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飛行機プラモデルの製作

 F-4EJ ファントムⅡ (ハセガワ 1/72)

  by 加藤 寛之




 旧版だが現役キットなので、廉価版というべきだろう。このキットが新製品で出たときは「凄い」と思った。それはいつかと調べたら『航空ファン』1972年8月号の「新製品紹介」にこのキットがあった。その記憶のまま購入しないうちに年月は過ぎ、とうの昔に旧版となってしまった。そんなキットだが「凄い」の印象は消えず、しばらく前にワールドホビーショップはせがわに行ったときに購入してあった。
今回、作ってみた。作ってみたら、雰囲気はハセガワのセンチュリーシリーズ時代のキットの延長線上にあるような製品だった。そりゃあそうだろう、35年も前、ハセガワ旧版のゼロ戦と同じときの発売だから。現代の目では、全然「凄」くない。
 金型は少々疲れていて、エッジのキレが甘い。これは長い年月のご奉公の結果だ。微妙に切ったり、あらためて削り直したりして、形を改善して作業にかかった。この時代のキットは部品点数が少ないので、気持ちは軽い。




 コックピットは、階段状でサイドコンソールの出っ張りをつけた床板に簡単な椅子を乗せるだけ。これを前脚収納庫の上に乗せてオワリ。工作順序としては、椅子はあとで上から入れてある。こうすれば、床がズレていても、椅子は真ん中に置けるから。計器盤は前後席共に半月状の板を付けるだけ。これは付けなかった。どうせ、見えないし。
よってコックピットだけを挟み込んで、左右胴体パーツを接着する。ファントムは主翼弦長が大きいので、胴体下面に大穴が開き、そのままでは胴体幅がふにゃふにゃだから、ランナー片を2本入れて固定した。この作業をすると丈夫になるし、主翼との間には隙間が生じなかった。




 主翼後縁付近の表面は微妙に膨れたり歪んだりしており、前後縁ともにキレがなくなっていた。人間だって歳をとればシワがでる。相手はプラモデルだから、表面を軽く削って滑らかにし、前後縁も削り直して改善した。
パネルラインの再現程度は現代のそれではないが、1mも離れれば気にならない。




 それよりも、胴体左右の吸気口パーツと胴体との整合が悪くて、整形が面倒だった。大雑把に作業をして、「それなりにOK」くらいで済ませている。微妙に胴体側で左右の高さが違うし、ここに接する主翼の厚さも左右で違っているから、真面目に工事をしたら苦労しそうだ。結果、「それなりにOK」となる。このあたりの整形はプラモデルを組みなれた人でないと、難しいと思う。
 脚カバー内面や庫内に彫刻はなく、こんなところにも時代を感じる。私はこんなところがどうであろうと全然気にならないので、塗りやすく組みやすくて助かった。




 外観塗装は、特になにも考えずキットの指定色で塗っておいた。塗装は大きく2種、さらにマークの相違で計4種から選択できる。「この色のEJって久しぶり」と思い組図をみると、この製品の企画は1985年11月。郵便番号が3ケタの時代だ。デカールの面白さは、この時代ならではのサービスとみた。塗装が嫌いな私は、当然のように簡素な方にしたけれども。デカールは、細かいものが少ないところがステキ。実機を72サイズにしたら細かな注意書きのない方がスケール感に合っている、と私は思っている。だから私は、そんなデカールはあっても使わないことが多い。 チョコチョコと汚しや目立たせ塗装を加えてあるが、実機写真を参照するなどナシで、大雑把。ノリの感じも良くて、大した手間もなく貼りおえた。後胴の赤帯がちょっと曲がっちゃったが、言わなければ分らないと思う。最後に半光沢の缶スプレーをプ~~~とかけて仕上げとした。




 これで完成。
 発売当時のキット評では、キャノピーが高すぎるようだとか、エアインテークが外に出すぎるとか書いてあるが、どこから見てもリッパなファントムⅡだと思うぞ。
とりあえず、長い年月に抱いていた「凄い」「このキットを作ってみたい」との気持ちがおさまったので、充分に満足。機会があれば、このさらに前の世代のキットも作ってみようかと思う。違う意味で凄いだろうけれども。


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