スウェーデン空軍博物館(リンショーピング郊外)に展示されているユンカースJu86K(スウェーデン軍呼称はB3)を、ずっとレプリカと思い込んでいましたが、実は世界で唯一の現存機だった事が分かりました! 逆の事態を想定すると、たいへんな幸運だったので、おすそ分けに(?)Ju86をご紹介します。
Ju86はドイツ空軍が高高度偵察機として利用した、ディーゼルエンジン装備のP型が有名ですが、博物館のK型はブリストル・エンジン装備機です。
スウェーデン空軍は、ユンカース社から40機購入すると共に、ライセンス権を取得したサーブ社に16機生産させました。博物館の展示機は、1938年にドイツで生産された機体で、1958年にリタイアするまでに2,086時間飛行しています。
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ここで疑問なのは、輸入したJu86はK-3型又はK-4型とドイツから呼称され、スウェーデンからはB3-A、B3-Bと呼ばれ、ブリストル・ペガサスの搭載機です。
一方サーブで生産された機体はB3-C、B3-Dとされ、ブリストル・マーキュリーを搭載しています。
しかるに博物館の機体は、輸入なのにC型とされていることです。これはJu86のペガサスを、スウェーデンで生産していたマーキュリーに換装し、型式もC型に改めたと考えられますが、果たして? なおJu86はスウェーデン空軍最初の全金属製の機体だったそうです。
第二次世界大戦のため、スウェーデンの武器輸入が不可能になると、Ju86K(B3)はスウェーデン空軍の数少ない近代的な大型機として、偵察や航法訓練、輸送に活躍しました。 |