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飛行機プラモデルの製作

 ワイルドキャットF4F  (レベル1/32)

  by ヨウスケ




 往年の傑作、レベル1/32ワイルドキャットF4Fです。このキットは1960年代の終わり頃に本国アメリカにてリリースされ、我が国ではグンゼ産業がライセンス販売したのが、1970年のことであります。
昭和世代の50歳以上の人には懐かしい思い出もあるのではないでしょうか?
当時のレベルは実物を直接取材し、レベルらしい、実物よりも少しだけハンサムに、気づかれないようにデフォルメされている感じなんです。
それと、本当はもっと凝りたかったけど、コストの都合で省略せざるを得なかったところがあり、その部分はマニアが手を加える余地を残している。そんなモデルです。




制作方針
1自分のイメージを大事にする。あまり考証しすぎない。
2客観的にキットに向かうこと。
3工作、創作のイメージをもって作成していく。

1.  プロポーション修正、胴体のシルエットは概ね良好、ただし、カウリングと胴体が一体なのとキャノピーからカウリングまでのラインが実物とちょっと違うので修正。
レベル社が取材した実物がFM2改F4Fなのでは?と作成中に感じました。
 当時の実物は航空会社だけでは生産が間に合わず、自動車会社などに委託していましたので、形状も設計図どおりとは行かず、バラツキがあるようです。カウリング付近は写真によって印象は変わりますし、設計図に載っていないタイプもあるようです。
私は1942年4月上旬、ドゥーリトル隊援護部隊のエンタープライズ艦載機を選びました。




2. 主脚格納部分、この部分がF4Fの最大の特徴であります。本キットは要所をつかんでいますが、省略された部分が多くガランドウであります。
スペースフレームを含め、オイルタンク、オイル循環系、歯車、チェーンなど徹底的に手を加えました。
見えない部分は省略しましたが・・・・

主脚昇降装置の追加工作




 R社のカウリングは明らかにFM2改造カウリングをモデルアップしています。
角ばった過給機吸気口を作り直します。当時の実物はもっとなだらかな曲面でカウリングに繋がる形状が多くみうけられます。またカウリング径も太くします。

カウリング前方は円形ですが、後方は楕円となり胴体へつながります。
インタークーラー吸気口も追加工作します。

カウリングの修正後の写真


主翼根元付近のオイルクーラーダクトを修正します。主翼内部に半分埋没している部分を追加工作し、ダクト周辺に筋彫りを追加します。
スロットルレバー、昇降ハンドル、無線機など追加工作します。

 

プラスチックの肉厚のことも考えて、部品は小さく作ったり、見えない裏側を半分削ったりして組み込みます。 計器盤などは、ほぼ正確なのでそれを基に穴を開け、ガラス部分、スイッチ類を追加工作しました。




主翼折り畳み機構の工作、折り畳みロックのクランクハンドル格納口も開けています。
F4F独特のバカでかいヒンジを再現しています。またリブ上の整流フィン?も付けました。
バランスタブのディテールも追加工作します。



F4Fの特徴として、主翼のみ凹リベット、あとはすべて凸リベット。
これを再現しました。また特徴的な千鳥打ちも再現してあります。
胴体は、これもF4Fの特徴ですが、胴体の外販が竹の子の皮のように重ね張りになっているのを、R社の凸線モールドを利用して再現に努めました。
また、フィレット部分も重ね張があり、また胴体前方のスリットも再現しています。
重ね張りの表現は凹線より、凸線の方がよりらしく見えます。

着艦フック、牽引フック、航空灯など追加工作します。尾輪はFM2とF4Fでは形状が異なります。R社はFM2形状なので、片持ちのF4Fへ改めます。




キャノピーは塩ビ板のヒートプレス、枠は0.1mm厚のアルミをカットし、凸リベット再現
特徴的な千鳥配置リベット再現


プロペラはR社のものを修正しました。
スピナー部分はアルミの引き物(自作)に替えています。


塗装はスプレーと筆の併用です。また色なんですが、私の世代ではネービーブルーが一般的でしたし、そのイメージが強いのです。近年ではあくまでグレー一色だと主張する人が多いですが、当時の写真を見るにネービーブルーとしか判断できないものも多くあります。
世界の傑作機No.68、P.62の写真を見ると、どう考えてもネービーブルーにしか思えません。なので明るめのネービーブルーとしました。
マーキングは手書きしています。
また、飛行看板ですが、白黒写真ではかなり黒っぽく見えるもの、白茶けてみえるものがあります。黒っぽく見える場合はスコールに当たった後の写真です。
南洋の強い日差しを受けると漂泊作用で白っぽくなります。また、定期的にドッグ入りする度に張り替えているのは空母看板の写真からうかがえられます。なので、印刷された既製品の飛行甲板は色が濃すぎると思います。
アメリカは物資豊富なので、頻繁に交換しているはずです。
米空母の特徴として、鉄鋼製グレージングにゴムを引っかけて機体を固定するようになっています。この部分はプラ板ですがちゃんと彫刻表現しています。



 また、F4Fでは折り畳み機構は手動です。F4U,F6Fは油圧です。F4Uの場合、左右が独立して動きます。これは、片側を伸ばした状態の方が、テコの原理で方向転換し易いのを考慮した設計なんです。注意深く当時の写真をみると解かります。 なので、F4F,F4Uに関しては片翼のみ折り畳んだモデルアップは正解なんです。




今回、自分のイメージを最優先し、追加工作、修正を行いました。
厳密な考証は二の次で、単体の模型としての存在感、適度な精密感(つまり、おもちゃっぽくない)に留意しました。
次回はレベル32カーチスP40Eです。
40年前のPPCに出展するつもりで作成しています。


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