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連載 ソ連戦車 第7回
SAM-6 対空ミサイル戦車   (トランペッター 1/35)

                                                     by タンクダンク
  この連載は ソビエトの戦車を 毎月1機種ずつ、楽に作れるキットを選び、できるだけストレートに製作して12台コレクションしてみましょう!というコーナーです。  第7回は 変わったところで、対空ミサイル戦車。トランペッターから これまた魅力的なアイテムが出ています。
 


■ 実車について  ■ トランペッターのキットは
 ロシアの対空ミサイル 通称SAMはベトナムでもファントムやF-105D三ダーチーフをかたっぱしから撃ち落し、その有効性が実証済みの対空ミサイルである。 SAM-6”ゲインフル”は1960代後半から配備され、それを 3連発で 戦車に積み、移動式としたのが、このSAM-6対空ミサイル戦車である。
 
 ミサイル戦車は独特の格好をしており、注目を集めるため、軍事パレードなどで披露され ニュースでよくみかける。
 60年代に配備されたため、今では、旧式化したが まだまだ多くの国の実戦部隊で使用されている。 
 トランペッターのアイテム選択は時々、心の琴線に触れるものがある。この、SAM-6ミサイル戦車は、 まるで、SFから抜け出したようで、日の丸をつければ、自衛隊戦車として対ゴジラ戦闘に登場しそうで、久しぶりに胸がわくわくする。
 
 このようなミサイル戦車アイテムは 無難を良しとする日本メーカーからは絶対に発売されないであろうことは 悲しいことだ。 大戦ドイツ有名戦車売れ筋ラインを35,48でこれでもかと繰り返し繰り出す 画一的な日本メーカーのアイテム選択に比べ、トランペッターの企画は幅と度量が広く、なかなか 頼もしいものがある。 このようなハイリスク チャレンジの商品企画は、自分でリスク取ることがお嫌いのサラリーマンが揃った日本メーカーには望むべきも無いところでありましょう。
 
 SAM-6ミサイル戦車キットは 非常に出来がよく、ストレート組みで十分な仕上がりとなる。見栄え十分、千両役者登場といった具合で、展示会では必ず注目を集める存在となるはずで、絶対お勧めのキットである。

後上方から見たミサイル戦車


■ 製作 車体下部
 キットのモールド自体は、スタンダードといえ、ランナーが9枚に上下部品、エッチング1枚と金属部品など かなりに部品点数が多い。 しかし、ここは部品をどんどんつけていくと、メカニカルな車体がバーンと出来上がっていく。そんなキットである。
 最近のCAD設計のキットゆえ、合いもよいし、バリなどもないので、パーティングラインを丁寧に整形すれば、特に面倒な注意点はない(はず)。
 毎度のごとく、車体下部から組み立てるが サスペンションが少しグラグラなので、各サスペンションのバランスを確認しながら、左右斜めになったり、ゆがまないように、接着する必要がある。車体下部は国の礎ならぬ、戦車の礎。しっかり組み立てよう。
 転輪は彫りが浅いような気もするので、ウエザリング塗装でカバーすることにした。 
 転輪類もサスペンションに接着するようになっているが、冷静に考えると、転輪も駆動輪も 模型としては回転する必要が無いことがよくわかる。
 キャタピラは筆者の不得意な分割式で かなり てこずった。 どちらかというと 製作が楽な樹脂製連結式キャタピラが好みである。ホイールに接着剤でキャタピラ部品を貼り付けて行くが、前後の駆動輪にさしかかる場所のE4部品を、ペンチでキャタピラを現物あわせのカーブに曲げる必要があり、慣れた人にはなんでもないのだろうが、筆者には 面倒しごく だった。
車体上ディテール


■ 車体上部
 車体上部左側面には エッチング製のノコギリが用意されている。 これは 企画者の趣味? 面白いパーツをエッチングで付属させるものだ。

 車体後部パネルの排気口のメッシュもエッチングで用意されていて、これはエッチングの特性が発揮されていて良い感じとなる。細筆の柄に押し付けて ゆっくりと丸めるとうまく形になる。
 正面2個の大型ハッチの取手は 0.5mmシンチュウ線で作り直した。ラジオペンチとシンチュウ線だけで、強度と精密感が増してくる お手軽ディテールアップである。後部上面エンジンパネルの取手も同様にシンチュウ線で作り直した。
 正面につける牽引ワイヤー用の銅線が用意されているが、つるつるしすぎのため、今回は省略。
 車体上面につける部品はかなり多いので、ここは、根気よく楽しんでみた。



■ ミサイルと 発射台
 ミサイルは左右接着式で、長いため、先端と最後部にスキマがでやすく、流し込み接着剤を使って、強い力で押し付けながら接着していった。
 このミサイルが この戦車の「顔」なので、乾燥後、丁寧にパーティングラインを整形し、それでも残る食い違いはパテで修正。 8枚の翼はいもづけ式だが、ここはがんばってきちんと90度になるように接着する。これが、ゆがんでいると、男前が台無しであるから。

 発射台も部品が多いので、短気を起こさず 作っていく。
ミサイル両側の保護パイプ手すりは発射状態にするとき、接着が不安定になるので、注意が必要だ。といっても見えない所にプラ板の補強をつけるくらいしか対策がなかった。 
 発射台後部の配管は質感を考え、ガンダム用コイルスプリングで置き換えた

 ミサイルとランチャーをつなぐ2本のホースは 同じくガンダム用コイルスプリングで置き換えてみた。 見るからに、グレードアップしたが、その質感はちょっと”ザク”を彷彿とさせるものに。

発射ランチャーの角度は可動となっているが、ぐらぐらするので 思い切って接着してしまった。

3連ミサイル


塗装   ウエザリング
 下地として、タミヤパテをグンゼシンナーで薄めて、溶きパテを作り、筆で全面にもれなく塗って、鉄肌のざらっとした感触を表現すると同時に、各部の接着スキマ埋めを兼ねている。 ミサイルも同様に溶きパテを塗っている。
 
 車体塗装は、明るめのグリーン塗装とした。
下塗りには グンゼのNo42マホガニーにツヤケシ黒を加え、タバコライオンをツヤケシ剤代わりにして、少し薄めに溶いて、筆でスミや影になる部分を中心に、キャタピラやホイール裏も含め全面に塗っておいた。
 上塗りには グンゼ特色のロシアングリーン2を使い、エアブラシでスミに下塗りのこげ茶が残るように吹いた。

ミサイルはニュートラルグレーと白の弾頭塗り分けとした。
いずれもつや消しである。
 ローアンバー(油彩)で全体をウォッシングし、立体感を強調し、エナメルのレッドとハルレッド、ブラウンで錆び汚れを各部に書き込んでメカっぽさを強調した。
 付属物が多いので、ドライブラシはエナメルのサンドできつめにドライブラシしてゴツゴツさを強調した。
 
ソ連軍としたので、車体のデカールは数字。
最後に、デカールのツヤを消すために、つやけしクリアーをブアと吹きつけた。
 ライト類はちょっと渋くした銀を入れている。
最後にキャタピラは見える部分に黒銀でドライブラシをして 全体のバランスをとり、完成。



完成    
 空をにらむミサイル戦車はソ連戦車コレクションの中でも異色の存在で、コレクションに花をそえ、アクセントを加えることができるのは請合える。

この連載も残り5台となった。
日本中で入手しやすい現行キットを主にえらんでいるが、
 JS-2(タミヤ),T-72(タミヤ),T-62 その他を予定。ドラゴンのZSU-23シルカ対空砲戦車も加えたいが、まだ入手できていない。それでは また来月お会いしましょう。

ランチャー ターレットは回転することができる。






Vol.8 2009 Sept.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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