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F-8E クルセーダー (アカデミー 1/72)

wrighten by 厚木のすけさん


                                       


 近年、ディテール、スタイルとも格段の飛躍を遂げた韓国アカデミーから数年前に満を持して(ってことはないか)発売されたクルセーダーであります。最初はE型が発売され、後から、前縁スラットをダブルにしたJ型がバリエーション展開で 発売されております。

 アカデミー72シリーズは、数年前に 安いと思って F104Jスターファーターを買ったことがございますが、そちらは企業勃興期の商品でございましたねえ。 それがあなた 買ったが百年目、開けてびっくり玉手箱、にわかに白い煙が立ち煙、そのスターファイター様は隣国の竜宮城からタイムスリップして帰ってきたように白髪姿の旧版長谷川さんと瓜二つ。竜宮城のお姫様に 見事いっぱい食わされました。
 ご存知の方も居られようが、この旧版そっくりさんは偏平キャノピー、背中まで見える伽藍伽藍の脚収容部と大変なキットでございました。 
 
 おーい角さん、どうするんだい。あー ご老公に聞いてみようってわけで、相談に行きますと、それはデスクトップモデルっていうのに化けさしゃーいいんだよ って おっしゃりました。
 それで、幅広のどうしようもないキャノピーは裏にパテをつめこみ、削り倒し、黒で塗りソリッドキャノピーと化し、デスクトップモデルに変身しようと奮戦は致しましたが、刃は折れ、弾薬は底をつき、ついに栄光の姿を見ることなく、現在はデビスモンサンの床下で部品とりキットとなり果てております。
 と以前のアカデミー72シリーズには著作権無法時代の黒雲の印象がただよっておりました。

で、このクルセーダーは? てーと 違いました。

 いい意味で期待を裏切ってくれて、その精密さは現代の設計でありました。凹彫りの繊細なパネルラインとその構成は まるで、 ハセガワ1/48のスケールダウンのような雰囲気を醸し出し、韓国アカデミーの進歩 恐るべしであります。
 さすが、三星、金星の電子立国であります。
 
 技術の進歩は日進月歩。地獄のさたも金次第。いい金型工作機械と3次元CADCAMを手に入れて適正な投資をすれば、昨日の後進メーカーは明日の先進メーカーとして、はるかかなたの浄土の先に行っている下克上の世界でございますねえ。
 日本の大手メーカーさんも、キムチパワーにはかないません なんていわないで にんにくでも食って 元気出してがんばってくださいよ。何を作っても今ひとつ売れないとすれば、先に短期の儲けを考えすぎるからでございますよ。そういうのをカネツキメーカーというのでございます。たまには”カネ”をつかないで、モデラーの”心”をどつきましょう。 チャンチャン。


完成の姿は

 今回のアカデミー新作のクルセーダーは表面のパネルラインは詳細なスジボリ。脚収容部までばっちり再現。スタイルは“グーっ”となれば とりあえずは いうことなしであります。 
 完成したそのUS・NAVYの姿態は 胸にふっくらと4丁の20mm拳銃をぶらさげ、腰にはトンキン湾を威嚇するAIM9Cの匕首がしっかり見えております。
 ふっくらとしたレドームと 機首の細さも寸づまりのA7コルセアとはちゃうねんで と主張しております。
腰は細く柳腰、尾翼もぴんとはり、ベントラルフィンで裾をたくし上げ、排気口につながる姿も小またが切れ上がっていい感じであります。
 両主翼も薄く弓を張り アニーよ 銃をとれ! 最後のガンファイターはどこから見ても 矢場のいい女であります。
 F8クルセーダーはプラモ旧石器時代には、1/72でレベル、エアフィクス。1/70のフジミ。ベトナム戦後になり、1/72でハセガワと発売されておりました。
 この最新のハセガワさんが当時は決定版といわれましたが、すっきりとしたハセガワタッチのパネルラインは 凸ぼりで、形状にはリサーチ不足の箇所もあり、それしか食うものの無かった戦後の時代には捨てがたいものはございました。が、それなりの完成を目指すとなると、スジボリをやり直す必要もあり、ご老体はだだをこね、お手間がかかったものでございました。

 30年ぶりに ここに決定版のアカデミーの登場で 一挙に楽になりました。立てば芍薬、座ればぼたん、
「えーい、全VFのあで姿の揃い踏み!」 なんて贅沢も夢ではございませんよ。 



内部解剖 コクピット/主脚収容部

 クルセーダーのコクピットは狭く、実質、キャノピーを閉めるとシートしか見えやしません。 キットは計器パネル、サイドパネルとも彫刻はありますが、デカールでも表現できるようになっており、内部をグンゼ特色317ダークグレーで塗ってデカールをはっておけば十分でございます。

 
 インテークはかなり深いグラマーな曲線のものが付属しており、インテーク正面からのぞいても 奥まで見えそで見えないなんとやら でございます。 しかし、エンジンファンがついているわけではありませんので、内部を白で塗ったあと、念のため行き止まりをつやけし黒でごまかしておきます。

 主脚収容部は48ハセガワさんと同じ構成になっており、いかにもエンジンを避けてるぞという形状になっております。ただし、説明書には下手な絵がついているだけなので、前後隔壁を間違わぬよう造作いたします。ここは円筒がつぼまっている方が機首側になります。

 ところで、胴体が長いため、胴体を接着する前に、機首に錘を仕込んでおかないとドーンと腹ボテになり、アラーッと とりかえしがつかないことになりますので、コトに及ぶ前にはご用意をくれぐれも お忘れになりませんよう。
こちとらは 釣り丸錘を寺小屋の坊主の油粘土でくるんでコクピットの後ろに投げ込んでおきました。
狭いコクピットはダークグレーとツヤケシ黒だけでもできあがる。
 

主脚収容部と エアブレーキ内部





 垂直尾翼の後縁は 幼児への安全配慮か?、しごく厚めです。ここはもちろん 危険を承知で 外面から男らしくビシッと削ってできる限り 薄くしてやります。
 
 主翼後縁も みねうちです。これでは人は切れません。許せません。そこへ 直れ!というわけで やすりでぴっと直線を出して研いでおきます。 写真のように #400の耐水ペーパーをアルミのTブロックに両面テープで貼って使っておりますが、使い心地もよろしいようで。
 なんでも日本では「Tバー」とか呼んでいる商品だそうで、サンディエゴに居た時分にミラマー近くのHOMEセンターで1m長さを購入し、金ノコで適当な長さに切って使っております。
 
 クルセーダーの主翼といえば まず思い出すのは、痛い痛い思い出。
ふた昔前のこと、交通博物館に ソリッドモデルの全国大会というのを覗きに出かけましたら、複座の1/50 クルセーダーがございました。それはそれはすごいものです。「ぜひ 一度おさわりさせて」と たっての頼みで拝み倒し、さてと手にとらせていただきましたところ、主翼エルロンの後縁で手のひらがチッと、思わず「痛い~」と悲鳴をあげました。その痛さは初めての○○○○に匹敵するほどでございました。
 作者のお話では翼後縁を薄くするために、木では無理と なんとカミソリの刃が仕込まれていたので ございますよ。これ 実話。模型作りには そのくらいの覚悟が必要だと思い知った青春の痛みの思い出でありました。


塗装とデカール

 塗装は以外とバリエーションがなく、標的機以外は 米海軍標準塗装しかありません。
毎度 同じ
上面 ガルグレー FS16440
下面 ホワイト  FS17875
のいでたちで、翼前縁はグレーがかったシルバーコートでございます。実機の現役時代の機体表面はウレタン塗料で かなりのツヤがあります。

 キットのデカールには U.S海兵隊機が2種、 DN VMF-333 "Fightinf Shamrocks" と
WT VMF-232 "Red Devils" が付属しており、コーションの細かい印刷もビューティフルなものです。

とはいえ、今回は もちろん厚木に馴染みの”NF”にしたーいと だだをこね、あれやこれやと探したあげく、USS ハンコックの VF-53 "Iron Angels" のダブルナッツとしました。VF-53は64年から70年まで空母を3隻乗り換えながら、しぶとく トンキン湾に参戦しております。
 その昔、ハセガワから 別売りデカールが発売された時代がありまして、釣られて買った 72-021 F-8クルセーダー(その2)に”NF”があり、探したあげく 「ナカバヤシふえるアルバム」の中に真空モスポールされている状態で発見しました。
 
 このまま成仏させるのはもったいないので、モスポールから解凍してやることにしました。黄ばみは多少、まー許せる範囲でした。あまりにフリーズ期間が長かったのでバラバラ事件の不安があり、一応、マイクロの LIQUID DECAL FILMをデカールにあらかじめ筆で塗り 補強して使っております。
 ダブルナッツの隊長機は垂直尾翼のアローがレインボーのド派手なものなっており、垂直尾翼上にはAN/APR-25 レーダー警戒用アンテナ・フェアリングがついております。かっこいい勇姿であります。

 最後のガンファイターが米海軍から引退して30年が過ぎようようとしておりますが、まだ、”NM” VF-191,
”NM” VF-194,”AK”VF-13と3機分のデカールが残っております。
 全4機揃えた”あで姿”の編隊飛行で、浄土のかなたへ飛び立たせてやりてーなーと 見果てぬ夢か はたまた青春の感傷か。  「いや、そりやー妄想だよ」と角さんが申しております。 お後がよろしいようで


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Vol.1 2009 Feb.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
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