Home  > Fw190D-9 (モデルキット999 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2022年2月号


 Fw190D-9 (モデルキット999 1/72)  

  by 加藤 寛之



 これも「モデルキット999」の一つ。リンドバーグとかエアフィックスの初代Fw190D-9のような感性と今風の強い造形が融合したような、評価が微妙なキットだ。細かいことも大きなことも気にせず、「プラモデルを作るんだ!」の気持ちが大切だから、決して実機のように修正しようなんて思ってはいけない。
 さて、このシリーズは、プラの色が実機の色のどれかに似ていることが特徴なのだが、昔はそれが常識だった。ヘルキャットやコルセアは紺、ゼロ戦21型は灰色、52型は緑、米海軍ジェット機はガルグレー、SR71は黒、バルキリーは真っ白だった。それは昔の話になってしまい、今では実にありがたいことだ。 



 このキットは、機首にエンジンを内蔵している。私は面倒なことをしたくないので、カウリングは閉じた。右側にある吸気口パーツの形に“あれ?こうだったかな?”とは思ったが、もちろんそのまま使う。排気管は全体塗装後に外側からいれられるから、ここで接着しなくてよい。
コックピットはバスタブ型で、計器盤と椅子を入れるだけ。操縦桿はお人形さんが握っていることになっている。頭部の後ろがスカスカだけれども、まあイイヤ。気になる方は、頭あてみたいなものを自作すればよい。椅子はあとから入れられる。
 主翼は珍しい分割だ。下面側が胴体と一体なのはいいとして、上面側の前縁と後縁が下面パーツに造りつけてある。上面は隙間だらけ。膨らみも不足していてペッタンコ。前縁・後縁はガタガタで厚みも気ままな状態。躊躇せずに、削って改善する。機銃とピトー管は主翼パーツに造形されているので、丁寧に扱おう。
 胴体と主翼は、僅かな調整で組める・・・が、フィレットの造形がマズくて、ヘンな感じに膨らんでいる。合わせ目を整形するついでに、綺麗な形に削っておく。実機がどうであるかでなく、見たときに綺麗な線になればOK。
 主脚は不安だった。会社のホームページにある完成品もキットの組図も直立で、前傾していなかったから。でも大丈夫、グイッと前傾させて接着できた。
 プロペラも難アリ。表裏を逆にして、厚みは削ってごまかした。プラが柔らかいので、短時間で改善できる。
機首先端の環状ラジエターカウリングは、独特な形だ。まあ、いいだろう。
 風防は前から後ろまで1パーツ。それらしいから、まあ、いいや。
組みあげてみたが、ヒコウキのことを知らない人が設計とか金型設計を担当したのだろうと思った。おかげで造形と表現が面白い。まあ、いいや。



 塗装は、側面と下面はキットのプラ色というだけで、それ以外はいつものように似たような色を塗っただけ。
デカールには驚いた。ドイツの+マークが、L字形のバラバラ4枚だった。全面1枚だったデカールの経験はあるが、+マークの4分割は初体験だった。もちろん胴体側面の-や<も単体。デカールフィルムを厚く塗って1枚にできるだろうが、もちろんバラバラで貼る。なかなか楽しい時間だった。後胴の赤白赤の帯は長方形でいいはずなのに不思議な曲線をしており、よって上手く貼れない。白で前後2分してなんとか貼ったが曲がっている。まあ、いい。デカールにスワスチカはないので、手持ちデカールで貼った。

 完成した姿は、独特で強烈な造形が悪くない。実機の形にこだわると難アリだが、それを忘れさせるゴツさがある。精巧だが無個性よりも、私は好きだ。
 さて、このFw190D-9のキットは、機首周りの外皮を一切使わず、先端の環状ラジエターカウリングだけを使って途中を抜いたら見栄えがしそうだ。エンジンの形はなかなか味があるので露出させ、この製品の特色を最大限に活かすのがいいと思う。こんど作る機会があったら、そうしたい。



 蛇足だが、LSの零戦21型のプラは水色みたいな色だった。子供のころは変な色だな、と思っていたが、充分すぎる大人になってから「青畳のような色」といわれていたことを知った。この再現だったのだ。時代が違うとはいえ、何でも灰色プラの現在とは、実体験であった戦争への情念が違う。


  Home>Fw190D-9 (モデルキット999 1/72)> 飛行機プラモデル製作>2022年2月号
Vol.162 2022 February.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」
 

プラモデル模型製作記事

TOTAL PAGE