オマケといいながら長文になるが、「あいこく1」の文字に注目してもらいたい。現代人にはあまりにも普通で気付きにくいのだが、この時代にもかかわらず左から右に書いてある。おそらくこれは文字と数字の組み合わせであったので、そうしたのだと思う。戦前は右から左へ書いたことが多いにしても、文字に数字やアルファベットが入ると、ごく普通に左から右へと書いている。右から読むか、左から読むか、その場で各自が判断していたのだ。だから、「あいこく1」の書き方が特別であったのではない。前掲『日本昭和航空史 日本陸軍愛国号献納機』にはいろいろな愛国号の写真が紹介されており、これらをみると3号以降は「前から後ろ」で書いてある。 |
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献納の数字が1ケタのうちはこれで問題ないが、数字が2ケタになってからも数字だけは胴体左右に関わらず通常の書き方になっている。さらに垂直尾翼の機種名はすべて左から右へ書いてある。その結果、胴体右側は、「愛国○(献納者名)」は前から後ろへ、○に入る数字は通常に、垂直尾翼の機種名は後ろから前へ書いてあったことになる。その場で各自が判断するのも大変だ。
愛国1号は人気があったのだろう、写真や絵葉書の種類は多く、今でも入手しやすい。 |