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ミグ MIG

(Photo) 先代に隠れた名機 MiG17

by  コルディッツ
博物館実機写真

 MiG15とMiG17の区別は、誰がなんと言おうと難しい!!主翼の後退角が35度から45度と鋭くなり、主翼上の境界層板が片側2枚から3枚に増えたというすぐ分かる違いを教わっても、角度を目分量で測れるセンスなく、境界層板の数を数えるのが面倒な横着者なので、一瞬の印象だけで判断すると、たいてい取り違えています…
 そもそもMiG17は、MiG15の改良型MiG15bis-45°として開発がスタートしたので、似ていて当然です。初飛行は1950年1月14日、直線翼のアヴロ・カナダCF-100カナックや、直線翼から後退翼に改めたリパブリックF-84Fと同期です。
超音速ジェット戦闘機の実用化一歩手前で、試行錯誤でもがいていた機体の揃い踏みの感があります。この年朝鮮戦争は勃発するし、当時の航空ファンは、きっと退屈する暇はなかったでしょうね!
 Mig17Fは37mm機関砲1門と23mm機関砲2門での武装し、ベトナム戦争では北ベトナム軍のミグは、先代と同様に米空軍に一泡吹かせています。なのでもっと日本で名が売れて、プラモデルがガンガン出ても良かったのでは…


           Mig17F 96
 スペイン空軍博物館(クワトロ・ビエントス、マドリッド郊外)にて    2004年10月撮影
 ずっとMig15だと思い込んでいました…今回の特集で主翼上面をよく見たら、
境界層板が3枚立っているではないですか! かつての反共国家スペインの
空軍博物館がミグを展示する様子に、東西冷戦の終結を実感しました。



           PZL Lim-5 1709
 中央フィンランド空軍博物館(ティカコスキ)にて  2008年7月撮影
 この機もMiG15だと思い、主翼上面を見て過ちに気づいたものです。Lim-5
はポーランド版MiG17Fで477機がライセンス生産されました。フィンランド空軍
はLim-5を採用したのか? この塗装の意味は? 謎だらけです。



 下の写真は2013年11月に撮影しました。塗装はムーミンの国らしくて、
案外気に入っています。   



        PZL Lim-5   905?
 ドイツ空軍博物館(ガトウ、ベルリン郊外)にて       2014年8月撮影
 これまたMiG15と錯覚した東ドイツ空軍機です。    









        PZL Lim-5P   615
 ドイツ空軍博物館(ガトウ、ベルリン郊外)にて       2014年8月撮影
 これはレーダーのお陰でMiG17とすぐ分かりました。Lim-5PはMiG17PFに
該当する機体で、ポーランドで129機がライセンス生産されました。         







           WSK Lim-5R  1414
 ポーランド空軍博物館(クラコウ)にて            2011年5月撮影
 WSKは第二次世界大戦後の共産党政権下で作られた国立交通機器会社
の事で、スターリン死後の「雪解け」の中で、WSKを含む複数の国立工場が、
戦前にあったPZL(国立航空機工場)を、共通のブランド名にしました。
 Lim-5RはLim-5(MiG17F)の写真偵察機型で、WSK工場で製造されました。



           Lim-6MR  606
 ポーランド空軍博物館(クラコウ)にて            2011年5月撮影
 Lim-5Pは、1960年代末期には迎撃戦闘機としては役に立たなくなりました。
 そこでポーランドは1971年にLim-5Pを攻撃機に改装し、Lim-6Mとしました。
 その偵察機型がLim-6MRです。



           MiG17F  7469
 航空宇宙博物館(シアトル)にて               2009年10月撮影
 北ベトナム空軍の塗装をしていますが、確かモロッコから購入した機体だと
思いますが、不確かで済みません。過去とは言え、かつての敵国の兵器を、
自国と同水準まで整備して展示するのは案外少なく、やはり博物館の運営は
アングロサクソンに一日の長はあるようです。




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