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by 田口 博通 Hiromichi Taguchi      /

Big キット作り倒し (第5回) 
零戦52型   レベル 1/32  

 押入れを占領するBigキットを作り倒し バーンとスペースを空けようというBigな連載コーナー。
 1/32と限らず、巨大な箱なら なんでも取り出します。
 デビスモンサンにモスポールされた可哀想なBigキットが再び、皆様のお役に立ちます。
 

 第5回目は レベル 1/32 零戦 52型です。
1968年末に、スピットファイア、メッサーシュミット,P-40に続いて 4番バッターとして発売されました。発売された当時は、非常に話題となり、MA1969年3月号に木村泰造さんの記事が掲載されております。筆者は覚えるほど読んだ記憶があります。郷里の模型店のウインドーにも、素晴らしい完成品が飾られていて、飽きもせず眺めていたものです。
  ところが、当時はサンワの1/32透明零戦に目がくらんでしまい、結局 レベル購入には至りませんでした。入手したのは 21世紀になってのこと。ドイツレベルの再発売版です。それを取り出して 40年ぶりのリベンジであります。
 
 今見てもスタイルは破綻無く、カウリングをはずすと 当時としては精密なエンジンを見ることができます。主翼形状もなかなかです。ただ、主翼後縁が厚く、修正するとエルロンの羽張りモールドが消えてしまう。胴体後部が細く、着艦フック部分が無いという欠点はありますが、そんなことは些細なこと。
 40年前に金型が設計されたキットが完成品として、あなたの前に甦ります。




■操縦席
 操縦席は 計器やシートなど、今では 40年前と比べ物にならないほど資料があふれているので、手を入れようと思えば いくらでも可能です。タミヤ1/32を立体資料とすることもできます。 筆者は計器板はそのままとしておいて照準器をプラ板を組み合わせて作り変えました。あとは、シートの軽め穴を開けて、シートベルトを追加したくらいです。
 ■発動機
 カウリングが着脱式で、カウリング支持リングが再現されている1/32は タミヤの1/32零戦52型が発売されるまでは、このレベルのキットだけでした。エンジンを見せるようにも飾りたいのですが、あまりに手を入れてしまうと、レベルのオリジナルの雰囲気を壊しかねません。考えた末、プッシュロッドだけを金属線で自作することにしました。切り取ったカウリング支持リングは実物の通り、シリンダの頭に接着しています。



■主翼 ■ 胴体
 後縁が厚いので、張り合わせ前にプラカンナで削り、できるだけ、薄くすると、全然印象が変わりますから、ぜひ削ってみてください。 
 上半角が少なめです。胴体への接着時に 昔からのテクニックで ベニヤ板に、1/10の上半角になるように、センターから10cmの位置に1cm太さの木片を貼ったものをジグにし、調整しました。
 一番の問題点は 尾部の水平尾翼付け根下の胴体断面が細いことです。実機はもっと膨らんでいるのが本当ですが、2mmくらいのシムを入れて修正するとなると大工事になります。今回は、涙を飲んで、修正をパスしました。したがって、着艦フックの溝は再現していません。
 コクピット内の頭あては 上部を3mm幅になるように、削り、軽め穴を後ろに開けます。頭あての防弾版がないので、0.5mmのプラ板で追加してマホガニーで塗っておきました。
 頭あて後ろのクルシーは未装備です。
操縦席前のカバーには2つの楕円形のつかみ穴を開けます。銃口溝も削り落として孔あけし、銃身をシンチュウパイプで自作しました。



■ 塗装
 グンゼ1000版サーフェーサーで下塗りし、パネルライン上にダークグレーで影付けを先にしています。

上塗りは 特色濃緑色を使いました。色あせた表現にするために、乾燥後、1500番のペーパーで擦ってリベットを少し露出させ、その後、タンを混ぜ明るめにした濃緑色をパネルラインを残しながら吹きつけています。

キャノピーはマスキングゾルを使い、下地に黒、その上に銀を塗ってから、上塗りを濃緑色で行いました。
 ウエザリングは油彩の茶系を数色使い、スミイレとフィルタリングを行っています。こ辺のテクニックが40年前からすると格段に進化しています。
 日の丸のマーキングと主翼の警告エリアの赤帯は、マスキングして手書きしました。653空の部隊マークの数字は、ドイツレベルキットのデカールを使用。黄色帯は手書きです。 最後に、つやを揃えるのと、デカールの保護のため 全面に フラットクリアを吹き付けて、塗装は完了です。
 


  

タンを混ぜ明るめにした濃緑色をパネルの中に ムラ状に吹きつけている。



キャノピーは マスキングゾルでしっかりとマスキングし塗装する。


■ カウルフラップとカウリング
 カウルフラップは裏を薄く削り、フラップ1枚ずつに分離しました。
このままでは、胴体と距離が開きすぎるので、中心がずれないように、内孔の半径を1mmくらい拡げて、胴体にもっと密接するように調整します。カウリングは、気の済むように削ってみてください。筆者は空気取り入れ口上左右の角を少し削りました。
ひし形の上下結合金具は、薄いモールドがあるだけですので、0.1mm厚保のアルミテープを切って自作しました。結構アクセントになります。塗装は グンゼ特色を使ってナス紺色としました。
■主脚
 主脚注部品を無くしてしまっていました。タミヤ1/32を飛行姿勢で作った友人から あまった主脚をもらい、とりかえてしまったので、大きなことはいえません。 キットの主脚を使う時は、ピストン部と、オレオ部がないので、自分でバンバンする必要があります。主脚カバーはキットの部品を上下に分離し、薄くして使っています。
 


小物
 機銃をシンチュウパイプで作り直しました。先端を焼きなまし、クギをさしこんでまわしながら、先端を拡げる加工をおこなっています。ピトー管も金属パイプと洋白線で自作しました。

 プロペラは平面形を少し削っています。スピンナーは丸みがあるので、先端のカーブをほんの少し削りました。
増槽は小さすぎるので、結局使えませんでした。

完成
 日本の代表的な零戦を  ここまでのスタイルで作ったレベルに感謝です。40年の時を経て、自分の手で完成することができ、胸のつかえがとれたような すがすがしさで一杯であります。










 

Vol.5 2009 June.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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