Home  >静岡ホビーショー2016レポート (空ものスケールモデル新製品から)

 静岡ホビーショー2016レポート
(空ものスケールモデル新製品から)

by Kiyoshi Iwama

 5月14日と15日、静岡市の静岡ツインメッセにて恒例の静岡ホビーショーが一般公開されました。プラモデルやラジコンの模型メーカだけでなく、関連する塗料、接着剤、工具等関連メーカや模型雑誌の出版社、そして外国製品の輸入業者などが新製品や既存製品を広くアピールしていました。最近の傾向として、スケールモデルの縮小とアニメ系の拡大という構図が見られますが、今年もその傾向は変わらなかったようです。  空ものスケールモデルとしてはアオシマが元気で、多くの新製品を準備してくれました。一方で、タミヤのF-14A(1/48)の新製品発表には驚かされました。個人の好みで偏ったレポートになるかもしれませんが、空もの新製品から目立った製品を以下に紹介していきます。

タミヤ

 タミヤからはエアーモデルとして、1/48スケールのF-14Aと1/100スケールのエンブラエル175旅客機が発表されました。 F-14Aトムキャットについては1/32スケール版のリプレイスと言えるかもしれませんが、エンブラエル175は、先に完成品で売り出されたデスクトップモデルをキット化したもので、脚が追加されています。

◆ F-14A Tomcat(1/48)
 タミヤからF-14の新キット(1/48)が発表されるとは、正直言って予想外でした。会場のタミヤのブースには、機首先端にピトー管のないF-14Aブロック65の完成品(VF-2のマーキング)と、機首にピトー管が設けられたブロック90の完成品(VF-84のマーキング)が展示されていました。但し、金型の一部はまだ開発中とのことで、光造形部品を使用しての組み立てとの注記がありました。展示されていた部品のテストショットを見る限り、主翼は可動で、1/32のキットのように動翼は固定のままでした。少し進歩が見られたのは、ウィンドシールドのクリアパーツの型割とインテイクからエンジンファンまでのダクトと思えるパーツが見られたことです。 前者は、クリアパーツがウィンドシールド前方の機体の一部まで一体化されており、組み立てを考えたパーツ分割になっていると好感を持ちました。また後者は、1/32のキットではエンジンファンが筒抜けになっていたインテイクにダクトを追加し、実機に近い形状にしようとするもので、他社キットとの競争を考えると当然の結果かもしれません。コクピットは単体で素組品が展示されていましたが、パイロットのフィギュアはよくできているように見えました。ただ搭載兵装が別売だとのことで、価格がどうなるのか注目されます。まだ開発中であり、今後どのように変化するかは予測がつきませんが、既に同一スケールでF-14シリーズの発売を予告しているアバンギャルドとの競合となり、その動向に目が離せません。

タミヤのF-14Aブロック65(1/48)の完成モデル


タミヤのF-14Aブロック90(1/48)の完成モデル



          F-14Aのクリアパーツ                      テストショットの1つ


コクピット+パイロット・フィギュア

搭載兵装のテストショット


ハセガワ

 自社製品としての新製品としては1/32スケールの零戦52型丙があるのみで、空のハセガワから新製品が消えた印象でした。 最近はICMやRSモデルの輸入代理店契約を結び、多くの海外製品を扱うようになってきたハセガワですが、今後発売される新製品で期待できそうなのは、ICMのMiG-25RBT(1/48)かもしれません。残念ながら展示ブースにはポスターのみでしたが、完全新金型での登場となるようです。

零戦52型丙(1/32)
 以前ハセガワから発売されていた同スケールのキットのリニューアル版です。昨年のホビーショーでもアナウンスされていたものですが、開発が遅れ、ホビーショー直前に発売となったものです。ハセガワのブースにはパーツと完成品が展示されていましたが、パーツ数を抑え、組み立て易さを重視した設計に感じられました。 形状も素晴らしく、エンジンやコクピットも精密に再現されており、脚の油圧パイプも別パーツ化されている点はありがたいと感じました。また付属している竹一郎氏原型というフィギュアも秀逸でした。

ハセガワの零戦52型丙(1/32)と付属のパイロットフィギュア


アオシマ

US-2飛行艇(1/144)
 1/144スケールのインジェクションモデルでは初のキット化です。注目される国産機の一つでありながら、本格的なスケールモデルに恵まれないUS-2でしたが、アオシマがその期待に応えてくれました。レジンモデルでは中国のAWモデルから1/72と1/144の高額キットが発売されているようですが、店頭ではあまり見かけません。 今回の試作品やパーツのテストショットを見る限り、素晴らしい出来だと言えそうです。もともと大きな機体ですので、1/144のスケールでも見劣りはしません。機体には細かくリベットも穿たれ、6翅のプロペラ形状やエンジンナセルも良くできていました。また機首の波切部もパーツを分割し、しっかりとモデル化されているようで、発売が待たれます。 

2機並べられた、アオシマのUS-2(1/144)の試作完成品



OH-1 陸自観測ヘリコプター(1/72)
 価格が2,800円と1/72スケールの小型ヘリとしては少し高価に映りますが、アニグランドのレジンキットと比べると遥かに手ごろで、今回のアオシマからの発表は大いに歓迎されるところです。 アオシマのブースにはテストショットのパーツと試作完成品が展示されていましたが、テストショットにはリベットはこれから入れるとの注釈があり、製品化の際には一層リアルになるようです。試作完成品もリベットがついてないものでしたが、全体形状としては、OH-1の形状をうまく表現していました。

アオシマのOH-1観測ヘリコプタ(1/72)の試作完成品



◆ 三式戦 飛燕I型丁(1/72)
 アオシマからは既に同一スケールで飛燕Ⅱ型改の角形風防と涙滴型風防の2機種が発売になっており、新たにI型丁が加わることになりました。意欲的な新製品開発にエールを贈りたくなります。 展示された完成品を見る限り、既発売機種と同様な仕上がりで、ジオラマ化に使用できる作業台や作業員が付属しています。

アオシマの三式戦 飛燕I型丁(1/72)の試作完成品


ファインモールド

◆ 九六式二号艦戦二型/四号艦戦(1/48)
 これまで1/48スケールの96艦戦としては、一号艦戦、二号一型(前期型)がファインモールドの手によりキット化されていましたが、今ではなかなか手に入らない状況です。今回展示されたのは、7月発売予定の九六艦戦二号二型と最終型の四号の2種類です。。 いずれも新規設計・新金型ということですっきりとした仕上がりでした。特にキャノピーを付けた二号艦戦二型は初のキット化で、楽しみにしていたファンも多いと思われます。また四号艦戦は、九六艦戦の最終型で、キットではフラップの開閉姿勢が選択できる設計となっています

ファインモールドの九六式二号艦戦二型(1/48)の試作完成品(風防付きが新鮮に見えます)


ファインモールドの九六式四号艦戦(1/48)の試作完成品


プラッツ

 プラッツは、1/72スケールで航空自衛隊機のシリーズ化を図ってきました。昨年はF-15Jをリリースしてくれましたが、今年はそのシリーズにF-15J近代化改修機 形態Ⅰ型、Ⅱ型が追加されました。ブースに展示されていた試作完成品を見る限り、既に発売されているF-15Jと同様な仕上がりのようでした。ハセガワが既に同じキットを発売していますので競合となりますが、みなさんはどちらを選択されるでしょうか? またプラッツからはドラゴンが以前発売していたHe219A-7ウーフー(1/72)とズベズダのSu-27SM フランカーB(1/72)をプラッツ風の味を加えて発売するようです。いずれのキットの説明にもわかりやすい日本語の説明書とドイツ製の高品質デカールが付くとありましたので、その辺がプラッツ・テイストかもしれません。

プラッツのブースに展示されていたズベズダのSu-27SM(1/72)


輸入品

 ビーバー・コーポレーションのブースには各種の輸入キットが展示されていましたが、既に発売となっているキットがほとんどで、新キットとして目に入ったのはホンコンモデルの1/32スケールのB-17Fくらいでした。このキットは既発売のG型同様、内部まで作りこまれた、精巧なビッグモデルですが、完成時の大きさを考えると腰が引けてしまいそうです。 爆撃機としてはエアーフィックスから発売がアナウンされているヴィクターB.2爆撃機の出品を期待したのですが、残念ながら目にすることはできませんでした。ホームページで見る限り、期待できるキットです。


  Home>静岡ホビーショー2016レポート (空ものスケールモデル新製品から)
Vol.94  2016 June.    www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /
                    editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」


プラモデル模型資料記事

TOTAL PAGE