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連載 ソ連戦車 第2回
T-54   (トランペッター 1/35)

                                                     by タンクダンク

  この連載は ソビエトの戦車を 毎月1機種ずつ、楽に作れるキットを選び、できるだけストレートに製作して12台コレクションしてみましょう!というコーナーです。  第1回は T-55A タミヤの傑作キットでしたが、第2回は その流れを受けて T-54です。
 T-54はトランペッター製しかなく、決定版とはいえませんが、世間には これしかないということもあり、今回の登場です。

■ 実車について ■ トラペの T-54 キットは
ソビエトには重戦車と中戦車の2つの流れがあるが、大戦後、T-34中戦車の発展形として開発したのがT-54とその改良型 T-55である。
 戦闘重量は、36トンと軽量で、全長6.4m,全高2.4mとコンパクトな車体と被弾性に優れた半球形の砲塔に、55口径100mm砲を装備した。弾薬搭載量は34発で少なめ。 1950年代に登場し、中国などでもライセンス生産された。T-55との識別点は砲塔のベンチレーターの有無である。
 中国広東省中山市のトランペッターの初期の製品で、モールドも甘いところも有りですが、できあがると スタイルも決して悪くはありません。北京軍事博物館の実車を取材したようです。成型材料には 固いABSでなく、普通のスチロールが使われているので、普通に接着が可能です。
 車体上エンジンカバーには こしゃくにも 樹脂ネットが付属していますし、主砲根元のカバー部品も ついています。
 砲塔は鋳物肌の実感を出そうとした努力の後が認められます。今回は砲塔の手すりを金属線で置き換えただけで、後はキットの部品だけを使ってあります。 キャタピラはポリ樹脂製で、熱したドライバーでとめるタイプです。
 全部の部品を接着しただけで 下の写真のように T-54にしかみえないスタイルが出現します。 これって楽しいことだと思いませんか?






車体後部のエンジン扉には 樹脂製のネットが付属


砲塔は鋳物肌のモールド、主砲カバーも部品が付属 手すりぐらいは 0.5mm金属線で置き換えたほうがよい。

   塗装すると 荒れた鋳物肌の実感ある砲塔となる




■ キットの補足
 トランペっターのT-54は、いくつかバージョンがありますが、今回は 模型店のバーゲンセールで半値以下でばっさりと処分されていたシングルモーター版を使いました。
 びっくりすることに、このキットは車体下部にギアが組み込まれ、モーターと電池ボックス、スイッチともハンダ付け配線済み。中国の安い労賃だからこそ、できることなのでしょう。
 中国内でモーターライズキットを販売しようとすれば、配線やハンダづけを購買者に行ってもらうことなど到底望めないという判断でしょう。

 転輪をつければ 即 走行できるはず、ですが、そこは中国製のこと。そんなうまい話はございません。 
 コストダウンのため、走行ギアがプラスチック製で 材料の強度が足りません。最終ギアを六角軸に圧入しただけのため、1分もすると プラギアだけ空転してしまい、走行できなくなりました。粗悪なギアボックスです。
 2000年くらいでしたか、上海市内のデパートで日本円で500円くらいで売られていた記憶があるので、親が子供に買い与えることもあったでしょうが、中国の子供達も だまされたような気持ちで さぞ がっかりしたことでありましょう。
 日本ではなぜかこんなキットが数千円で売られていますので、大きな大人が走らせて遊ぶこともないでしょうから、さらっと 無視しましょう。

車体下部にはモーター、プラ製のギアなど配線ずみで組み込まれている。
転輪をつければ 即 走行できるはずだったが、そこは中国製のこと。そんなうまい話はありません。





製作  
 車体下部に説明書どおり、10個のロードホイルを組んで、サスペンションと組み合わせると あっというまに 車体下部はできあがり。

 車体上部はエンジンパネルにメッシュを取り付けるようになっているので。説明書のメッシュ実寸図を切り取り、それを型紙にしてメッシュを切ると楽。 前部のドライバーハッチは開閉選択式。道具箱と燃料タンクをとりつければ、車体上部もできあがりです。 
 砲塔にはT-54なのでベンチレーターを忘れず取り付けます。
砲塔側面の手すりくらいは 0.5mmの金属線で置き換えておきます。補助タンクとライト類も取り付ければ、ストレート組みはこれで完了です。
 修正好きの方は とことんどうぞ。かなり楽しめると思いますが、あまり報われないかもしれません。


■塗装
 ソビエト車の標準の ロシアングリーンです。
塗装は 溶きパテ→こげ茶で下塗り → ロシアングリーンをエアブラシ → ウエザリング の順で行います。

溶きパテ
トラペはプラがつるつるしているので、車体上部、転輪、砲塔、主砲に溶きパテを塗り、表面の荒れた感じを出すようにします。 タミヤパテをグンゼカラーのシンナーで溶いて 溶きパテを作り、筆でつつくように塗り、荒れた感じが出ればOKです。

こげ茶色の下塗り 
溶きパテが乾くと銀灰色の表面になっていますので、N0.42 マホガニーにツヤケシ剤を加えて筆でくまなく下塗り塗装します。キャタピラもホイール裏も全て塗っておきます。 

上塗り
No.136 ロシアングリーン2を隅のマホガニーを残しながら吹きつけます。マホガニーのこげ茶がちょうどほどよい影部分になります。

ウエザリング
油絵の具のローアンバー、タミヤエナメルのハルレッドで錆び汚れを再現。緑の中に赤みがかかるとなぜか重厚な感じに見えます。 あとは、エナメルのグリーンとサンド系を混ぜて軽くドライブラシ。
デカールを貼り、保護のために、つやけしクリアーを吹きつけて、完了です。

完成
 牽引ロープをつけたり、ライトの配線を追加したりすると、ちょっと 精密感をかもしだせたりします。 

というわけで、T-54を楽しんでみました。修正すればキリがないのでしょうが、ストレートに作れば実質2日でここまできます。 トラペのT-54は皆さん敬遠していたので、模型屋の片隅に結構ころがっているはずです。
怖がらないでぜひどうぞ。
次回は JS-3 を取り上げます。

ロシアングリーンの上塗り後、このままではおとなしい 


ウエザリングをするとこんな感じに変身











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Vol.3 2009 Apr.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

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