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特集 温故知新

Me262A-1a of JG7 (レベル 1/72)

by  田口博通 Hiromichi Taguchi




 「僕も作ろうっと」

 数年前、2012年9月号のwebモデラーズで 加藤氏のレベルファイターシリーズ 旧版のMe262製作記事を読ませていただき、レベル72Me262の完成品を数十年ぶりに見て 作ってみたくなりました。
 大昔作ったことはあるのですが、それは中学生の頃のこと。記憶もおぼろげで、どんなキットだったかもう一度思い出すためにも作りたくなった訳です。
 ファイターシリーズのMe262はドイツレベルにより、1997年代にリニューアル版(スジ彫りの決定版)キットに代替わりしています。 そえゆえ、旧版を探すのは一苦労で、折りにふれ中古店などで探していましたが、今年になってヤフオクでたまたま見つけました。
 もっとも入手したのは、昔親しんだグンゼ版オリジナルではなく、ブラジルレベル版でフレームランナーになった後のものです。 このキットは爆撃型とのコンバーチブルで デカールは戦闘機型A-1aが2種と 戦闘爆撃機型A-2aが1種ついており、選べるようになっています。箱絵のグリーンハーツ機番8は有名なノボトニー機のマーキングです。
 入手したブラジルレベル版は白色プラスチックで成型されていますが、金型の痛みも少なく、キャノピーも傷なく綺麗でした。
 ちなみに、 おぼろげですが、大昔のグンゼ版は銀色のプラスチックだったように記憶しています。
 

ブラジルレベル版の箱絵 フレームランナーになった部品とデカール


 確かに今回完成してみると、全体のフォルムは後発のハセガワに比べ、ラフなものです。また、キャノピーが幅広く、胴体後半が太く感じます。
 が、Me262らしい存在感があります。 
  昔の印象は、キャノピー後部付近の胴体がまるで三角オムスビのように幅広く、キャノピーも丸く、レンズのようにぶ厚い印象があったのですが、今回作ってみると案外に良い感じなのです。


製作

 Me262の完成品は高校生の頃、一度、郷里高松の模型店の店頭で見た記憶があります。 1/72の Me262単座はハセガワから発売されるずっと以前の事ゆえ、その作品はレベルMe262だったはずです。塗装はブラックグリーンとダークグリーンの折れ線迷彩に筆塗りの胴体モットリングだったように思いますが、いい雰囲気でした。
 筆塗りのモットリング塗装法については、当時の航空ファンに小鷹氏の塗装講座で手法の解説があり、私もドイツ機何機か、見よう見まねで真似したものの、今二つの出来に終わっていました。結局、どうやったら、うまくモットリング塗装や斑点迷彩ができるのか わからずじまいで、ヤング88を手に入れた後は、エアブラシ派に転向してしまいました。
 
 高校生の頃とは違い、多少、筆塗の経験を積んだ最近ならば、あの時、模型店のショーケースでみた筆塗りのモットリングのMe262の記憶を越せないものの、近い仕上がりには追いつけるかもしれません。 
 また、このMe262はもともと1960年代初出のキットゆえ、主翼や胴体は凸ライン、凸リベットが、表面全体に精密にモールドされています。この凸リベットなどのモールドを極力、崩さないように組み立ててみたいものです。

 最初 中坊で作った時は、製作技術も無く、ただ部品を接着するのでやっとでしたが、今ならば、カッターナイフ、やすりやピンバイスなど道具やプラ板、パテ、瞬接や速乾流し込みタイプなど接着剤も手元に揃っているし、製作技術もそれなりにあります。表面モールドを崩さないように、マスキングテープやアルミテープで保護する方法も知っています。
 という訳で、「細部には全く手を加えず、当時見た完成作品の印象を再現すること」を目標に、作り始めました。


 凸モールドのリベットが精密に施された主翼ですが、後縁はヨレヨレです。ジェットエンジンナセルは上下分割なので、吸気口と排気口リップが丸くなるように注意深く整形します。   コクピットはシートがあるのみで極簡単なもの。
床板が無いので、脚までもコクピットから素抜けています。


 白色プラスチック成型で光が透けるため、ブラックグレーでまず、内部を塗り、前脚と主脚庫は裏からプラ板でふさぐことにします。
 前脚は先に組み込むようになっています。邪魔にならないように前脚庫に畳んで収納しておいて、最終段階で出して固定します。

 主翼上反角はMe262の雰囲気を左右するので、実機写真と見比べながら、注意深く設定し瞬接でがっちりと固めます。胴体上面の凹みや、エンジンナセルと主翼間などはパテで埋め、表面モールドを崩さないようにマスキングテープで保護しながら、接着継ぎ目を整形し、機首の機銃口は細丸やすりで丁寧に機銃口らしく整形してやります。よれよれだった翼前後縁はかまぼこ板に耐水ペーパーを貼ったもので、モールドを壊さない程度にシャキッと削りました。


 マーキングや塗装色は、この50年で資料も出まわり 大きく変わっています。Mrカラー特色の筆塗で、下面 RLM76ライトブルー、上面 RML82ライトグリーンにRLM81ブラウンバイオレットの折れ線迷彩としました。  問題のモットリングは 慣れた面相筆で施していくことにしました。地色のライトブルーも含め3色で色を食い込ませながら、行っています。なんとか 昔店頭で見た筆塗のモットリングに近い印象まで 持って行けたかも。


 ライトグリーンの残す所をマスキング。 ブラウンバイオレットを塗装。
 マスキングテープを剥がして、カミソリで、塗料の段差を少し削って綺麗にします。
面相筆でモットリング。

 マーキングはキット指定の JG7 機番8 ノボトニー機でグリーンハーツがアクセントです。
 デカールは、少し黄ばんでいたので、キットの使えるものだけを使い、後は、マイクロデカールとABTデカールから寄せ集めました。
  最近の資料で書かれている胴体の迎撃任務を表す黄バンドや、エンジンカウリングの黄色を塗ると、あまりに現代的?になってしまうので、省略しました。
 ピトー管と胴体上面ループアンテナは、高校生の時に見た作品にも追加されており、凄いなと感じた記憶があります。それで、ループアンテナは鉄道用の真鍮帯金で自作してみました。シートに頭当てがあるのは嘘ですが、キットそのままとしています。また、キャノピー後ろの膨らみは削ってシャキッとさせたいところでしたが、そのままです。これで、外形は 完全なレベル旧版Me262オリジナルのはずです。


 

 プラモデルを作るモチベーションは時により、色々だと思います。模型店の店頭や 模型誌で見た作品が心に残り、自分でも作ってみたい、どうやったらあんな風にできるのだろうと思うこともあるのではないでしょうか
 そのために、今では決定版のキットが発売されているのに、欠点だらけの古いキットを探して作ってみる辺りは酔狂と言われるかもしれません。

 しかし、そういう昔のキットは、いざ作ってみると、メーカーやキットによっては、完成させるだけでも思いのほか大変だったことがわかったり、現在の自分の製作技能をつぎ込んでも、うまく形にすらできず、昔見たあの作品はどうやって完成まで持ち込んだのだろうと 改めて感じることがあります。
  実は、今年正月から 今月の温故知新特集を目標に、ニチモの1/48 P-38Lを在庫から取り出して初めて作り始めたのですが、形にするだけで大変も大変。苦労の連続で、結局3か月経っても、サフェーサー下塗りまで漕ぎ着けただけで、完成には全く至りませんでした。
 実はこれも高校生の時に完成した作品を見たことがあるのです。 今ならば、モノグラムのP-38Jを作れば、苦労なくばっちりの完成機がえらえることを作った経験から知っていますが、当時は48P-38が欲しいと思えば、 ニチモ(旧マルサン)しか一般には手に入らなかった訳ですから、完成させるだけでも大変だったことと思います。
 高校生の時にやはり郷里の展示会で見たマルサンの1/50 F104Jや50ファントム、100式司偵も良く出来た完成作品だった記憶があります。

 「作って初めてわかることも世の中には多そうで」、なんてことを 昔のキットを いじりながら、改めて感じた今春でした。在庫から持ち出して組んでみなければ、そんな当たり前のことが、終生 わからずにプラゴミ行き だったのかもしれません。




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