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J29 テュナン (エレール 1/72)

  by 加藤 寛之

 後退翼機の第一世代には、Ta153の影響を感じる飛行機がある。Ta153の直系であるアルゼンチンのプルキⅡは当然だが、Mig-15や今回のテュナンがそれにあたる。テュナンの後退角が他に比べて緩いのは、離着陸を容易にしたいスウェーデンのお国事情だろう。



 エレールのテュナンはかなり古い製品だと思う。型式は主翼にドッグツースと境界層隔板を設けた後期タイプで、機首下面に機関砲と装備するかカメラかの選択で2つの型式を選べる。前者が銀色のスウェーデン機、後者は国連軍に協力してコンゴに派遣されたときの黒っぽい独特の彩色とUNマークになっていた。現代ならば別製品になるような、オトクな内容だ。キットの造型は簡素ながら端正なつくり。機体各所の細かい凹凸は省略して、全体のイメージ重視で造形している。表面パネルラインは太目の凸モールドで、コックピットや脚庫内は必要最小限かそれ以下という感じ。このあたりはキットの時代性というもので、欠点ではない。各翼の後縁は甘くシャキッとしていないのがいかにもエレールらしいが、これは軽く削れば解消するので、どうってことはない。



 組立てでは、脚周りや排気口、座席は組み順指示でなく後付けでいい。これは多くのキットと同じこと。
胴体は前述のように機首下面が選択式なので、上半分が弱くて接着しにくい。そこで、まず後方をしっかりと接着する。その後に機首上部を別作業で、位置合わせをしながらうまく接着する。「うまく」と書く理由は機首下面との幅や曲がりを調整する必要があるからで、パーツを曲げたり、ハリを入れて広げたりして、なるべく上下の位置を揃えて接着する。この分割構造は、機首に錘をいれるのに便利だから、良い面もある。
垂直尾翼は、前縁・後縁とも甘いから、水平尾翼接着前に整形する。
 主翼は上下接着後に前後縁を整える。別パーツの境界層隔板は、モコモコしたオソマツな造形なので、表面を整えるついでに厚みを半分くらいにした。前縁との合いも悪いが、新造は面倒なのでそのまま使った。またそれをテキトウに接着したら、前から見て歪んで固まってしまった。無理矢理ねじったらバチット割れた…ガックリ&どうしようか?…まあ、テキトウに直してOKとした。気にしなければイイのだ。
胴体と主翼の接着は下反角の角度指定がなくて不安だったが、期待以上にピタットきまった。これに合わせて水平尾翼を接着。これでヒコウキの大まかな形が組みあがる。
 細かいところでは、風防関係は古いキットなりの精度でよく合っている。作ったキットは、後部のスライド部分のパーツがランナーから外れかけ、傷で白っぽくなっていた。対策は、フレーム部分をちょっと削り込んだり、黒を薄くぬって目立たなくしたり。マア、これでいいか。
主脚は角度をきめてしっかりと組めて、嬉しい。前脚はちょっとグラグラなので、根元に補強をしておいた。
主翼端のピトー管は、真鍮線で代替した。丈夫がなにより、ってこと。



 塗装は、脚庫内も銀色なので、実に簡単。機首即年と下方の銀は、塗装指定を参考にちょっと黒っぽく。垂直尾翼と背部のアンテナ柱は明るい灰色の指定。
パネルラインが凸なので、スミイレができない。そこで今回は、銀塗装後に全体を布で擦り、特に凸線付近を強めに擦った。これで凸線頂部の色が剥がれてプラの素材色が露出、スミイレの代替となる。また平滑部分も部分的に塗装が薄くなって、なんとなく面白い味がでる。これをムラと見るのか表現と思うのかは、好みの問題だ。
デカール貼りは、何事もなく終了。

 まあ、完成。太い胴体が面白くて、見栄えがいい。簡単に組めて、塗装も簡単で、嬉しい。…そういえば、マッチボックスのキットもどこかに持っているはず。もしかしたら、エレールももう1個あるかも。…もう、買わなくていいな。


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