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特集 絶版キットを おしげもなく作り倒す

 F-4JファントムⅡ(ハセガワ旧版 1/72)

 by  田口博通 Hiromichi Taguchi



 絶版キット特集ということで、ハセガワ旧版ファントムF-4Jをストックから取り出し、手持ちのマイクロデカールを使って、イエローテイルのVF-92機として完成させました。
 高校生の時に一度、キットデカールを使って VF-143機として作った記憶があり、おろしがねのようなリベットと凸パネルラインが印象に残っています。
 このハセガワ旧版ファントムは月刊webモデラーズ誌上では人気があり、ヒサマロさんが2013年6月号で旧版F-4Jを使ったVF-14 F-4B2015年6月号で初版F-4Bキットを使ってVMFA-151 F-4Bを作られています。
また、加藤さんが2017年8月号でVL所属機 と、2020年10月号でVF-141 F-4Jを作られています。


キットについて

 1/72ファントムの最初のプラモデルはご存じ1965年発売のレベルのF-4B/Cです。日本のメーカーによる最初の1/72ファントムプラモデルは、1966年に発売されたハセガワの初代F-4B/Cで,同年、F-4K/Mも発売されています。ハセガワの初代ファントムはレベル72を大いに参考にしたようで、内容がよく似ていました。
 発売後すぐ、F-4BからレドームのIRスキャナーを削除し、ジェットノズルを長くしてF-4J/Dに変更され、1990年にリニューアル傑作キットに交代するまで長きにわたって発売が続けられました。 
 ところがこのJ型は、主翼がF-4Bの薄いままの中途半端キットだったので、きちんとしたJ型にするには主翼の修正が必要となり、F-4EJキットから主翼を流用して改造しなければなりませんでした。
そうするくらいならばIRスキャナーを自作し、ジェットノズルを短くしてF-4Bに逆改造する方が楽なので、F-4Bにするモデラーが多かったと思います。
 旧版ハセガワF-4JのNG100が発艦する箱絵は素晴らしいタッチでこれだけでも価値があると思いますが、レベル72ファントムのボックスアートへのオマージュだったということも良くわかります。

ハセガワ初代F-4 (箱には書いていないがB/C型が作れる)


ハセガワ F-4J旧版


こちらは1965年発売のレベルF-4Bのボックスアート



 モールド部品です。表面にはおろしがねのような凸リベットが彫刻されているので、今回はすりおろし、パネルラインを彫り直しました。水平尾翼はほぼ72サイズとなっています。
コクピットはそのまま使います。
コクピットはレベルキットと同様で、バスタブでシート背もたれまでがモールドされており、ヘッドレストは胴体にあるという構成です。





製作

 胴体にコクピットを組み込み際にキットのままだと落ち込み過ぎるので、写真のように、プラ板、プラ棒でささえます。機首にはおもりをつめこんでおきます。胴体には5mm角プラ材を2本入れて補強し胴体幅を確保します。ここがポイントだと思います。





 胴体に補強を入れてあるので、胴体と主翼がきちんと接着できました。これで、胴体を持っても大丈夫です。
おろしがねのようなリベットはもったいないと思いつつも あまりにもなので、ざくっとすりおろしました。
 各部を整形後、サフェーサーを吹いて、パネルラインに鉛筆で下書きし、ラインチゼルで目立つパネルラインだけ彫っています。


塗装

 別売りデカールをスクラップブックにしてあるので、その中からマイクロデカールのVF-92を選びました。私はこのスクラップブックを眺める時が「次は何の塗装にしようか」と夢が膨らみ、至福の時間であります。
 下面とレドーム、垂直尾翼をMrカラーNo.316ホワイトを吹いて、垂直尾翼にイエローNo. 329を塗ります。
マスキングした後、ガルグレーNo.315を吹いています。
 
ところで、最近 0.5mm穴径ダブルアクションのエアブラシをアマゾンで購入し使い始めました。0.3mm穴径よりも大面積がさくっと吹け、こういう海軍機などの塗装では時間短縮になり重宝しています。台湾製のダブルアクションで価格も安くて使い心地はまあまあですが、クレオス製よりもクロムメッキが薄く工作が荒いのが難です。
 クレオスの0.4mm径シングルアクションは、先端にたまった塗料が吹き始めに粒になりますから、ぜひクレオスからも0.5mm径ダブルアクションの発売を望みたいところです。


 楽しくデカールを貼りこみました。
デカールの保護を兼ねてクリアを吹いて塗装は完了です。


レベルキットを参考にしたと見られる埴輪のようなパイロットさんもヘルメットをイエローに丁寧に塗り分けて搭乗させます。足はカットしました。



 脚は腰高なので前脚、主脚とも4mm程度短くしました。
武装は残念ながら間に合わず、ミサイルランチャーだけ装備しました。


完成

 50年前のモールドなのでラフラフで、最近のファントムキットに比べると エアインテークのカーブを胴体と合わせる整形に時間がかかったり、脚が作りにくいなどの箇所もあるのは事実ですが、前作の経験もふまえて胴体の補強をし、大変ながら、なんとか完成しました。もう1キット在庫があるのですがどうしましょう。作るのが大変なので自分の残り時間も考えると迷う所です。

 さて、この旧版ファントムは実際に作ってみると1990年にハセガワが72新版ファントムシリーズを始めた理由が良くわかりました。 新版ファントムは部品点数が多いものの、ただ組んでいくだけでさくっと完成します。スタイルも良いし決定版といってもよいでしょう。ただ、定番になっているのはB/N型でJ型は市場にありません。8月からファインモールドからショートノーズファントムがリリースされましたが、ハセガワさんもそれに対抗してJ型もぜひ定番化して欲しいです。決定版ですから。




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Vol.157  2021 September.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
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