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飛行機プラモデルの製作

 スピットファイアMk.Ⅸ (エアフィックス 旧版1/72)

  by 加藤 寛之




 このキットの初出は1955年で、エアフィックスにとって2版めだそうだ。その後に金型改修を受けたそうだが、発売から60年を越えている。私が小学生のころ、近所のむつみ模型店の天井には、この絵だが袋入り時代のキットが下がっていた。1個180円か200円だったから、ポケットの100円では買えなかった。当時の厳しいキット評の時代にあっては1枚モノの主翼は大いに減点対象だったから、それを買わない理由にしていたようにも思う。
 そしていつからか、このキットを見かけなくなった。
 何ヶ月か前のこの欄に、「これまでに3回、この時代のキットを「まとめて入手」する機会があった」と書いたが、その直後に驚きの4回目があって、その時にこれも懐かしさで入手した。300円か500円か、そのくらいの値段だった。買ったということは作るつもりがあるからで、そして今回の製作となった。




 開封してパーツを点検する。凸リベットは細かい。機首周辺のパネルなどの要所は筋彫りで、ほかは凸線。プロペラと主脚カバーに目立つバリがあるが、それ以外は軽い整形で済む程度。ところが風防がイケない。正面ガラスに湯口があって、そこがモゲて崩れ大きな穴が開いている。1分間熟考し、正面ガラスは窓枠を残してくり抜き、そこに透明のエンビ板を貼って防弾ガラスのように繕うことにした。 棒ヤスリでガリガリと削り込み、キットのパッケージからエンビ板を正面ガラスの形に切りとって貼った。結果は充分にOKで、むしろ見栄えがするくらいだ。翼下面のラジエーターカバーは後部の開口が中途ハンパだったので、切りとって大きくする。中にプラ板で仕切りを付け、筒抜けを改善する。




 パーツの改善が終われば、あとは組めばよい。コックピットは椅子だけなので、胴体左右をすぐに接着。その後で機内色をテキト~に塗る。主翼は1枚モノだから、右翼・左翼の2パーツのみ。ヒケはないし、楕円翼の形状もいい感じ。スピットファイアは実機が薄翼なので、1枚モノでも気にならない。上反角は7°と図示してあり、胴体につけてみるとそのくらいの角度になる。そうはいっても多少の隙間ができたので、ガイドの板を切断して面を整形する。これで接着する。その時に後縁側は上面位置で合せる。固着してから下面を削り上げる際に一緒に削れば、きれいな形に整形できる。前縁も同じで、これも後から下面側を整形するとつながりがきれいに見える。 水平尾翼は左翼が前に出てしまうので、付け根をすこし切りとって調整した。大体OKくらいで真剣に調整しない。そこまで興味をもってこの完成品をみる人などいない、と分っているから。プロペラとスピンナーは接着する工夫がなく、「ご自分でなんとかしてください」的にしてあるところが、この時代風。私はプロペラを回転可能にする趣味はないので、プロペラパーツの中心を貫くプラ棒を通し、その先端にスピンナーを接着し、軸の適切な位置にプロペラを固定、これを機首の穴に差し込んで接着する方法とした。主脚は接着する軸に対して受けの穴が2倍くらい大きく、とてもじゃないが、このまま接着できない。ここでも30秒ほど長考、軸にプラパイプを通して太くする方法で切りぬけた。小学生のワタシだったら・・・どうしたんだろう?




 私は塗装が嫌いなので、いつものように机上にある緑と灰色を塗ってしまう。なんだか緑色が明るすぎるかもしれないが、まあイイや。スピンナーと後胴の帯は、中島系コックピット色で代替する。オオ、そっくりな色だ、と自認する。デカールは使えたが、ノリが弱くなっていたようで、ちょっと手間取った。胴体側面の国籍マークは、外周の黄色がとんでもなくズレていたので、貼ってから地色を塗って見られる範囲に納めた。黄色のフチが狭いのはそれが原因。まあ、そんな細かいこと、気にしない。 最後に、プ~~と半光沢の缶スプレーでツヤを整えて完成とする。その要した時間、開封から、途中で食べて、寝て、お風呂にも入って、テレビも見て、いろいろ普通にして、24時間後に出来上がっていた。さすがに休みの日で出勤はしていないが、たったの1日で完成した。




 出来はどうですか?なにか問題がありますか?これが60年以上前のキットですよ。それはね、コックピットはスカスカです、スピンナーはペラの後ろに穴が残っています、主脚はカバーと一体成型で立体感がちょっとね、です。 でも1日で完成です。これって、すごいキットですよね。現代のキット、1日で完成しますか?


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