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ニューキット・レビュー TA-4J (ハセガワ 1/48)

by 田口 博通 Hiromichi Taguchi

今月のニューキット・レビューはスカイホーク練習型 TA-4J 1/48 
 ハセガワから 4月にシャープな新金型キットが登場しました。果たして その出来は?




■ キットの印象   
 TA-4Jとしてハセガワから発売となったキットは以前から発売されていた単座型A-4Fのバリエーションで、胴体とキャノピーが新規金型で起こされている。モールドは端正なスジボリで 複座コクピット内も良くまとまっている。 
 単座型同様、胴体エアブレーキと主翼前縁スラット、下面フラップが開閉選択式となっている。ドロップタンクが2本付属し、デカールは箱絵のVC-1とVT-7の派手なものが付属している。
 キャノピーの形どりが難しい機体なのだが、出来上がりのスタイルも破綻がなく、実感がある。
 OA-4Mを将来発売するためか、垂直尾翼部品、胴体下面のアンテナパネル、フレア部が別部品になっている。成型変形と立て付けの問題で擦り合わせを慎重に行わないと、パテ修正が必要になる。
箱絵



■ 実機について
 スカイホークの練習型は、A-4Eの胴体を延長して後席を設けた戦闘練習機TA-4E/TA-4Fが最初で、後席にもレーダースコープを装備して1966年から生産され、航法、攻撃訓練が可能だった。主翼付け根に20mm機関砲2門を装備している。
 TA-4Jは TA-4Fから戦闘訓練装備をはずして軽量化したタイプで軍事費削減のため、余剰になった推力の小さなJ52-P-6を装備していて、若干パワーは不足気味で、高等飛行訓練に使用された。
TA-4FとTA-4Jは基本的には外形は同じで、TA-4Jは訓練部隊のみで使われたので、基本塗装はトレーナーホワイトとなっている。
 
 TA-4Fはベトナム戦争では複座をいかしてFAC任務に使われており、こちらは実戦機のため、上面ガルグレーの通常塗装の機体も多い。



■コクピットの組立て
 胴体が延長された新しい金型が起こされていて、後席コクピットのユニットが追加されている。
サイドパネルのスロットルレバーも部品がついているのは親切だ。計器板、サイドパネルともデカールが付属しているが、モールドが素晴らしいのでデカールを使わずに 丁寧にパネルを塗り分けてもいいだろう。下写真のように魅力的なコクピットが出現する。
 
 基本塗装は内部がダークガルグレー(特色317)。パネル類は ブラック。スイッチはグレーだが、小さい面積ゆえ白にすると目立ってくる。座席はブラックのものが多い、シートクッションはオリーブドラブ系。全体塗装の邪魔になるので、座席は最後に組み込んだ方がよい。
 ダクトとエンジンのアフターバーナーパイプは胴体張り合わせ前に胴体に仕込んでおく必要がある。ダクトのファンは ガンメタで下塗りしてから、銀をドライブラシしておいた。
 
機首おもりは8グラムとあるが、つり用鉛おもりを余裕を見てつめこんでおくと安心だ。



座席は最後に組み込める。


 胴体とインテークの組立て
 エアーインテークは3部品分割となっているので、できるだけ、擦り合わせして接着しよう。筆者は擦り合わせがいい加減だったためか、パテ修正をよぎなくされたが、目立つ場所ゆえ、しっかり修正をしておく必要がある。
主翼付け根のスキマも同様にパテで消しておく。

胴体のA6部品が別部品となっていて、胴体と幅が合わず、パテ修正が必要になってしまった。耐水ペーパーがけで下面の繊細なモールドが消えてしまうが、いたしかたない。
 また、垂直尾翼の付け根と先端部品も別部品となっていて、どうしても段差ができてしまう。ここは瞬間接着剤をパテがわりに使い、整形した。
 主翼端ライトが別部品で用意されていて、説明書では最終組み立てで接着するように指示されているが、塗装前の段階で接着してパテで段差を消し、マスキングして塗装に備えた方がいい。

■ 塗装 ■ 部隊塗装
 全面 ホワイトFS17875(グンゼ特色316)が一般的だ。吹きつけ塗装の際、胴体と主翼の継ぎ目部分が影になるので、塗料微粉の跳ね返りで、塗装表面が荒れやすい。マスキングテープで保護すると防げる。ちょっとした手間が大きく、塗装仕上がりを左右してしまう機体である。  VC-1の胴体と機首のブルーは 説明書で指定されているインディブルー(グンゼ65)を使ったがいい色だと思う。
 エアインテーク入り口、可動面裏側、ドア断面などのレッドはFS11136(特色327)を使用した。 いずれもマスキングテープを細切りにすれば簡単に塗りわけできる。


主翼を塗装時は胴体をマスキングテープで保護し、逆に胴体を塗装する際は、主翼をマスキングテープで保護し、塗装粉の跳ね返りによる表面の荒れを防ぐ

胴体のブルーの帯を細切りにしたマスキングテープで塗りわけしている。
 
■ 完成へ
 デカールは余白の透明度もよいが、主翼のボーテックスジェネレーターにかかる部分は補修塗りがどうしても必要だ。胴体エアブレーキにかかる国籍マークが分割されているのは親切。
デカール保護のためにクリアを吹き、塗装は完了。
 
 スミイレは ヴァリキリーさんに教えていただいたガンダムマーカーの水性「スミイいれふでペン(ふきとりタイプ)」を使ってみたが、モールドのスジボリにうまく入り、GOODな感じに仕上がった。
 前脚、主脚などは単座型と同一。前脚の長いオレオはアルミ箔を貼り付けるとばっちりと光る。
 キャノピーは開閉選択式だが、閉める場合は、V9、V34のキャノピー後部部品はキャノピーでなく、先にコクピット部品V12につけておかないと、キャノピーを閉めることができないので注意!
 
 標準のTA-4Jの兵装ステーションは3箇所で、後席追加により減少した胴体燃料タンク容量を補うために、ドロップタンクを装備している。 
 今回のVC-1の武装はクリーン状態で組み立てたが、実はVC-1やVC-10など防空任務も兼務する艦隊混成飛行隊のTA-4Jは特別で、戦闘用のTA-4Fの改修機であり、5箇所の兵装ステーションを備えている。 AIM-9サイドワインダーも装備でき、VC-1はハワイの防空を担当している。

 ハセガワのスカイホークシリーズは バリエーション展開のために部品分割が多く、一部にパテ修正や組立ての注意が必要なものの、ずらっと並べると迫力あるだろう。
 複座型トレーナーは塗装も派手で、完成すると実に綺麗な機体が出現する。買って損のないキットである。

今回のスミイレにはガンダムマーカーの水性「スミイいれふでペン(ふきとりタイプ)」を使用


完成写真


 VC-1はハワイに展開していて ブルーの空に虹の部隊マークが綺麗


 Vol.6 2009 July.       www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved     リンクフリー
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