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誌上個展

ブガッティT55スーパースポーツ(バンダイ 1/20)
Bugatti model 1932 type 55 Super Sport (Bandai 1/20)

by 田口博通 Hiromichi taguchi

  Vintage garageは創世記から1970年代までのビンテージレースカーとビンテージクラシックカーの連載コーナーです。クラシックな姿の中に優雅さと繊細さを内包した彼女達にしびれる方々も多いはず。 
 ビンテージ・ガレージは ビンテージカープラモデルの製作だけでなく、その独特の魅力を醸し出すビンテージカーが背景に持つエピソードにもスポットをあてています。 
どうぞあわせてお楽しみ下さい。

  8月号から始まったビンテージ・ガレージ 第3シーズンですが、国内メーカーから発売されているビンテージカーを取り上げています。
 今月登場するのは 今はガンダムメーカーになってしまったバンダイがCARモデルを盛んにリリースしていた頃の名キット ブガッティ T55 スーパースポーツです。
  1980年に発売されたこのキットは 時代を反映して モーターライズとディプレィモデルの選択ができるようになっていました。
クラシックカーを得意としたバンダイらしく、端正なモールドと適確な部品成形で、素晴らしいモデルでした。
 現在はバンダイのキャラクターモデル以外のジャンルからの撤退に伴い、CARモデルも廃版となりプラモデル店の店頭から消えましたが、このブガッティも、中古店やヤフーオークション等では時折 流通しているようです。

ブガッティT55スーパースポーツ(バンダイ 1/20)

実車について

 ブガッティT55は1932年に発表された二人乗りオープンスポーツカーで、1935年までの3年間という短い期間だけブガッティ社で製造された。第2次世界大戦がなければ、もっと生産され、ヨーロッパの道路を駆け巡っていたであろう。スーパーチャージャー付ツインカム2.3リッター 135HPのエンジンを搭載し、180km/hをたたき出した。  ブガッティ社の歴史については、2013年11月号のブガッティ 35B(モノグラム 1/24) に詳しいので、参照いただきたいが、このブガッティT55がブガッティの最後の型となった。
 馬の蹄鉄をモチーフとしたラジエターグリルはもちろんのこと、車体デザインが優美で美しく、塗り分けの配色が洒落ていて、芸術性が高く、現在でも 愛好家の間で愛されている。


キットについて

 このバンダイの1/20シリーズは、箱絵に、実車の物語が描かれ、ブガッティの世界観に 箱を手に取った人を誘い込むような構成になっている。   ブガッティのカーデザインが工業デザインというよりは、むしろイタリアの芸術の神髄であること、 そして、エットワーレの息子ジャン ブガッティによるT-55の設計も また性能スペックだけでなく、芸術性に溢れていることを、訴えかけている。
この箱を一度手に取れば なぜか車愛好家になったような気にさせる 非凡なボックスデザインだと思う。
 キットは ラダーシャーシーにサスペンションとエンジンを組み込み、そのシャーシーの上にボディを架装するという 実車と同じ構造を踏襲している。
モーターライズも可能だが、今回はディスプレィモデルとして組んでみた。

箱絵

製作

(1)シャーシーとサスペンション
 シャーシーはそう凝ったものではなく、簡単な構成なので、カーモデルの初心者にも組み易い構造になっている。
 実車と同様なラダーフレーム構造になっているが、ラダーフレームが一体で成形されているので、大変組みやすい。 
フロントサスペンションと前輪を組みこみ、デフギヤをリーフスプリングと共に取り付ければ、シャーシーは完成となる。

完成したラダーフレームシャーシー


フロントサスペンションと前輪を組む。
デフギヤを取り付ける。リヤリーフスプリングは説明書ではボディに取り付けるように指示されているが、この段階で、シャーシーに取り付けてしまう。


(2)エンジンの組み込み
 ここに、組み立てておいたエンジンとラジエーターグリルを組み込めば、下回りは完成。
エンジン、ラジエーターとも 部品数が少なく簡単な構成にまとめられているので、すぐに組みあげることができるだろう。
資料のある人はエンジンに配管を施すとよいだろう。




(3)ボディ塗装
 ボディも一体成形なので、丁寧にモールドラインを消し、ボンネットと共に塗装をする。 箱絵と同じくブルー系統のツートンカラーとしてみた。マスキングテープで丁寧に塗り分けよう。


完成

 コクピットも床とシートが一体成形された部品とダッシュボードだけの簡単な構成なので、すぐに組みあがる。 ボディにコクピットを組み込み、出来上がっているシャーシーに乗せ、車輪をとりつければ、これで もう完成だ。  国産プラモデルの良い点は、部品点数が少なく、構成が簡単で、すぐに完成するところだ。
舶来プラモデルは部品数も多く、こう簡単には組みあがらない。それでも このバンダイのキットは 簡単ながらシャーシーにエンジンやサスペンションが組み込まれ 実車同様の構造を踏襲しているところが、教育的で良いと思う。

ステアリングはブラウン、ダッシュボードはメッキ部品に計器はデカール。




ブガッティT55 その後

 ブガッティT55はその美しいスタイルゆえ、ブガッティ無きあとも、愛好家に愛され、今でも、日本でもイベントなどで、時々見かけることができる。    実は、本物ではなく 1989年にフランスの デラシャペル社により、認定のレプリカが作られており、それが日本を走っているのである。エンジンには BMWのアルピナ2.7リッター6気筒を積んでいる。
型名はデラシャペルT55といい、日本では大阪の「ジロン自動車」が輸入を扱っているようだ。

 実車のブガッティT55は第2次大戦の勃発により、生産中止を余儀なくされた。しかし、現在、何はともあれ、美しい芸術性の高い車が 人々に愛され、ヨーロッパだけでなく、世界中を走っているのだ。
 エットーレ ブガッティ、ジャン ブガッティの親子が永く願っていたことが レプリカではあるが、今 実現しているのである。
 この平和が長く続くことを切に祈りたい。
デラシャペルT55



(引用 ジロン自動車)




ビンテージ・ガレージ バックナンバー
3rd
シーズン
2015年12月号 第16回 フェラーリ 250 テスタロッサ(ハセガワ 1/24)
Ferrari 250 Testa Rossa (Hasegawa 1/24)
2015年10月号 第15回 シトロエン DS19 (エブロ 1/24)
CITROEN DS19 (EBBRO 1/24)
 
2015年9月号 第14回 フォルクスワーゲン カルマン・ギア 1963年型 (GCIクレオス 1/24)
 Volkswagen Karmann Ghia 1963
2015年8月号 第13回 メルセデス ベンツ 300SL (タミヤ 1/24)
Mercedes Benz 300SL (Tamiya 1/24)

2nd
シーズン
2014年12月号 第12回 オースチン ヒーレー 100-6 (レベル1/25)
AUSTIN HEALEY 100-SIX (Revell 1/25)
2014年11月号 第11回 リンカーン・フューチュラ(レベル1/25) 
LINCOLN Futura (Revell 1/25)
2014年10月号 第10回 メルセデス・ベンツ540K(モノグラム1/24)
MERCEDES-BENZ540K (Monogram 1/24)
2014年9月号 第9回 デユーセンバーグ・モデルSJ(モノグラム1/24) 
DUESENBERG SJ (Monogram 1/24) 
2014年8月号 第8回 ド・ディオン・ブートン (1904年型)(ユニオン 1/16)
DE DION BOUTON 1904 (UNION 1/16 )
2014年7月号 第7回 アルファロメオ2300 トゥーリング(1932)(ブラーゴメタルキット 1/18)
ALFA ROMEO 2300 TOURING(Burago Metal Kit 1/18)
1st
シーズン
2014年1月号  第6回 ベンツ 300SLR (レベルモノグラム 1/24) 
2013年12月号 第5回 BENTLEY 4.5L BLOWER (エレール 1/24)
2013年11月号 第4回 ブガッティ 35B(モノグラム 1/24) 
2013年10月号 第3回 BRABHAM F-3 (エレール  1/24) 
2013年9月号  第2回 ROB WALKER Team Lotus 72C (エブロ 1/20)
2013年8月号  第1回 ホンダF1 RA272(タミヤ 1/20)


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