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連載 48JET傑作機 50選 (第4回)
FJ-4 FURY  (ホビーボス 1/48)

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi           / 

 第4回目のお題は アメリカ海軍の ノースアメリカン FJ-4 フェリーです。FURY の直訳は「憤怒する者」という意味で、この機体が設計された理由となった朝鮮戦争の敵対国 北朝鮮への怒りを表したネーミングだったのでしょう。
 昨年 中国のホビーボスから発売された あっさり目の凹パネルラインの1/48キットを取り上げました。中国メーカーは機種の企画がよく、簡易インジェクションしかなかった機種を 新金型インジェクションモールドで発売してくれるところは ありがたい限りです。
 金型設計は CAD設計であろうことは、合いの良さでわかりますし、肝心のスタイルのとらえ方は及第点だと思いますが、新興メーカーゆえ、追い込みの足りない点も多いようです。
 今回は、大きな修正せずにストレートに組んでいますが、FJ-4フェリーに充分見えます。脚まわりなどは可もなく、不可もなくといったところでしょう。 サイドワインダー、ブルバップ、燃料タンクが付属しています。
 部品点数はそう多くないのですが、離型剤がべっとりとついていて、塗料をはじき、組み易いとはいえません。モールドがいいのですから、ぜひの改善が望まれます。

ギミックは特になく、カラー塗装図がサービスについています。

資料は in action シリーズ NO.103 FJ FURY が 大変参考になります。
     箱絵 




 [実機について]
 朝鮮戦争の勃発により、高性能艦上戦闘機の必要性を感じた海軍は、ノースアメリカン社に空軍のF-86の艦上機型を開発するように命じた。 最初の艦上機型 FJ-2は 兵装を 20mm機関砲4門につけかえ、主翼を折りたたみ可能に設計変更された。 しかし、長い滑走路を使う陸上機と違い、艦上機は空母から離着艦せねばならない。パワー不足のため、離着艦性能に問題があり、全て 米海兵隊に引き渡され、陸上基地で使用された。
 改良型 FJ-3は パワーアップのため、イギリスのアームストロング・サファイアのライセンス版 J65-W-4 (推力 7600lb.)を装備し インテークを拡大し、胴体を太く再設計して完成した。
 FJ-3フューリーで空母離着艦が可能となり、1954年から、アメリカ海軍と海兵隊の23個飛行隊に配備されて。幸いにして、実戦で活躍する機会はないまま退役を迎えた。


 続く、FJ-4は 胴体を大型化して、更に 燃料等裁量を増加させた。主翼も全幅を61cm増加し、翼面積を拡げたため、FJ-3までとは全然別の主翼形となったのである。
主翼を上面から見ると、F-86よりもF-100に近い形状をしている。エンジンは J-65-W-16A (推力 7,700lb)を装備して、パワーアップし、1985年まで生産された。
しかし、全天候運用能力を欠いていたため、しだいに他機に主力戦闘機の座をゆずり、しだいに 攻撃機的な性格を強めてゆき、最終型は 核兵器を積める戦闘爆撃機となり、FJ-4Bと呼ばれた。 FJ-4Bは後部胴体下面にエアブレーキが増設され、これが識別点となっている。







[製作の注意]

  組み立て前にまずやらなければならないこと。それは パッドに濃い洗浄剤を入れて ランナーごと1週間ほど つけて、離型剤をとることです。 細かい部品はそれでも なかなか とれませんので、ペーパーがけで落とすようにします。

それでも とれない離型剤は 筆にシンナーをつけて ごしごしやります。完全にとるのは無理で 8割がたとれれば 上等としましょう。

コクピット

 まずはともあれ コクピットから。バスタブになっていますので、ダークグレーで塗り、サイドパネルなどは ブラック。スイッチや計器版を グレー、白、赤などで塗り分けると、いい感じになるはずです。 射出座席は後で組み込めるので、工作は最後にしてもいいと思います。

エアダクトは接着部を丁寧に修正して内部をホワイトで塗っておきます。

前脚式で、かつ前脚が長いため、おもりはかなり必要となりますので、機首のあいたスペースに 釣り用鉛を粘土でとめてゆきます。それでも足りなかったので、コクピットの後ろにも詰め込んであります。
(写真1) コクピット
 機首のあいたスペースに おもりをつめこもう。

胴体、翼

 

 胴体、主翼を接着したら、 空気取り入れ口を接着し、機首をスムーズになるように 丁寧に整形します。段差埋めは 瞬間接着剤をパテ代わりに使っています。ペーパーがけは、機首上面が 平らにならないように注意します。なだらかな曲線になるようにしっかり 整形します。 ここは ポイントです。

翼は、主翼、尾翼、垂直尾翼とも 後縁をしっかり薄く削ります。男前が上がります。

リベット追加

 さすが、中国のキット、表面がスジボリと胴体の画一的なリベット表現だけですので、主翼だけでも リベットうちを追加しましょう。
 グンゼ1000サーフェーサーを吹いた上に リベットラインを鉛筆で下書きして リベットを丁寧に打ってゆきます。サーフェーサーを塗った後のリベット追加が、鉛筆の下書きもしやすくなり、リベットうちの針もすべりません。お勧めです。
 リベットうちは、かなり 疲れる作業ですが、完成後の見栄えが全然違ってきます。

機首 の整形は丁寧、スムーズになるように


グンゼ 1000サーフェーサーで下塗り。

鉛筆でリベットラインを書き、丁寧にリベットを打って行く。



[塗装]

 

 上面 ガルグレー FS16440 グンゼNo315
下面 ホワイト  FS17875 グンゼNO.316
のNAVY標準 塗装です。
フラップ、エルロン、エレベーター上面はホワイトです。
 今回は VMF-451にしましたので、機首のブルーを塗装しています。MrカラーGX5ブルーに白を混ぜて、デカールに色あわせをしました。
塗りわけは 筆者は デカールを型紙にマスキングゾルをカットしましたが、テープでも良いでしょう。ただ、機銃口にかかるので、塗料がスキマから漏れないように注意が必要です。
翼前縁はシルバーの指定ですが、シルバーに少しガルグレーを入れてみました。 垂直尾翼上端はつやけしブラックです。

子部品は個別に塗装して行きますが、どうしても離型剤がのこっていて 塗料がはじかれたりします。筆に シンナーをつけて 丁寧に洗うようにすると多少は違うようでした。
     マスキングゾルでマスキング
    ブルーに塗りわけられた 機首

全体塗装完了 


{最終組み立て]

 

 全体に 油彩のローアンバーでスミイレしますが、リベット部をあまり強調しないほうが 上品になるような気がします。
 
 デカールは 印刷もはっきりした 良質のものがキットに付属していましたので、それを利用しました。主翼の国籍マークが3つにわかれていて、境界層板の上をまたぐデカールも用意されています。
スキマは 塗料でタッチアップするようにします。

主脚、前脚は 油圧アクチュエーターやブレーキパッドが別部品になっているので、わかりずらいと思いますので、完成写真(下)をつけておきました。

脚カバー断面は REDで指定されていますが、塗装がうまくいけば 見栄えしますが、一般には難しく 汚くなりやすいので、今回は意図的にパスしています。

空中給油棒、着艦フックは折らぬ様に注意してとりつけてください。ピトー管は しんちゅうパイプと洋白線で自作しています。

さて、最後に コクピットにシートを仕込むわけですが、パイロットを乗せない場合は、シートベルトを板鉛で追加してやりましょう。

目立つのが シート後ろに全く電子機器の部品が無いことです。実機は、航法電子機器が搭載されていますので、 F-86のように 透明ランナーや AFVのエンジン部品を流用して
ツクっておきました。これが、あるとないのでは 上から見たときに全然 違います。
   主脚



   前脚


コクピット内は座席のディテールを加えた他、後部に電子機器を自作して追加







 組み立てはモールドも合いもよく、スムーズでしたが、どうしても そこは 品質いま一つの中国製キット。
離型剤が強くて、塗料ははじくしで、途中で嫌になり、棚に何度も直行です。
(いわゆる 棚上げ)
完成まで思ったよりも時間がかかりましたが、辛抱一徹で 完成まで なんとかこぎつけました。
FJ FURY で 1/48の穴が一つ埋まり コレクションに追加されました。
コーヒーでも飲んで、一休みと行きましょう。

来月 は パンサーなどを取り上げようと 考えています。


Vol.5 2009 June.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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