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誌上個展

<日本航空史> ふわりと飛んだ疾風

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム

 私は現存する疾風が飛ぶ姿を見ることができた。調べてみたら、1973年11月の入間基地航空祭のことだったようだ。滑走路の最前列で見た。タキシングして、短い滑走で浮き上がった、そんな記憶がある。低い高度で、ブオーンというような甘いエンジン音をあげながら、下面を見せて目前を飛んだ。それはふわりと浮いていた。高性能な戦闘機というよりは、どの飛行機よりもゆるりと浮いて飛んでいた。ブルーインパルスはF86Fの時代だった。  この日の私は、まだカラー写真が高価だったのに疾風を4枚も撮っている。ただし、飛んでいる姿は記憶のみである。普通のレンズではうまく撮れないことは分っていたし、それよりも、飛んでいる姿を眼で見たかったのだ。今回の写真は、そのなかの2枚。現物はすっかり変色しているので、これは自動色補正してある。




 プラモデルでは、タミヤ48キットの登場はすばらしかった。なによりも「48」だった。10年ほど前だったろうが、このキットの事前広告では1/50シリーズだったので、計ってみたり、旧オオタキ(現:アリイ=マイクロエース)の48キットと比べてみたりしたことがある。“48だな”が結論だった。タミヤは痩せ型ではあったが、時代を凌駕した製品だった。ハセガワ48は、さすがによい姿になっていた。カウリングの形は好みの範囲といえるが、動翼の羽布張り表現は、“どうもネ”だ。羽布張りがどんな感じかとの説明に、私は「障子のように」と言っていたが、その障子も家庭内から減ってしまったので、「扇子のように」の説明ではいかがかと思う。 紙だからといて弛んでいるのではない、羽布張りは布だからといって柔らかいのではない。パンパンになっており、プラ板と言ったほうがよい。旧オオタキ48キットはここを無彫刻のスベスベにしており、ある意味、非常に実物的といえる。あとは模型としての判断で、どうするのかである。まあ、これも好みといえば好みなのだけれども。ハセガワ32のキットは、頂いて持っているがまだ作っていない。私は72マニアなので、なかなか気持ちが向かないのだ。




 72はハセガワ製品が定番だろう。古いのでそれなりの造形だが、基本的な構成でとても作りやすい。東欧の簡易キットもあるが、これは一般的と言えない。タミヤ72は長いカウリングが面白く、細かいリベットがキットの時代を感じさせる。再販品ならば多少の努力で入手できる。ファイターシリーズのレベル製品はさらにリベットだらけと強烈な表現の製品で、これは郷愁が品質をはるかに超えている。まあ、プラモデルは楽しみでつくるものなので、それが分っていれば良いのである。私は、どれも好き。

蛇足だが、F86時代のブルーインパルスはある時期、離陸直後に1機が地上スレスレで横転した。これには驚いた。ムチャクチャな時代だったのか、面白い時代だったのか。


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