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連載 ソ連戦車 No.9
JS-152   (タミヤ 1/35) 

                                                     by タンクダンク
  この連載は ソビエトの戦車を 毎月1機種ずつ、楽に作れるキットを選び、できるだけストレートに製作して12台コレクションしてみましょう!というコーナーです。  No.9 はタミヤから発売されたばかりの JS-152 、新製品レポートを兼ねての 製作です。

完成写真


実車について

タミヤのキットは

 ドイツのタイガー1に対抗するために急遽開発されたのがJS-2である。そのシャーシーを流用して152mm自走砲を搭載して開発されたのがJSU-152である。
主砲は152mm野戦砲を車載用に改造した ML-20Sで、タイガー1やパンサーを撃破できた。
 1943年末から量産を開始し、すぐ部隊に配属され、1944年を戦い抜いたのである。大重量の砲弾により、貫通力が高く、破壊力は絶大で、ロシア各地の都市奪回戦、ドイツへの侵攻作戦、防御トーチカの撃破に使われた。
JS-2の3000両を超える4075台が戦争中に生産され、戦後も5000台を超える生産が続けられ、東側同盟国で1970年代まで長く使われた。
 傑作といわれているタミヤのJS-2の足回りと車体後部を流用し、車体前部を新規に起こしたもの。
 モールドも合いもよく、ストレートに組み立てても実感満点である。組み立てはパチパチと接着して行けて、何のストレスもなかった。素組みでも魅力的な仕上がりになる。
 キットはJS-2と同様、エンジングリルにはエッチングパーツが用意されている。また、キャタピラは一体のベルト式樹脂製と 連結式の2種類が用意されているのも同様である。

素組み状態

製作

車体下部

 車体下部はサスペンションアームが別体になっていて A14の調整ジグを使って水平になるように調整するようになっている。

 サスペンションアームの接着が乾燥して、先に組み立てておいたホイールを組み付ければ、車体下部は完成。




キャタピラ


 D1とD3を交互に接着して連結式のキャタピラを組み立てる。たるみのつくキャタピラ上部は説明書どおり、マスキングテープをジグに貼ってから 連結すると接着剤でキャタピラがジグに張り付くことが防げる。  ドライブスプロケットで位置を決めて説明書どおりの順番でキャタピラをホイールに接着して行く。
前後の駆動輪と起動輪の所には、マスキングテープを補助に使いながら固定してゆくと楽に組める。


車体上部

手すりの自作

 車体上部は 前後の2体に分かれている。JS-2キットの設計時から、JSU-152を発売するつもりで 前後に分けていたのだった。下写真の左は JS-2の車体上部前側部品で、JSU-152ではこの前側部分が新規金型で起こされている。  手すりは0.5mm径のシンチュウ線か洋白線で置き換えると強度が増す。先細ペンチで現物あわせで曲げるが、接着の際、車体に並行にするには、下の写真のようにヤスリの柄などをスペーサーに使うと便利。

ラジエターにはエッチング部品がキットに含まれているので、スコッチの多用途強力接着剤で仮止めし、瞬間接着剤で接着する。



とにかく細かい部品を全部接着してしまい、戦車の形にするのに丸1日程度でできる。
形になった自走砲は無骨だが、 中学生の時にジューコフを夢中で組んだ懐かしさを思い出させた。
 単純にプラモの製作に浸れる楽しい時間だった。



ワイヤーロープ


 ワイヤーロープは筆者は今回は搭載しなかった。
キットには1mmの糸が用意されているが、金属ロープで置き換えると実感が増す。ホームセンターで1mm径ならば1m当たり200円程度で計り売りしているので気楽に利用しよう。強度があるので、切断は必ずペンチで行う必要がある。こんな時には100均で買ったペンチを使い捨てにするつもりで使うと気楽。ロープ基部A40への接着は 瞬間接着剤を使うと楽。表面には 忘れずに メタルプライマーを塗っておこう。

下塗り

まず、タミヤパテをグンゼシンナーで溶き、溶きパテを作り、全面に塗った。
半乾きの時に、筆の先でつついて荒らすと、つるつるしたプラスチックの成型表面を鋳物肌のガサガサしたテクスチャーに簡単に変えることができるのでお薦め。

その後、薄めたつやけしのマホガニーで全体を塗って影付けを行った。
グンゼNo42マホガニーに タバコライオンの粉を加えて、しっかりと艶を消して、細めの筆で隅までくまなく塗って行く。
車体下部も筆をつっこんでしっかりと隅まで塗っておく。
本塗装のグリーンをエアブラシしても、ここまでは塗料が入らないので、このマホガニーが影の色として残る。

上塗り塗装 と ウエザリング

細部塗装

車体塗装は、キット説明書の指定通り、ロシア標準のグリーン塗装とした。上塗りの塗料には グンゼ特色のロシアングリーン2を使い、エアブラシで塗装。
下塗りのこげ茶がスミに残るように吹いていった。
 
 ウォッシングはローアンバー(油彩)を薄くペトロールで溶いて 全体をウォッシング。隅に流れ込むので立体感が強調される。
 半乾燥の時に、ボロ布などで拭き取る。

 ドライブラシは ウォッシングの油彩がしっかり乾いてから エナメルのバフで軽くドライブラシし、更にエナメルのハルレッドとブラウンで錆び汚れを各部に書き込んでみた。
 車体下部は同様にエナメルのサンドでドライブラシし、どろっぽさを強調した。
 好みだが、乱暴なくらいに影側の暗いコントラストがついていても、ソビエト戦車らしさが出るのではないかと思う。
 
 砲のクリーニングロッド、スコップの柄などは木製なので、無塗装木製としてもよいが、車体と同色に塗られていることもあるので、今回はバランスを重視し車体同色とした。
 車載機銃はつや消し黒に黒を加えた銀でごく軽くドライブラシした。
 マーキングはキット付属のソ連軍とした。子供の時からジューコフ自走砲には赤い星を貼るものと決めていたので、その流れで箱絵の指定とは違うが、赤い星を貼ってみた。
 つやけしクリアーをデカール保護のために全体に軽く吹きつけておく。 
 キャタピラはマホガニーに黒を混ぜて塗装し、見える部分に 黒を加えた銀でごく軽くドライブラシをして塗装は完了。
 

完成写真







完成

 無骨な砲塔基部と152mmの大口径の砲が迫力満点で、専門兵器に特化したソビエトAFVらしい荒々しさを感じる。



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Vol.14 2010 Feb.        www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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