Home  >2017年4月号> 飛行機プラモデル製作> フランス空軍のブロックMB.152戦闘機 ブロックMB.152&MB.152C-1 (RSモデルス 1/72)

飛行機プラモデルの製作

フランス空軍のブロックMB.152戦闘機
ブロックMB.152&MB.152C-1 (RSモデルス 1/72)

解説と製作:R.P.K.

 創刊8年目を迎えて市販模型誌では紹介されないキット作例も掲載され、編集長や寄稿ライター、読者の熱意が伝わり老眼にもめげず好きなキットを作って発表するつもりです。昔はヒラーと間違って呼ばれたHeller(エレール)社は自国フランス機を熱心にキット化していたが、油絵具のような色彩が分からず資料も少ないけど珍しい機体なので製作してきました。SMERやINTECHなど各社から再版されていますが、初期のMB.152キットなどは動翼が羽布表現のミスもあり出来も悪いですね。 最近、チェコのRSモデルスからモールドも良く出来が良い4種デカールが付いたブロックMB.152とMB.152C-1の1/72キットと専用エッチングも発売され、フランス機の資料も入手できたので作ってみました。パーツの精度や合いは国産メーカーと比べたら劣りますが考証も充分なので、今回はMB.152初期型とMB.152C-1後期型にエッチングは使用せず板鉛や金属線を使って細部に手を入れ、1940年5月ドイツ侵攻時のマーキングとしてフランス機独特の鮮やかな迷彩を再現してみましょう。


 第一次大戦に勝利して精強だったフランス空軍は、世界恐慌と国内政権が不安定となり航空産業が停滞して新型機の開発と近代化が遅れていたが、航空省は1934年7月に新型戦闘機の開発競合を指示した。マルセル・ブロック社のモーリス・ロウセル技師は全金属製のMB.150-01を設計したが、機体設計の欠陥により初飛行では離陸もできなかったので空軍はモラン・ソルニエMS.405を採用、ブロック社は主翼増積など再設計してエンジンを強化、10月には初飛行に成功して25機のMB.150が発注される。さらに改良したMB.151は性能不足だが1939年3月から144機引き渡され、同時に開発されたMB.152は出力1030hpエンジンを搭載して最大速度が高度4500mにおいて509km/hに向上、2種の異なるエンジンを装備して外翼の7.5㎜機銃2挺と内翼の20mm機関砲2門に 強化したMB.152初期型と、排気管とオイルクーラーを改修したMB.152C-1は1939年4月から482機が引き渡された。ドイツのポーランド侵攻により9月3日に宣戦布告して各社の緊急量産が開始され、MS.406よりも高性能で運動性も良いMB.152だが照準器やプロペラの生産が遅れて旧式機に慣れたパイロットの訓練も不足したまま1940年5月10日にドイツ軍の大攻勢を受ける。
速度ではBf109に劣るMB.152は爆撃機の迎撃に戦果を挙げるが、非占領地からの増援もなく6月21日に降伏してドイツに協力するビシー政権に編入されるか北アフリカやイギリスへ脱出した。休戦までに空冷エンジンを搭載したMB.153試作型1機、燃料タンクを増積してエンジンを強化したMB.155が10機と休戦後のビシー政権で19機が作られてドイツ軍は訓練に使用している。


① 左のMB.152C-1はカウリング下面と主翼下面のオイルクーラーが大型化して下面左右に単排気管があり、右のMB.152は左右のカウルフラップ内側に排気管がある。



② 胴体と主翼下面の国籍マークの大きさが異なり、4色迷彩も決まったパターンはなく工場で各機ごとバラバラに塗装されている。



③ エンジンとアンテナ類がレジンパーツとなりスピナー、カウルフラップ、オイルクーラーなどMB.152とMB.152C-1用が入ったRSモデルスのキット。ハイテックから再版されたエレールのキットは動翼が羽布のミスと出来も悪いままだ。



④ MB.152:No.202、Y689、アルプス航空作戦圏・第145戦闘機航空団・第I大隊(GCI/145)所属、リヨン・ブロン基地、亡命ポーランド人パイロットの訓練とMB.151からMB.152への転換、1940年6月。 



⑤ 風防の前に外部照準器を作り主脚の角度に注意して固定、水平安定板の支柱は伸ばしランナーで作り直した。



⑥ エンジンは左舷に2.5度傾けて取り付け、プロペラシャフトをシンチュウ線で作り機関砲とピトー管はシンチュウ材に替え、箱型のOPL RX 39照準器を取り付ける。



⑦ MB.152C-1:No.367、Y503、アルプス航空作戦圏・第9戦闘機航空団・第III大隊(GCIII/9)所属、リヨン・ブロン基地、リヨン・サン・エチエンヌの防衛任務、1940年6月。



⑧ 主翼左右の20㎜機関砲外側に7.5㎜機銃口を開けて主翼下面の排莢口を開口し、排気管を伸ばしランナーで作り直して主翼下面オイル・クーラーのフラップを追加している。



⑨ 操縦席に板鉛でシートベルトを追加してOPL 31照準器を取り付け、胴体上部アンテナをシンチュウ材、下部起倒式アンテナを伸ばしランナーで作り直した。



  Home>2017年4月号> 飛行機プラモデル製作> フランス空軍のブロックMB.152戦闘機 ブロックMB.152&MB.152C-1 (RSモデルス 1/72)

Vol.104 2017 April .   www.webmodelers.com /Office webmodelers all right reserved /  
           editor Hiromichi Taguchi 田口博通 /無断転載を禁ず  リンクフリー

「webモデラーズ について」 「広告のご出稿について」
 

プラモデル模型製作記事

TOTAL PAGE