Home  > (Photo) コピーパクリ VS オリジナル

特集 コピーパクリ vs オリジナル

(Photo) コピーパクリ VS オリジナル

by  コルディッツ
博物館写真

 一番印象に残るコピー・パクリのプラモデルは、モノグラム48のBf109Eです。
 ニチモ48のコピーキットを手にレジに行こうとした時、理性は買えと言っているのに、何だか恥ずかしい気がしてきたので棚に戻しました。これぞブランドの力なのかもしれませんね。
 さてヒコーキの世界でも、コピー・パクリの噂は絶えません。そこで今回は、オリジナルとコピー・パクリの嫌疑のかかった双方の写真が揃ったものを、 紹介させていただきます。


セバスキーP-35(EP-106) 2135/53 と レジアーネRe2000 2340/40
 スウェーデン空軍博物館(リンシェーピング)にて  2002年7月撮影

 改装前のスウェーデン空軍博物館で撮影しました。当時は両機を並べて展示
していたので、博物館のユーモアを感じたものです。
 P-35の初飛行は1935年、Re2000は1939年と開きがありますが、エンジンの
馬力に差はなく、よく似ています。Re2000の設計者がP-35開発に関係していた
という説明は説得力があります。イタリア人は造形の天才と言われるだけに、
Re2000のキャノピーや主脚の処理など洗練されていると思いました。
 共にスウェーデン空軍に採用され、P-35はJ9、Re2000はJ20と名付けられ、
退役後は仲良く博物館で肩を並べるとは、誰に想像できたでしょうか?





ブリュスターB-239 BW-372 と VLフム HM-671
 中部フィンランド航空博物館(ティッカコスキ)にて  
 B-239は2013年11月撮影、フムは2003年8月撮影


 フィンランド救国の戦闘機といえば、他戦線では駄作機の烙印を押された
F2A-1バッファローの輸出バージョンのB-239です。
 対ソ戦でのバッファローの好成績に気を良くしたフィンランド国立航空機工場
(VL)は、同機の木製化コピー機を製作しました。完成は1945年と遅れたので、
試作機1機ですが、飛行に成功し「フム」と名付けられ、MH-671のナンバーを
付与されました。捕獲したソ連製空冷星形エンジンを装着、武装は主翼から外
してエンジンカウリングに取り付けました。
 フムは中部フィンランド航空博物館に展示されていましたが、2013年11月の
拝観時には、B-239の展示が始まったためか、姿が見えなくなっていました。
 ぜひ両機が並んでいるところを拝観したいと願っています。





ボーイングB-29A 44-61748 と KJ-1 280650?  
 B-29Aは戦争博物館(ダックスフォード)にて    2008年7月撮影
 KJ-1は中国空軍博物館(北京市郊外)にて    2004年5月撮影

 1944年に中国奥地から満州と北九州に爆撃に向かったB-29から、最低3機
がソ連領土内に不時着しました。スターリンの命令で迅速にリバースエンジニア
リングなされ、エンジンと遠隔操作銃塔以外はコピーに成功した、ツポレフTu-4
戦略爆撃機が生産されるようになり、アメリカを慌てさせました。
 Tu-4は中華人共和国空軍にも配備されましたが、中国ではターボプロップ
エンジンに換装し近代化しています。うち1機は1970年に円盤型のレドームを
背負う早期警戒機KJ-1に改造されました。以降文化大革命の混乱でTu-4系
の活用はありませんでしたが、オリジナルは1942年初飛行の機体を、根気強く
使い続けたものと感心します。





ノースアメリカンF-86K JD+249 と フィアットG.91R/3 32+72
 ドイツ空軍博物館(ガトウ)にて      2014年8月撮影

 1957年にNATOの軽戦術支援機採用の最終コンペで、フィアットG.91が勝利
しました。巨額の利権が絡んでいることもあってか、敗れたフランスは猛反対し、
G91はフィアット社が生産していたF-86Kのパクリだと非難されました。
 F-86Kの初飛行は1954年、G91は1956年と近く、セイバー生産のメリットを生
かしたのは確実かと。しかし両機の戦術用途は異なる上、G91には不整地又は
草地の滑走路でも作戦可能というキツイ条件も課せらているので、パクリと呼ぶ
のは行き過ぎかと。ところで両機を見比べると、やはりイタリア人の造形センス
は天才的ですね。





コンコルド F-BVFB と Tu-144D 77112
 ジンスハイム自動車・技術博物館にて   2012年11月撮影

 小学生時代は、将来は超音速旅客機(SST)で世界中を飛びまくってやろう
と空想に夢中でした。なので英仏共同開発のコンコルドのニュースには、いつも
ワクワクしていましたが、突如のソ連のSST開発ニュースにビックリしました。
 「所詮ツポレフTu-144なんぞはコンコルドのコピー」という説を信じましたが、
Tu-144は初飛行も定期運航も先行したので、コピー説jは怪しく思えました。
 そんな事を競った両機とも、少数生産で運航は終了し、現在は博物館生活
です。中でもドイツのジンスハイム自動車・技術博物館では、コンコルドと性能
向上型のTu-144Dが並んで展示され、機内見学も可能になっています。
 見比べると、コピーとは言えないけれど、Tu-144のエンジンの配置などに、
コンコルドの影響を感じます。





オービター(エンタープライズ) と ブラン(OK-GLI)
 オービターは国立航空宇宙博物館別館ウドバー・ハズィにて   2007年4月撮影  
 ブランは技術博物館(シュパイアー、ドイツ)にて  2008年12月撮影

 ソ連開発のスペースシャトル「ブラン」は、アメリカ開発のスペースシャトルの
パクリだと噂されていました。しかし両機とも、ナチス時代のドイツのオイゲン・
ゼンガーの考案から発展したものだったので、パクリではありませんでした。
 ウドバー・ハズィで展示されていたシャトルは、滑空実験機エンタープライズ
でしたが、スペースシャトルの中止に伴い、2012年に39回の宇宙飛行を行った
ディスカバリーと交代しました。エンタープライズはニューヨークのイントレピッド
航空宇宙博物館に異動しています。
 シュパイアーのOK-GLI はジェットエンジン4基を装備した自力で離陸が可能
な機体で、25回の試験飛行を行っています。





Home >(Photo) コピーパクリ VS オリジナル
Vol.96 2016 August.   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
         editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー
「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」

プラモデル模型製作特集2

TOTAL PAGE