Home > 今月のハイライト>連載 世界の名作発掘(第10回) 1/72 ハセガワ・フロッグ「ミィーティアF4」

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第10回)

1/72 ハセガワ・フロッグ「ミィーティアF4」

by 鳥巣 Torisu           /    

<初めに>

 厳しい寒さが続いた2月も終わり暖かい3月になりました
通勤で使う駅までの街中では早咲きの桜や紅梅(白梅)も咲いています
まだ寒さが堪える日もありますがそろそろ締め切った工作部屋の窓を空け春の目覚めを迎えましょう



<実機解説>

 WW2末期に連合軍側初のジエット戦闘機として欧州戦線に登場したミィーティア(F3型)は凋落激しいルフトヴァッフェのジエット機との空戦は叶わぬままベルギー戦線で主に地上攻撃機として使用され終戦を迎えた。
 WW2後RAFの主力戦闘機となったミィーティアはいくつかの改良が進められその中で速度性能改善の為さらにハイパワーのジェットエンジン(RRニーンエンジン)搭載を検討された。
 しかしオリジナルのニーンエンジンの直径が大きくミィーティアのエンジンナセルには収まらないのでニーンの縮小版エンジン・ダーウエントの開発が進められると共にエンジンナセルの形状を縦方向に伸ばした「ロングナセル」型のミィーティアの開発が指示されミィーティアF4として1945年5月17日に初飛行した。
 ダーウエントエンジンの搭載とロングナセルにより性能は飛躍的に向上し海面では966㎞を超え40000ftまで8分で上昇でき最大速度はマッハ0. 85を超えた。
  さらに翼端を「切断翼」に整形し高速時の旋回性能の向上と翼の強度の向上をさせた。
 その他に特筆する点としては航続距離を延ばす為に主翼下面にも増加燃料タンクを取り付けられるようになった。この個所に取り付けられたラックによりロケット弾や爆弾が搭載可能になり後の朝鮮戦争でMk・8が地上攻撃機として活躍できる基礎を築いた。
 WW2後欧州では唯一ジエット戦闘機を製造し配備できたのは当時のイギリスだけであったので各国はミィーティアF4の取得を熱望したが実際に購入したのはベルギー・オランダ・デンマークの3国だけであった。他にエジプト・アルゼンチンが購入し、アルゼンチンでは1970年まで現役であったと言う



<キット解説>

 晩年のフロッグ社の製品で1970年代にハセガワが日本代理店として取り扱いハセガワが起こしたパッケージにインスト・デカール・が新規に起こされ日本国内に流通しました。
 このミーティア以外にも「シャックルトン」や「Me410」等魅力あるキットの販売されていました。
 キットは4つのランナー枠に収められキャノピー・デカールの構成になっています。
 モールドは凸ですが五月蠅いリベットは一切有りません
少しプラの材質が硬い感じがしました。
箱絵 


デカール

胴体パーツ

主翼などのパーツ

制作

<コクピット>

ではコクピットから
 コクピットフロアーらしい床板とイスと言っていい形状の座席とパイロット・スティツクの4点で構成されています。計器盤は再現されていません
 これでは寂しいので計器盤と座席はそれらしく見せたいのでジャンクパーツの中からハセガワのEEライトニングの物を持ってきました。
 しかしパイロットを載せキャノピーを閉じたら全く見えなくなりました(泣)
う~ん 72のスケールではコクピット内部の再現はパイロットを入れるかどうかで左右されてしまいますね(汗)


<胴体と張り合わせと主翼の組立>

コクピットを胴体に取り付けます。取り付けたら重りを機首部とコクピットの後ろに入れます。
このキットはかなりのティルヘビーなので主脚の前に出来るだけ入れましょう。今回の作例では重りが少し足りなくて4本目の脚である真鍮線を付けて後ろへ倒れるのを防いでいます(実機はエンジンや燃料タンクの取り付け位置で3点姿勢を維持しています)

次に主翼の組立です
翼の上下の張り合わせの前にエンジン部品を付けます。この部品には上下の向きがありますので仮組をして向きの確認をしてから取り付けます。ここで向きを間違えると翼上面と干渉してしまいます
 翼の組立が終わったら胴体へ取り付けます
主翼のつばに少し厚みが有り長いので胴体のダボ穴に上手く入りません
 ツバの前後をカットし平ヤスリで肉厚の部分を削り調整しました
翼を接着した後胴体の張り合わせと主翼の取り付けで生じた隙間にポリパテを盛り付けます。
一晩寝かしてポリパテが固まったのを確認したら#400の紙ヤスリで凸モールド共に削り整形しました。
#800・1000・1500と番数を上げながらペーパー掛けを行い仕上げに#2000で磨きます。
水気をティッシュで拭き取ったらサフを吹きます
通常は缶サフを吹くのですが今回は銀塗装の機体なので下地処理を丁寧に行いたかったので、ハンドピース用に希釈した#1200のグレーサーフエンサーでサフが厚ぼったく成らない様に薄く吹き付けました。



<モールドの再現と下地塗装>

サフ吹きが乾いたらペーパー掛けで消えたモールドの再現をします
インストの塗装参考図や資料本の図面を見ながらいつも使うトライツールの「ラインエングレーバー1(細線)」とモデラーズマスキングテープで大まかに彫り直します。音楽やラジオを聴きながらリラックスした気持ちで1時間ぐらいの作業で終わりました。塗装よりスジ彫り作業に神経を使う方なので音楽は欠かせません(笑)
スジ彫が終わったら下地塗装です
銀色の発色を良くするために先ず下地に黒を塗ります。この黒は必ず艶のある黒を使用します(以前間違えて艶消しを使ったら悲惨な結果に成りました)
使用した黒はMrカラー2番「ブラック」とガイアカラー「ピュアブラック」をブレンドした物です。
 薄く黒を重ね塗りします。黒塗装が終わったら乾燥の為1日置きます
機体全体に黒の乗り塗り残しがなければ銀塗装の作業に入ります


<銀塗装と塗り分け>

銀の基本塗装として乾燥が比較的早く隠ぺい力の強いMrカラー8番「銀」を塗ります。気持ち薄すぎかなと言う感じに希釈して塗ります。こうすれば吹き付けた後の滲みや塗膜のツブツブの発生を防ぐ事ができます。
 機体全体に銀を吹きつけたら乾燥の為一晩置きます
塗装が乾いているのを確かめたら塗り分け個所をマスキングします
今回塗り分けた個所は
機首の先端部(Mrカラースターブライトシルバー)
動翼(黒+銀)
エンジンナセルのエアーインテーク側(スターブライトシルバー)
エンジンノズル(黒+銀)
ガンベアドアとコクピット直後のパネルの一部(スターブライトシルバー)
の6か所を色調の違う銀で塗り分けました
 機首部やエアーインテーク等に使ったスターブライトシルバーは光沢が良く粒子も非常に細かいので銀塗装機のアクセント付けには重宝します(若干値段が高めですが)
 ここでの作業での注意する点は塗り分けラインに貼るマスキングテープの貼り方です。テープを貼って指で押しつけると重ね塗りしたスターライトシルバーや他の銀色の塗膜が剥がれてしまうので力を入れずに軽くテープを乗せるようにして貼りましょう。
 



<デカール貼りと仕上げ>

銀の塗り分けが終わり完全乾燥して塗装が乾いたらデカール貼りです。
マーキングはミーティアF4を初めて配備された
No263スコードロン「フエローシップ」所属機です
胴体のラウンデル両側に描かれた赤いバーとエンジンナセルの狼(キツネ?)が目を引きます。
40年前のデカールなので仕様が困難と思いましたが流石メイドインジャパンデカールの糊が生きていてお湯にひたしても分解することなく使用できました。
元のデカールのラウンデルと尾翼の国籍マークの色が暗すぎたのでジャンクデカールから発色の良い物をチョイス(イタレリ1/48セーバーの物)して使用しました。
 オリジナルのデカールはやはり年季が入っておりティッシュを当ててで水分を吸い取る作業中に一部剥がれてしまいましたので塗装でタッチアップしました。
 デカールを貼りましたら剥離防止の為タミヤ「マークソフター」で保護します。
 最後に脚とピトー管を取り付けた後クリアーを吹き付け乾燥させたら完成です
現在フロッグのミーティアは骨董品扱いでなかなか完成品をみないキットですがもしお手元に有ったらぜひ作ってみてください
現在でも通用するプロポーションの良さに溜め息が出るでしょう

今回も貴重なフロッグ社製品を作る機会を与えてくださった編集部に感謝です

<参考資料>
世界の傑作機(旧版)No96「ミーティア 1」
スコードロン「No152 ミーティア インアクション」
インターネット
等を参照しました




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Vol.15 2010 Mar.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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