Home >今月のハイライト> 連載 世界の名作発掘(第16回) ツクダモデル1/72 Mig-31「フオックスハウンド」

連載  世界の名作(迷作)キット発掘コーナー (第16回)

 ツクダモデル1/72 Mig-31「フオックスハウンド」

by 鳥巣 Torisu           /    

<初めに>

観測史上初の酷暑が続いていますがモデラー諸氏の制作活動生活は如何でしょうか
さながらサウナーに入りながらの制作活動ですね
集中すると喉の渇きを忘れがちなので手元にペットボトルの飲料水を置きこまめの水分補給を心掛けましょう
制作中に熱中症で倒れるのはシャレにならんです



<実機解説>

 1967年7月にモスクワ近郊のドモデドボ空港で開かれた航空ショーでマッハ3の速度を持つ戦闘機としてセンセーショナルなデビューヲを果たしたMig-25は当時の西側陣営には脅威の戦闘機として写り後のF-15やF―14を開発するきっかけとなった
 Mig-25が配備され始めた1960年代末アメリカの戦略爆撃機による核兵器の攻撃手段が従来の高高度侵入から低高度侵入及び空対地ミサイルや巡航ミサイルによる攻撃にシフトした。
これは高高度迎撃任務専門に開発されたMig-25の低高度への迎撃任務への変更を促したが元より高高度迎撃専門の機体なので
ルックダウン能力の無いレーダー
速度優先の燃費の悪いエンジン
等の欠陥が指摘され新たな迎撃機を作ることとなった
新規開発の機体にはMig-31と名付けられ
低高度を長時間飛行できる燃費の良いターボフアンエンジン
探知距離200km・追尾距離120kmの能力を持つ世界初のファイズドアレイレーダー搭載し、Mig-25には装備されなかった近接用兵器としてGSh-6-23―23ミリ機関砲を搭載した複座の迎撃機として1975年に9月に初飛行した。
 
その後テスト飛行が行われて1979年に量産が開始され逐次防空軍へ配備され21世紀の今日でも新鋭のSu-27と共に防空任務の一翼を担っている。
また極東方面軍にも配備され20世紀末にはJSDFのF-15のスクランブルを受けたMig-31の写真が公表され話題になった。
Mig-31主要データー

全長 22.70m
全幅 13.5 m
運用自重 21.820kg
エンジン D-30F-6(推力15.500kg)×2
最大マッハ数 マッハ2.35(高度17.500m)
戦闘行動範囲 1.200km(R-33×4搭載時)



<キット解説>

 1980年代後半のソ連のグラスノスチ政策で新鋭のソ連機の実機や写真が公開された頃にツクダホビー突如と販売したソ連ジエット機シリーズの製品です。
他にもSu-27やMig-29・Yak-38・Su-25等もリリースされ飛行機マニアを狂喜させました。
 キットは凹モールドで全体的にカッチリした印象を受ける製品です。ミサイルも長距離用のR-33とR-40の2種類が入っておりサービス万点です。
 但し初公開されて間もないころなので胴体下部のミサイルランチャーの形状が違ったり胴体右側に装備されている機関砲が省かれている等の欠点が見受けられますがプロポーションの良さは21世紀の今日でも充分通用します
箱絵

胴体パーツ

制作

<コクピットの制作>

 コクピットフロアー・サイドコンソール・メインパネル・座席・スティックの5点で構成されています。
 サイドコンソールがただの四角の表現だったり座席の形状が違う等の指摘はありますがキャノピーを付けると殆ど見えなくなるので このまま追加工作をせずメインパネルに計器類のデカールを貼り座席・スティツクを取り付けて終了です。
コクピット内部はWW2のイギリス軍の機体内部色(Mrカラーを使用・Noは失念しました)を塗りました

<胴体と翼の組み立て>

コクピットが組み上がったら胴体を組みます
胴体は上下のパーツを合わせるのですが接合部に段差が生じたので裏に0.5mmプラ版を裏打ちしてポリパテを盛り付けました。
機首部・エアーインテークと組み付けます
 ここではエアーインテークと胴体の結合部に段差が生じますので胴体上下と同じくポリパテを盛り付けて処理しました。
 胴体の修正が終わったら主翼・水平尾翼・垂直尾翼を取り付けます。翼の合わせは良いのですが垂直尾翼が外側に傾いているので取り付け角度に注意が必要です。


<塗装>

パテ修正の後紙ヤスリで#400・800・1000・1500と削り表面を整えます。
整えたら#1200の缶サフを吹き付け乾燥させます。
一晩乾燥したら消えたモールドをトライツールで彫直して再現しまた。
ソ連(ロシア)機のカラーはドンピシャの物が発売されていないので今回もMrカラーのNo332と334をブレンドした基本色を作りました。
 機体全体にブレンドした基本色を吹き付けた後、MrカラーのNo305でパネルラインにシャドゥー吹きを施します。
もういちど基本色をオバースプレーして単調にならないようにメリハリを付けて基本塗装は終了です。
 レドームとキャノピィー前のアンチグレーを塗り分けて
全体にエナメルの黒でウオッシングをして塗装作業は終了です

<脚とミサイルの取り付け>

 実機同様に再現された複雑なタンデム式の主脚を取り付けます
ここは一番難しい組立箇所なので実機の資料写真を見ながら作業しましょう。
取り付けの順番は脚注上部のサイドに飛び出している横のピンを胴体脚収納庫の側面に差し込んでから胴体上部側の穴へオレオ部分の先端部を差し込みます。これを逆にやると位置決めが難しくなり取り付けにくくなります。
 
主脚を付けたら前脚を付けますここ取り付け方向が判りにくいのですが車輪に泥避けカバーが付いている方向が後ろ側です
 胴体下部ランチャーにR-33・主翼外側パイロンにR-40の各ミサイルを取り付けます。
ミサイルの後ろのロケットモター部が開口されていないのでピンバイスで開口しました



<デカール貼りと仕上げ>

マーキングは機体Noと若干のコーション類だけの非常にシンプルです。
デカールは発売されてから20年以上経っていているので劣化が心配になりましたが台紙からデカールが浮き上がるのに少々時間が掛かった(ノリが固い)ぐらいで問題なく使用できました
赤い星・機体No・コーションマークを貼り一晩乾かしたらジャブジャブに薄めたMrカラーの「半光沢」を薄く吹き付けて仕上げました。



今は入手困難なツクダホビーのソ連機キットですがあの情報量の少ない時代にここまで実機に近いキットを製品化したツクダホビーの技術力の高さを痛感しました。
今回も貴重なツクダホビーのキットを作る機会を与えて下さった編集部に感謝です



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Vol.22 2010 October.     www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /editor Hiromichi Taguchi 田口博通
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