7/12(月)はポーツマスに行きました。ロンドンのウオータールー駅からポーツマス・ハーバー駅まで約2時間掛かりますが、サウサンプトンに泊まったのでサウサンプトンセントラル駅8:10発の列車に乗り、ハーベントで乗り換えてポーツマス・ハーバー駅に9:20頃に着きました。終点のポーツマス・ハーバー駅を降りると直ぐ目の前がポーツマス・ヒストリック・ドックヤードです。ポーツマス・ヒストリック・ドックヤードの入場料は£19.50と割高ですが、チケットは1年間有効です。ヒストリック・ドックヤードの主な施設は、海軍のオペレーションを体感するアクション・ステーション、遊覧船に乗るハーバー・ツアー、戦列艦ビクトリー号見学、装甲艦ウォーリア号見学、メアリーローズ博物館、海軍博物館の計六箇所です。チケットでアクション・ステーション、ウォーリア号、海軍博物館には1年間に何度でも入場出来ますが、ハーバー・ツアー、ビクトリー号見学、メアリー・ローズ博物館は一度だけです。
ドックヤードの開場は午前10時ですが、港内クルーズ開始は午前11時です。
時間が有るので先ずメアリーローズ博物館を見学しました。
メアリーローズ号とは、チューダー王朝時代の16世紀にヘンリー8世の命令で建造された帆船で1512年に完成しましたが、1545年にソレント沖でフランス海軍との海戦で沈没しました。メアリーローズ号は1982年に引き揚げられ、16世紀のタイムカプセルの様な多くの遺物が発見されました。船体は保存作業中なので見れませんが、大砲や乗員の日用品等、多くの遺物が館内に展示されています。
遊覧船が発着する桟橋は装甲艦ウォーリア号が係留されている桟橋の隣、港内クルーズは1時間毎に運航されます。遊覧船は午前11時5分前頃に桟橋に接岸しました。
午前11時に出航、天気は晴れで潮風が爽やかだったので、クルージングには絶好の日和でした。軍港には空母インビンシブル、タイプ42駆逐艦の他、最新鋭のタイプ45駆逐艦も停泊していましたが、午前中は逆光になるので写真撮影に不向きでした。
時間調整の為でしょうか11時半を回った頃、ポーツマス軍港南側の埠頭に10分程停泊しました。この辺りは再開発地域でショッピングモールの他、ポーツマスの新しいランドマークとして建てられた高さ約170mのスピンネーカー・タワー(Spinnaker
Tower)が立っています。遊覧船は正午前に桟橋に戻りました。
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午後からトラファルガー海戦でネルソン提督の旗艦だった戦列艦ビクトリー号の艦内を見学しましたが、同艦は現役の扱いで正規の軍人が乗艦しているので、礼式に従って艦の入口で「乗艦を許可されたい」"Request
Permission to Come Aboard"と告げたら"Welcome aboard sir"と返されました。
18世紀末のフランス革命後、1804年にコルシカ島出身のナポレオンが皇帝に就任しました。1805年にトラファルガー海戦で敗北、1812年にモスクワ遠征で敗北、1815年にワーテルローの戦いで敗北する迄の時代を「ナポレオン戦争」と呼んでいます。中国の三国志や日本の戦国時代と同様、多くの英雄が跋扈した時代で、小説や映画で人気の高いジャンルです。小説ならホーンブロワー・シリーズが定番で、イギリスでテレビドラマ化されNHKでもオンエアされました。
帆船時代に軍艦の等級は後年の様な、戦艦、巡洋艦等の区別は無く、大砲の数で6段階に分け、64門から110門の大砲を搭載した艦を「戦列艦」"ships
of the line"と呼びました。ネルソン提督の旗艦「ビクトリー号」の類別は第1等級戦列艦で、1765年進水し大砲104門を搭載した当時では最強の軍艦で、後世なら戦艦に相当します。
全長約70m、全幅約16mの太く短い船体の三層の砲甲板に所狭しと大砲が並べられ、狭い艦内には800名以上の将兵が乗艦していました。艦長や高級士官には居室が有りましたが、大勢の水兵達は大砲の傍らで寝起きしていました。艦内で説明していた方にホーンブロワーを読んだと話したら、やはりと納得していました。
アクション・ステーションと海軍博物館を廻った後、最後に装甲艦ウォーリア号を見学しました。ウォーリア号 (HMS Warrior) はイギリス海軍最初の鉄製の船殻と装甲を持った軍艦で1860年進水しました。帆船から蒸気船への過度期の船で帆と蒸気機関の両方を兼ね備えた機帆船ですが、鋼鉄の装甲、元込め式の大砲、スクリュー推進等、当時の最新技術が取り入れられていました。全長127m、全幅17.78mなのでビクトリー号より大きくなりましたが、水兵達の居住環境は大して変わらない様に見えました。
イギリス海軍の過去と現在を見た一日でした。 |