Home > グラビア >米海軍現用機シリーズ No.11  ボート A-7 コルセアⅡ  (ハセガワ 1/72)

ボート A-7 コルセアⅡ  (ハセガワ 1/72)   

by 厚木の助さん        。



 厚木の助でございます。2ヶ月のご無沙汰でございました。先月は、増刊号の記事加筆にかかりきりになっていたこともあり、お休みさせていただきました。過去連載の10機を増刊号として一冊にまとめるにあたり、編集部から もう少し上品な表現に変えるようにと指令が下されまして、実機解説の追加と共に 無い頭をひねっていたのでございます。しかし、コンテンツがサイト容量制限でいつかは消えるネット模型誌なので、PDFファイルの増刊号で永久に形に残せるのは アリガタイことでございます。
 
 今回のA-7コルセアⅡですが、故あってハセガワのコルセアⅡを選択させていただきました。 普通ならば フジミ製ね、ということでありましょうが、それは次の機会とさせていただきたいと存じます。 
 実はまだ駆け出しの頃、重い全飛行隊病にかかりまして、ハセガワキットの大量の在庫を持っており、今回の機会を利用して、1機完成となったわけでございます。 
 ハセガワキットのレドーム団子鼻はヤスリでざくっと削れば簡単に整形手術できます。そう怖がらないでお付き合いください。
 最近はホビーボスからもTA-7の新キットが発売されており、A-7コルセアは根強い人気があるようです。複座機と並べてみるのも一興でありましょう。
 A-7コルセアⅡは わが厚木ベースから姿を消してから、早幾年か。いつのまにか年月が経ちました。80年代のオープンハウスの主役はなんといってもコルセアⅡとF4ファントム。そういえばイントルーダーもいましたねえ。この時とばかり、かぶりつきでバチバチと写真をとったものです。やはりその抜群人気の秘密はハイビジ時代の尾翼の派手なマーキングにありましたか。

 そのオープンハウスも911以降 米軍が戦時体制に突入したこともあり、開かれなくなり、アメチャン気分一杯の広場のハンバーガーの香りも軍楽隊の音楽も懐かしい時代となってしまいました。
冷戦がやっと終わったと思ったら、キリスト教圏とイスラムアルカイダとの聖戦とは、十字軍クルセーダーの時代の再来です。オバマはノーベル賞の授賞式でイラク侵攻は正義の戦争だといったとか。正義の戦争と聖戦、どっちもどっちであります。いつになったら戦争が終わり、平和な世の中が来るのでありましょうか。
次は二酸化炭素排出権をめぐるキリスト教圏と第三世界仏教圏の戦争にならないよう 祈るばかりであります。
 


実機について

A-7コルセアⅡはA-4スカイホークの後継機として、1964年にボート社により開発されております。
ベトナム戦の戦訓を取り入れ、通常兵力による攻撃、爆撃作戦を遂行するために、亜音速、全天候作戦能力で最大の能力を発揮されるように設計されています。F8クルセーダーを短縮して小型にしたようなレイアウトから、フトッチョだの「チビのみにくいヤツ」などという有り難くない仇名がついております。主翼下に大量の爆装をするには、クルセーダーの高翼が都合よかったのであります。
F8からはフライングテイル、油圧、電気系統の構造や、脚など そのメカニズムが流用され、A-7の随所に生かされています。
最初のA型は 機首に20mm砲 2門を備え、P&W TF-30-P-6 (5150kg)ターボファンを装備しています。
部隊配属は1966年、VA-147を皮切りに開始され、ベトナム戦には翌年12月からレンジャーに搭載されトンキン湾に投入されました。
B型は196機生産。ラダー付け根のECMアンテナが装備されていません。

最大の生産型はE型で、535機生産され、空軍型D型で実施された改良を取り入れ、固定武装が20mmバルカン砲1門にかわり、弾数も空軍と同じ1000発となっています。
20年間、空母攻撃機部隊の主役を務め、90年代に FA-18に交替し、実戦部隊から退役しております。

ハセガワA-7コルセアのキットについて

ハセガワのキットはA-7AコルセアⅡとして、今から42年前の1967年に発売されております。本場レベルが1968年発売ですからそれよりも1年早く、世界最初のモデル化であり、ハセガワの宣伝にも力が入っていたような記憶があります。
 当時の世相はベトナム戦争の泥沼、真っ只中。コルセアⅡは米海軍おろしたての新鋭攻撃機でありました。日本ではまだ、資料に乏しい中をハセガワがリリースしたため、スタイルの疑問点もついてまわり、わかりやすい最大の欠点は機首レドームが太く、丸いという団子鼻でした。また、エアインテークのリップが薄く、立体感がなく、底が浅いのも気になりました。
 コクピットは簡単なコの字シートとパイロットがついているのみの簡単なものでしたが、これは当時のプラモデルキットの標準がこんなものだったので、気にはなりませんでした。 
当初、A型の極初期型をモデライズしたため、垂直尾翼上の後方警戒アンテナのフィアリングは最初ついていませんでしたが、後に金型改修され追加されております。

 不肖、助が、中学3年生で最初に作ったスケールもののジェット機がこのハセガワのA-7コルセアでありまして、個人的にはエポックメーキングなキットであります。舶来のレベルキットの入手など望むべくもなく、ハセガワのキットは当時どこでも入手でき、泥沼のベトナム戦争にトリップすることができる貴重なキットだったのであります。

 それから数えると幾年か、今回製作したのは、3機目。数えてみますと、20年毎に1機製作している勘定になります。
 80年代でしたか、マイクロデカールのリリースに誘われるように、全飛行隊病にかかり、10機まとめて購入という暴挙に出ました。団子鼻はヤスリでざくっと削れば修正できるはず、コクピットは当時これまた売り出されたタミヤのプラ板を使えば、自作可能と夢は虹のかなたへと膨らんだのでございます。
 しかして、結果は意気地なく、半分がまだキットのままでモスポールされており、後の半分は下のようなパテモリ修正の段階で矢折れ、放置されているのでありました。
 フジミから80年代後半に新金型キットがリリースされた後、某所では、価値が見出せないキットとまでいわれた可哀想なハセガワキットであります。しかし、ところがどっこい、今回、完成してみますと、その佇まいは立派なもの。 現用航空機プラモデルを日本で確立しようと奮闘した当時のハセガワの熱意が伝わり、先人達の苦労が偲ばれます。


製作

 コクピット

 

 コクピットは写真左のようなシート様の部品がついているのみ。
床板も計器板も一切ありません。
ちなみに右はレベルキットのシートです。さすが本場舶来キットであります。結構それらしい形をしております。


 プラ板と2mmプラ棒を組み合わせて、下のようなバスタブ型のコクピットを自作いたしました。つや消しダークガルグレーに塗った上にマイクロ(スーパースケール)デカール付録の計器板を貼っています。サイドパネルは他キットの余りデカールから流用しております。


 胴体に組み込みますと、下の写真のようになりました。
ウインドシールドはキットのこの上にプラ板で自作してかぶせ格好をつけました。
シート後部の穴はプラ板を貼って埋めてしまいますと、気になりません。。

 シートはメタルシートをさがしたのですが、入手できず、ハセガワの1/72TA-4Jスカイホークのシートを参考に、プラ板の組み合わせで自作いたしました。キットにバランスがとれる大きさがキモですので、サイドパネルと比べてバランスをとりながらサイズを決めて参りました。
 下の写真は、シートの下部。この上にヘッドレスト部が接着されますとそれなりの形にでっち上げ完了です。

エアインテーク

 胴体左右を接着する前に、機首にオモリをきちんと仕込んでおきませんと、きっちりシリモチをつきます。因果律そのままの当然の帰結でございます。

 エアインテークのリップは薄いので、片側ずつ0.5mm0厚のプラ板を2枚重ねてゆき、厚さを1mm増しましたが、完成して見ると1.5mm増してもいいようです。これを左右一枚でやろうとしますと、なかなかうまくゆきません。急がば回れという格言もございます。
 前縁のリップはもちろん、接着剤が乾燥後、パテモリでスムーズに整形いたします。
 インテーク底が浅く、見えていますが、開けてもダクトがなく、どうしようもないので黒く塗ってごまかすことにいたしました。
 別解として赤いインテーク蓋を自作して「臭いものには蓋」、きれいにごまかしてしまうという荒業もございます。。
 前脚格納部は1mmほどの掘り込みがあるだけの簡単なものですが、完成すると前脚カバーに当然隠れますので、小生の性格では気になりません。さらっと、放置しておきました。
 
 機首レドームはとにかく、実機写真を見ながら、側面形、平面形ともヤスリで大胆に遠慮せずに削り もう少し細くとがらせます。その後、断面が丸くなるように削るのが、成功への近道です。一番いい立体資料は もちろんフジミ1/72。座右において、ハセガワキットを削るのもこれまたオツなものでしょう。


 胴体と主翼の付け根と垂直尾翼付け根は、どうしてもスキマも段差も発生しますので、タミヤパテを盛って整形して参ります。
同時に各部のヒケなどもパテ埋めして修正しておきます。
 主翼後縁はナマクラということになっておりますが、シャープに薄くしておく方が、1/72では それらしい雰囲気が出るのではないかと思います。あくまで私見でありますが。
 この当時のキットは動翼だけがスジボリで、パネルラインなどは繊細な凸モールドです。今回は、彫りなおさず、そのまま製作しておりますが、全く気になりませんねえ。なんでもかんでもスジボリでないといけないという風潮は 小生はいかがなものかと。

垂直尾翼ですが、写真を見ながら、先端をピンと張ってください。ここでイメージがかなり変わって参ります。
 



塗装

 マイクロスケールデカールの手持ち在庫を使い、VA-46のB型といたしました。シックなストライプが似合います。尾翼後部付け根のフェアリングをカットするだけで、A型からB型へと変身いたします。
 ガルグレーとホワイトのハイビジの出で立ちであります。両色ともグンゼの特色を使ってあります。翼前縁はダルシルバーとしました。実機の表面は近くで見るとテカテカですが、使い込むうちにツヤが落ちてきます。今回はシックなマーキングに合わせ、デカールを貼った後、少しつや消しのクリアをかけておきました。落ち着いた雰囲気になったでしょうか?
 全体は凸パネルラインですので、動翼のみ油彩のローアンバーでスミイレを行いました。
 最近、中国製の完成1/72ダイキャストモデルに模型店店頭でご対面することが多くなっておりますが、パネルラインに、これでもかと墨イレが強調されていて、どうも違和感が。ま、どこまでいってもミニカーのたぐい。しょせんオモチャですから仕方ありますまい。 実機は大きいので、近くに寄らない限り、パネルラインがくっきりと見えるわけではありません。
それもあり、自分で作るものはすっきりした仕上がりにするようにしております。そこは手作りの良さでありますねえ。

脚など細部

 前脚にはカタパルトフックがないので、プラ板とパイプで自作して追加。主脚カバーは前後で2分割します。脚カバー断面はレッドです。アンテナ類は金属板で作り変えると男前が上がります。
パイロンと爆弾はキットに付属していますが、ちょっと実感に難があり、まだ未搭載です。しゃれたタンクでも搭載したいところです。
 サインドワインダーは、ハセガワの武器セットから持って参りました。ミサイルはどのキットもイモヅケなので、経年変化でボロッと武装解除になるのはよく経験するところです。写真のように、0.5mmのシンチュウ線でピンを埋め込むと丈夫に取り付きます。もちろん、ランチャー側にも0.5mmドリルで穴を開けます。

完成した佇まい

 いかがでしょうか?
40年前のキットをほぼストレートに作っておりますが、それなりのスタイルにできているのではないかと思います。
60年代から80年代にかけて活躍したコルセアⅡは 厚木の常連だったこともあり、頭に刷り込まれた機体です。
ぴんと上がった垂直尾翼がシャチホコの尻尾のようで、テールの上がり具合が、なんともいえませんねー。
この30年というもの、コルセアⅡにぞっこんであります。
今回はこんなところで、失礼つかまつります。
厚木の助でございました。




  Home > グラビア >米海軍現用機シリーズ No.11  ボート A7 コルセアⅡ  (ハセガワ 1/72)
Vol.13 2010 Jan..      www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
  無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

製作記事

TOTAL PAGE