1960年代後半に入り当時のソ連も西側の流行りに乗っかり「VTOL(垂直離着陸機)」機の開発をやり始めてYak-36「フリーハンド(西側コード名)」を開発しVTOL機の初飛行に成功した。但しこれはあくまで実証機であり引き続きヤコブレフ設計局は実戦で使える実用機の開発を目指していたが空軍はVTOL機の武器搭載量の少なさすぎに興味を無くし開発は危ぶまれた。
そこに海軍から当時構想していた大型対潜巡洋艦での防空及び攻撃任務で使用できないかと話を持ちかけられてヤコブレフは海軍用のVTOL機として専用艦載機Yak-38の開発を行った。ソ連流の「今ある技術で手っ取り早く作る」をモットーに既に開発の済んでいる新型エンジン(リフト用エンジン×2・推進用エンジン×1)3基搭載するレイアウトが決まると1967年に試作開始し1970年には初飛行するという短期間での開発に成功した。
|
|
ソ連含めて東側由一のVTOL戦闘機として採用されたフォージャーであるが艦載機と言うサイズの制限の為比較的小さな機体になってしまい更に機体内部に水平飛行中には使わないリフトエンジンを積んだので燃料搭載量が極端に少なく飛行時間はわずか2~30分ほどでしかなく実戦機としては使い物になるのかと疑念が持たれた。
そして搭載母艦である「キエフ」級空母(航空巡洋艦)が不活発で有った為目立った活躍は無く唯一アフガン紛争で地上支援で実戦を経験したが高温高地での運用であったためエンジン推力の低下が著しく悪くなり250キロ爆弾2発しか積めず全く使い物にならなかったと言う。
<機体概要>
全長:16.7m
全幅:7.02m
全高:4.25m
主エンジン:R27V-300(推力6,700kg)×1
リフトエンジン:RD-38D(推力3,250kg)×2
最大速度:1210km(高空)
航続距離:500km
搭載量:1000kg(VTOL時) |