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誌上個展

<日本航空史>RF-86Fは日本生まれ

  by 加藤 寛之
プラモデル コラム




 子供のころ、11月3日・文化の日が楽しみだった。電車で行けばすぐのジョンソン基地(現:航空自衛隊入間基地)の航空祭の日だ。カメラを借りて、子供の小遣いでは高額の写真フィルムを1本入れて出かけた。どれを撮ろうか、考えに考え抜いてシャッターを押した。だから、普通の飛行機は1枚しか撮っていない。そんな1枚が白黒とカラーの掲載写真だ。白黒とカラーだから、撮影年が違うことは明らかだ。
 RF-86Fは機首に銃口が描いてあって、ちょっと面白い。欺瞞塗装だというが、敵パイロットが飛行中にこれを見て“銃口があるゾ”と勘違いするとはとても思えないが、それでも描いているのが楽しい。




 RF-86Fは、日本で改造された新機種であるという。航空情報『世界航空機年鑑1964』には「改造は広範囲で、新造とはいえないまでも、日本で改設計の日本のみにあるセイバーの新種といってもよく」とある。ところがどうやら「日本のみにあるセイバー」ではなく、航空情報別冊『日本航空機ガイド』Vol.2自衛隊機(昭和48年発行)に「同様な改装は、韓国空軍機10機に対しても行なわれている」とある。『航空ファン』1962年4月号に載っている改造直後で無塗装状態の機体をみると、韓国使用機である「R.O.K.・・・」の文字跡がくっきりと見えているので、これがそうだろうか。 
 話を戻すと、T-33にしても、T-1にしても、普通の飛行機をもっと撮っておけばよかったように思うが、当時の子供の写真事情ではとてもムリだった。それに、まさかRF-86Fがジョンソン基地に集中配備されている珍しい機種だとは全然知らなかった。毎年並んでいる、普通の飛行機だったから。日本全国、どこにでもある自衛隊機だと思っていたのだ。




 さて、F-86のプラモデルといえば、RFではないが長谷川製作所の1/72F-86Fのキットについて触れなくてはいけない。とっくに絶版だが、流通していた当時には「脚庫が開いていない」と酷評されていた。当然、私もウケウリで偉そうにそう言っていた。ところが、地上で実機はたいてい大きな扉を閉めているじゃないか。 プラモデルは簡単に作れることが重要だから、それを合理的に再現していたのではないか、と気付いた。そう考え直したのはずっと後のことで、世間のキット評に惑わされなくなって、自分で判断する年齢になってからだ。「当時の長谷川製作所の方に申し訳ないことをした」と、私は悔やんでいる。




 写真は、ブルーインパルスを1枚、会場全景を1枚、オマケで入れておいた。 全景は開場早々に撮ったと記憶しているが、ずいぶん来場者が少ないな。


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