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MONOGRAM 1/48 F/A-18A

by Kiyoshi Iwama



モノグラムから発売された当時のキット名が、確か”A-18 Strike Fighter”となっていたように記憶しています。まだ試作機が出来上がったころだと思いますので、キットも試作機のままで転換飛行隊のVFA-125のデカールが付いていました。

実機紹介

 今更実機を説明するまでもありませんが、今では米海軍・海兵隊の主力戦闘機となっているF/A-18 ホーネットです。F/A-18の誕生を遡ると、空軍の軽量戦闘機(LWF)プログラムで、ジェネラルダイナミックス社のYF-16と競り負けたノースロップ社のYF-17に辿り着きます。海軍も丁度このころ、A-7コルセアIIに代わる機体を模索しており、しかも海軍は攻撃任務だけでなく戦闘任務もこなせるVFAXを検討していました。YF-17の運動性は決して悪くなく、しかも海軍好みの双発。結局ノースロップは、海軍機の開発・製造で実績を持つマクダネル社と組み、海軍機に必要な強度、海軍の要求する航続距離や電子兵装などに対応するため、マクダネル社を主契約者とし、YF-17をF/A -18として再開発することになりました。

 海軍の要求を満たすため、機体形状には少々変更が加えられましたが、基本的にはYF-17の形状が維持されました。見た目で大きく変化したのは、強化された脚と積載燃料の増大で高く盛り上がった背部、そしてマルチモードのFCレーダ、AN/APG-65を収納するため少し大きくなった機首回りです。また軽量化のために複合材が多用されました。そして1978年11月18日、試作1号機が無事初飛行に成功します。しかし、その後はトラブルの連続で、結局航続距離は要求を若干下回ることになりましたが、その高い操縦性能がF/A-18を量産にまで導くことになったのです。

製作キット紹介

 さて、キットの方に戻りますが、先にも述べましたようにキットはかなり古く、試作機を反映したものですので、量産機として完成させるにはいくつかの改修が必要となります。そうこうしているうちに、ハセガワからF/A-18Aの決定版(1/48)とも言えるキットが発売され、モノグラムのキットを製作する意義が失われそうになりました。しかし、モノグラムのキットにはその細部の表現など捨て難いところがあり、結局LRIP時の初期量産型に改修し製作を進めることにしました。

 そこでこのキットには、1983年3月25日、米海軍の運用部隊として初めてF/A-18A受領することになった飛行隊の一つ、VFA-113 “Stingers”のマーキングを施すことにしました。当時、海軍、海兵隊ではロービジ塗装全盛の時代で、ダブルナッツ機と言えども、現在のような華やかな姿を見かけることはできませんでした。キットも実機と同様ロービジマーキングで仕上げました。

 次に主な改修箇所について説明します。
まずこのキットは、細部のモールドは素晴らしいのですが、パーツの合いが良くありません。胴体は上下分割されていますが、機首の部分は大きな段差が付き、プラ板を張ってパテで修正しました。また当然のことながらパネルラインは凸ですので、全て彫り直すことにしました。このとき注意したのは、モールドについた小さなリベットです。実機は沈頭鋲のため平滑ではありますが、実感を出すためリベットは残すことにしました。また、尾部のエンジンノズル部の胴体が太くノズルとの間に大きな段差ができました。このため、胴体尾部を整形し、パネルラインを掘り直した次第です。さらにキットのエンジンノズルは形状が実機と異なることから作例では、ハセガワのキットから流用しています。





 また量産機にするために施した改修ですが、コクピットはほとんどキットのままで、塗装でそれらしくごまかしました。HUDとリアビュー・ミラーはハセガワのエッチングパーツを流用しました。またキャノピーはクリアーパーツとフレームが別パーツのため、できるだけ隙間がなくなるように組み立て(一部パテで埋める)、最後に真鍮線で造ったキャノピーのハンドルを付けてやりました。またストレーキの付け根にインテークの境界層セパレータではじかれた空気を排出する穴がありますが、キットでは出口の形状が実機と異なっていたため、その周辺の修正を行いました。



 その他、左右のインテーク下面にあるアンテナレドームを自作、またキットにはモールドもないフレアー・ディスペンサーをこれもハセガワのエッチングパーツを利用して貼り付けています。その他全温度センサーには糸針の先端を利用、また尾灯はクリアーパーツのランナーから削りだしています。F/A-18は駐機時にはラダーが右に傾いた状態となますが、ラダーを作り直すのを躊躇い、このためキットではライブ状態とし、パイロットフィギュアーをコクピットに座らせました。このパイロットもキットのままですが、少し手を入れるだけで十分役に立ってくれました。



 なお、ハセガワのF/A-18Aでは垂直尾翼の内側根元に補強金具が付き、またストレーキ上面に小さなフェンスが付いていますが、この初期量産型ではまだ取り付けられていません。


 キットの脚や脚収納庫は非常によく出来上がっています。特に主脚や前脚は、細部もモールドされており、丁寧に仕上げれば十分な実感を与えてくれます。タイダウン用の鎖をつなぐリングまで別部品でモールドされており、結構アクセントになりました。また前脚のランディング・ライトとアプローチ・インデクサーは正面から目立つため、作り込みました。


 最後に兵装ですが、センターラインに燃料タンク、胴体左右にはLSTとFLIRポッド、主翼パイロンには内側に500lb Mk.82通常爆弾をパラレル装備、また外側パイロンには500lbのレーザー誘導爆弾を、そして翼端パイロンにはAIM-9Lを装備しました。AIM-9Lはキットのものが良くできていましたので、翼を整形するなどしてそのまま使用しました。しかし、主翼パイロンや燃料タンクは形が異なっていたため、やはりハセガワのキットから流用し、センターパイロンは自作しました。また誘導爆弾はハセガワのウェポンセットからもってきたもので、誘導部のフィンリングを作り直しています。



 こうして出来上がったのが、今回紹介した写真の機体です。F/A-18の特徴が表現されたモデルになりました。しかし一つだけ反省点があります。それは塗装色です。実機と同じFSナンバーのMrカラーを塗装したのですが、機体上面部の色が濃かったのか、はたまたデカールの色が薄かったのか、両者の明度が近くなり、ロービジの効果が強くなりすぎたことです。


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