ハセガワのコダワリを感じました。




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