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4号戦車H型 (タミヤ 1/35)

  by Takafumi

 大戦中のドイツ軍のAFV模型が好きな人達のあいだでは、タミヤから新たに発売された「4号戦車G型」が話題になっているだろうと思います。しかし、今回製作したのは同じタミヤ製の4号戦車でも遡ること20年以上前に発売された「H型」です。個性的な外観にしたかったので、敵方のソ連軍の戦車であるT-34の履帯を増加装甲として装備した車輌を再現しました。



 モデルにした車輌はH型であるのは間違いないみたいですが、本作の型よりも後の時期に生産された型のようですので、同じ装備をした別の車輌ということにして進めました。
 手元にある資料写真や、インターネットの検索で見つけた数少ない画像を参考にしながら、T-34の履帯をどのように装備していたのか検証しました。
 まず運転室前面にぶら下がっている、長い棒を通して3列に連ねられている履帯から見てみます。これは上面に新設したL型材に針金でくくり付けられているようにみえます。
 次に無線室前面右端と砲塔前面両脇にぶらさがっている履帯を見てみます。これらがどのような方法で固定されているのかが分かる写真や画像は、最後まで見つけることができませんでした。分からなければ推測するしかないわけですが、私は、ブラケットを新造して、長いボルトを通して固定していたと推測し、そのように再現してみました。
最後に検証したのは車体前部上面に載っている、9枚の履板が連結されたものです。これもただ載っかっているのではなく、履板に開いている防滑具を取り付けるための孔にピンを通し、車体下部前面にあるラックに収まっている予備履帯と車体の間にピンを差し込むようにして引っかけているのが確認できます。防滑具用の孔に履帯を連結するためのピンを通していたと推測しました。
 他に、増加装甲の予備として積載していたのか、やはりT-34の履板を3枚連結したものが、車体左側面の運転室辺りに立てかけられているのが確認できます。
 以上のように推測しましたが、私などは一介の、模型好きなだけの情報弱者にすぎず、マニアや研究家たちの間ではこれらの事柄はすでに解明されているのかもしれません。



  具体的な工作について記します。
 キットは組み立てやすく、ストレートに組むのなら問題なく完成します。作例は、手元にあった装備品用のクランプのエッチングパーツ、プラ板、プラペーパー、金属線などでディテールアップしています。前部フェンダーの内側に追加したディテールは、先述した新発売の「G型」の完成見本の写真を見ると再現されているみたいです。車体下部前面の予備履帯ラックは、説明書で不要部品に指定されている部品を使用しました。そのままだと予備履帯が収まらなかったため、車体と接する部分をプラ材で少し延長しています。
 増加装甲のT-34の履帯は、モデルカステン製の接着して連結する非可動式のタイプです。戦車一輌分に満たない中途半端な数が余っていたので今回使用しました。L型材や履帯固定用ブラケットはプラペーパー、プラ板で作りました。ボルトやナットは金属線とウェーブから発売されている「R・リベット角」を使用しています。履帯をくくり付けるための針金は細い銅線です。そのままだと不安定だったので、履帯を車体に接着して固定しました。作りながら思ったのは、模型の場合は接着剤で固定できますが、実物は履板1枚だけでも結構な重量があるはずで、それを連ねたものを針金でくくり付けただけで大丈夫だったのか、実は違う方法で固定していたのではないかと今でも疑問に思っています。



 車体両側面のシュルツェンはキットの部品を使用しました。フル装備の状態が一体成形で再現されていて、シュルツェン架に接着するためにのり代として実物にはない出っ張りがモールドされています。モデルにした車輌同様にフル装備の状態にしたかったのと、キットの部品が意外と悪くなかったので使用しました。フックが部品化されていなかったため、先述した出っ張りの位置をフックの高さのガイドにし、上段のフックだけ1mm幅のプラ帯材で自作ました。下段のフックを作る気力はもうありませんでした。まず出っ張りの、フックを作る際に邪魔な部分だけを削り落とし、出っ張りの位置に合わせてフックを作り終えた後、残りの出っ張りを削り落としました。最前部と最後部にある斜めに着いているフックは現物合わせで位置を決めました。



 塗装は車輌本体はダークイエローをベースにした三色迷彩です。シュルツェンは何枚もの板が組み合わさっているかのように見せるべく、一部の板の迷彩パターンを変えています。破損して新たに支給された、あるいは僚車のものを装備したという設定です。

  ディオラマベースは石畳の路面を再現してみました。当初、石畳の模様が立体印刷された市販の紙製シートを使用するつもりでしたが、石膏で自作しました。ディオラマベースは安価なフォトフレームを使用。大きさは内枠がB5サイズ程のものです。内側から帯状に切った薄い板を四方に貼り、立ち上がりを作りました。立ち上がりと額縁に木目シートを貼っています。フレームの内側に補強材を接着した後、隙間に発泡スチロールの板を敷き詰めました。補強材と発泡スチロールの表面に木工用ボンドを塗り、その上に石膏で路面を作りました。紙製シートにはできない表現をしたかったので、路面が少しうねっている状態にしました。石畳の目地は、石膏が硬化し始めた時にドライバーセットの丸ギリで彫りました。戦車のサスペンションを路面の起伏に合わせずにキットのまま作ったせいで、履帯の接地面と路面の間に一部不自然な隙間が生じてしまったため、その部分を補うように新たに石粉ねんどで作り、硬化後に不自然にならないように再度目地を彫りました。ディオラマベースの塗装には水彩絵の具とポスターカラーを使用しています。



  モデルにした車輌の写真に写っている戦車長は熱帯地用のジャケットを着用していたと見受けられ、当初そのように作るつもりでしたが、石畳の路面との組み合わせだとイタリア戦線のディオラマと誤解されかねないので、無難に黒服の戦車兵にしました。


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