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フェアリー・ソードフィッシュ 

小柳 篤司    コヤナギアツシ       . 
実機について

 1930年代初め、イギリスのフェアリー社はギリシャ海軍が要求した、雷撃、弾着観測、偵察等の任務を1機種でこなす多用途機、TSR1(Torpede-Spotter-Reconnaisance)の開発に取り掛かった。原型機PV TSRは1933年3月21日に初飛行したが、9月11日にスピンテスト中に墜落し、同時期にギリシャ海軍向けは中止になった。
 フェアリー社は墜落したPV TSRの発達型をイギリス海軍向けに開発し、原型機TSR IIは1934年4月17日に初飛行した。TSR IIは1935年2月に墜落したが、軍は1935年4月に先行量産型3機を発注し、5月には量産型ソードフィッシュMk1を86機発注した。
 1936年7月に最初の実戦部隊が空母グローリアスに配備された。鋼管羽布張りの複葉機は旧式に思えるが、旧日本海軍航空隊最後の複葉雷撃機、空技廠96式艦上攻撃機も1936年秋に採用されたので、この時期のイギリス海軍が遅れていた訳では無いが、イギリス海軍初の単葉雷撃機フェアリー・バラクーダの実戦配備は1943年1月なので97式艦上攻撃機より6年も後だった。
 1936年から第二次大戦勃発迄の3年間に、ソードフィッシュは13個飛行隊が編成されその中の11個飛行隊はイギリス海軍が保有する7隻の空母の内、5隻に配備された。1940年11月のタラント夜襲では、空母イラストリアスとイーグルから発進した僅か21機のソードフィッシュでイタリア戦艦を4隻大破させて一年前後行動不能にして、翌年1941年5月のドイツ戦艦ビスマルク追撃戦では撃沈に至らなかったが、操舵機を破壊されて半身不随になったビスマルクはイギリス戦艦の集中砲火に曝され撃沈された。
 ソードフィッシュは緒戦で目覚しい働きをしたが、1942年2月のチャンネル・ダッシュ作戦で英仏海峡の強行突破を図るドイツの巡洋戦艦シャルンホルスト、グナイゼナウ、に6機のソードフィッシュが向かったが、護衛のBf109、Fw190の迎撃に遭い全滅した。チャンネル・ダッシュ作戦が、ソードフィッシュの雷撃機として最後の実戦だった。
 ソードフィッシュは艦上雷撃機の任務を解かれたが、旧式ながら頑丈で信頼性が高かったので、レーダーやロケット弾等を装備して対戦哨戒機と使われ、1945年5月まで実戦部隊に配備されていた。
諸元

乗員: 3名
全長: 11.22 m
全高: 3.8 m
翼幅: 13.9 m
翼面積: 56.39 m2
空虚重量: 2,130 kg
最大離陸重量: 3,406 kg
動力: ブリストル ペガサス Mk.XXX 空冷星型レシプロエンジン、560 kW (750 hp)×1

性能

最大速度: 222 km/h
巡航速度: 167 km/h から 207 km/h
フェリー飛行時航続距離: 1,658 km
航続距離: 880 km
実用上昇限度: 3,260 m
武装
固定武装:7,7 mm 機関銃 2門
搭載量: 680 kg(魚雷、250ポンド爆弾2発、500ポンド爆弾2発)
(Mk.VII 爆雷、60ポンド ロケット弾8発 )

●参考資料●
Fairey Swordfish in action - Aircraft No. 175
W.A. Harrison Squadron/Signal Publications

撮影時期:2009年2月15日
撮影場所:ダックスフォード戦争博物館 http://duxford.iwm.org.uk/


(写真1) 全景 


(写真2) 機首上面


(写真3) 脚細部


(写真4) 消炎排気管が見える


(写真5) 後部からのディテール
横に見えているのは 搭載された魚雷


(写真6) 羽張りの 尾翼細部




Vol.8 2009 Sept.        www.webmodelers.com          Office webmodelers all right reserved   無断転載を禁ず  リンクフリー
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