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(Photo) ブリストル M,1C (レプリカ)
by コルディッツ
博物館実機写真
1916年7月14日に初飛行したブリストルM.1単葉戦闘機を調べていたら、設計者フランク・バーンウェル(Frank Barnwell)大尉に行き着きました。我が国では英国の航空機設計者としてレジナルド・ミッチェルとシドニー・カムが高名ですが、大尉も二人に勝るとも劣らない名設計者であると思いました。既にバーウェルの事を知っている方も多いかと存じますが、今回はブリストル M.1とバーンウェルについてご紹介します。
※本稿は博物館の標示、佐貫亦男教授のエッセイ「単葉嫌い」(「続・ヒコーキの心」収録 光人社)、「優雅な殺し」(「続々ヒコーキの心」収録 講談社)、Wikipediaを参照しました。
Bristol M.1C C4994 (Replica)
王室空軍博物館コスフォードにて
レプリカ機は2016年4月に撮影しました。
ブリストル M.1はブリストル社の独自開発に依ります。設計者バーウェルは第一次世界大戦勃発と同時に王立飛行隊に志願入隊し、操縦士資格を取得、第12飛行隊に配属されましたが、1915年8月除隊し、ブリストル社の主任設計士になり、王立航空隊の嫌う単葉機にチャレンジしたもので、ここにパイロットとしての体験が反映されているかもしれません。
M.1は211km/hという驚異的な高速を叩き出しました。佐貫教授のエッセイ「単葉嫌い」によると「これは当然の帰結で、バーンウェルの前作ブリストル・スカウトよりも重いのに翌面積は小さく、エンジンは馬力の大きいクレルジェだったから」と解説しています。
さらに「飛行線も着陸線もそれぞれ二本ずつ(もっとも各線が二本合わせの流線型索)という抵抗軽減策を工夫してあった」と技術的解説もあり、M.1の優秀さを感じさせます。
けれど王立航空隊はブリストル・コアンダ単葉機の墜落事故(1912年)を受け、「単葉機禁止令」を出す程、単葉機嫌いだったため、M.1は不遇な人生を歩みました。尚コアンダ機の設計者はルーマニア人アンリ・コアンダで、最初にジェット・エンジンを発明した人物として知られています。
M.1の製造数は130機で、西部戦線に配属はなく、33機がバルカンと中東戦線に回されただけです。しかし1名ですがエースも輩出しています。第150飛行隊所属のフレデリック・ダドリー・トラヴェース大尉で、何とSE.5AからM.1に乗り換えて5機を撃墜、しかも最後の獲物はフォッカーD.Ⅶでした。大尉の撃墜総数は9機、シリアルナンバーはC4976です。
また中東戦線のような高温地域では、巨大なスピナーは外していたそうです。
M.1の技術的特徴は、前方視界改善のため主翼に「窓」を開けた事でしょうか。また同機のキングポスト(張線支持柱)は、転覆時の操縦席の防護枠を兼ねます。パイロットが丸い機体に昇るため、足かけが2カ所に設置
され、キングポストの間から操縦席に潜り込みます。
M.1の現存機は1機で、オーストラリアで展示されていますが、残念ながら未見です。レプリカ機はシャトルワース・コレクションに飛行可能な機体があります。また1918年にアンデス山脈を最初に越えた機体を記念して、チリ国の国立航空宇宙博物館(サンティアゴ)に2機のレプリカが展示されています。
この後もバーウェルはブリストル社の主任設計者として、同じ1916年中にブリストル・ファイターを設計し、初飛行させ、戦後もブルドック戦闘機やブレニムの開発に当たりました。彼は1938年に自作機バーンウェルB.S.W機を操縦中に墜落死しました。また3人の息子は全員パイロットになりRAFに所属し、3人とも戦死と、大英帝国に捧げた一家でした。
ピントがずれていて申し訳ございません。
バーンウェル設計のブリストル・スカウト偵察機/戦闘機のレプリカです。佐貫教授はエッセイ「優雅な殺し」で「てらいもないイギリス人らしい常識的設計」と評価しています。そんなイギリス人らしい常識的設計を経て、王立空軍の嫌う単葉機を敢えて設計し、次はブリストル F2 ファイターを設計と、バーンウェルのヒコーキ設計の懐の深さには驚嘆せざる得ませんでした。
上の写真は艦隊航空隊博物館(ヨービトン)で、ブリストル・スカウトのレプリカ。下は王室空軍博物館ヘンドンで撮影のブリストルF2 ファイターで、共に2016年4月撮影です。
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