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フルスクラッチビルド & ソリッドモデルの製作

F86Fセイバー (ソリッドモデル 1/50)

  by 小山新一




 以前、2式中間練習機の記事を書いた折、ソリッドを作る動機として「プラモで発売されていない機種をつくり、さりげなくプラモの横に並べたい」旨記したかと思います。F86Fセイバーは、この動機に反する有名機で1/48クラスでもモノグラム、ハセガワから決定版といえるキットが発売されています。 それでもこの機種を選んだ理由の一つは図面 と資料の問題でした。マイナーな機種はこの両方、もしくは片方がそろわないことが多いのです。





  さらにもう一つは手元にあるソリッドの工作本2冊がそろって製作記事にセイバーを取り上げていることでした(一冊は文林堂「ソリッドモデル工作の入門」もう一冊は誠文堂新光社「ソリッドモデルの工作」です。本の発行当時の、セイバーは第一線機だったのですね。 さらなる動機を付け加えれば、どちらの製作記事にもある、3点姿勢を保つためのオモリの入れ方をやってみたかったのです。つまり、溶かした鉛を機首にあけた穴にそそぐという、プラモでは不可能かつ過激な手法です。
 

製作

 さて、下の写真は木取りの段階を過ぎおよその全体形が出来た段階でのスナップ(マルサンのF86Dお よびフィギュアと並べてあります)と、機体内部の基本造作です。



操縦席



 図面は「丸メカニックNO17F86Fセイバー」(1979刊)掲載の鈴木幸雄さんの手になるものを使用しました。 この図面が純正1/50なので、私のソリッドも1/50です。1/48クラスということで、あまり気にしないことにしています。 




 製作記を書くことは想定していなかったので、工作本がすすめる大事な工作である溶けた鉛の流し込み、写真がありません。文林堂「ソリッドモデル工作の入門」には「釣りのオモリなどをピースの缶にいれ火にかけ、どろどろに溶けたところで機首の穴に流し込みます」といった具合に書いてあります。  ピースの缶という箇所に時代を感じさせます。タバコをやめて久しい私は「さば水煮缶」にいれた釣りのオモリを携帯ガスこんろで溶かし、恐る恐る機首に流し込みました。


 写真の1枚目はキャノピーのテスト・ショットをのっけた機体で、キャノピーのフレームは機体から切り取った木部を薄く削って使っています。




 2枚目はクレオスのサフェーサー缶を吹いたところです。




 3枚目が銀を吹いたところで、これもクレオスの缶スプレーできわめて安直な仕上げです。




 そして4枚目は日の丸やコードレターなどの描きはじめの様子です。  第3航空団727機を選んだのは手描きでもっともかきやすいレターということで。




  以下、機体のマーキング、コーション・データ書き込みになります。昔の感覚で細かいコーション・データはロットリング・ペンで、らしくちょぼちょぼと書いたのですが、1/72のプラモでしっかり英文を書いている作例を見たりすると、自分の安直なやり方が悔やまれます。次回作はもう少ししっかりしようなどと思ったりもします。




 そうした細部はもちろんですが、何しろ有名機であるF86Fのこととて、全体形と細部に関しては気を使いました。フジミの1/72キットを手元に置き、サフェーサーをかけてからも写真と首っ引きで「ああで もない、こうでもない」と整形・修正を繰り返しました。 さらにいきつけの模型店で、ハセガワ1/48キットの箱をあけ、一流メーカーが、ここはどう表現しているのか、確認したりもしました。
 




 キャノピーは木型からのアクリル板(0・5)の絞り出しで、磨きをかければ昨今のプラモのパーツに負けません。可動にしたかったのですが、レールを作るのが面倒くさくて断念。固定しないでスライド状態を再現できるようにしました。 タイヤは木の丸棒からの削り出し、ハブはプラ板でそれらしく作ってあるのですが、ハセガワやモノグラムのディティールには遠く及びません。それでもすべてをゼロから作るコンセプトで、全体のバランスはまずまずF86Fセイバーらしく出来たと自負しています。




 機体内部のパーツ未組み立てながら、全体形が出来た瞬間を撮影したもの。この瞬間の写真を私は「掃きだめの鶴状態」と呼んでいます。 散らかった工作机の上に、そこだけスポット・ライトが当たったように、9割がたの完成機が姿を現す。モデラーなら誰でも味わう感動の瞬間ではないでしょうか。




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