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特集 ライバル登場

  メッサーシュミットBf109E戦闘機 1/72
(ハセガワE-3,エアフィックスE-4 )

  by Windy Wing 2013




 メッサーシュミットBf109は第2次大戦のドイツ空軍を代表する戦闘機であり、中でもE型はポーランド、オランダ、ベルギー、フランス侵攻等、開戦当初の主力としてめざましい活躍を見せた。そして、1940年7月から始まるバトル・オブ・ブリテン(英本土防衛戦)において英国機と壮烈な空中戦を繰り広げ、ホーカー・ハリケーンやスピットファイア相手に互角以上の戦果を挙げながらも、最後はその短い航続距離に泣いた。
 今さら言うまでもない超有名機だけあって、試作V型から主力のE、F、G型、そして最終計画のツバイリングZ型まで、Bf109は大小さまざまなスケールでキット化されているが、今回は1/72のE型のうち、比較的入手しやすい国産のハセガワE-3と輸入品のエアフィックスE-4を採りあげてみた。
 総評 エアフィックスのキットは同社が新機軸で開発した製品群のひとつであり、シャープなモールドと正確な造型で話題となった。1/48譲りの濃密なパーツ構成で価格も安いが、部品の整合はあまり良くなく、組み立て前に各部の慎重なすり合わせが必要である。また、実機の特徴である主翼上半角が不足しており、これは完成時の迫力をかなり削いでいる。一方のハセガワのキットはやや古い製品で、発売当時は繊細な凹モールドで評価されたものの、今日の目で見れば機首が丸く、垂直尾翼も小さいために、本機の精悍なイメージを損ねている。以上から、今回のライバル対戦は、それぞれの長所短所を踏まえたうえで製作することを前提として、両者五分の引き分けとしたい(以下、エアフィックス=A社、ハセガワ=H社)。



①A社の胴体パーツ割りは1/48からのスケールダウンのため、たいへん精密でそれぞれの形も良く、尾輪の自重変形まで再現されているが、尾輪ハブの再現がない。H社は全長が短く、上下幅も低いアンダースケールぎみの胴体で、特に垂直尾翼が小さく、形も悪い。また、尾輪は周囲孔がないので、一旦切り取って工作する。なお、両社とも垂直尾翼タブのモールドがないが、実機でもシルエットには反映されないので、スジボリのみで再現し、ついでに尾灯を大きくしてやる。 ②排気口カバーの下板は付いていない機体が多いので、両社ともエグザクトナイフなどで削り取る。



③A社の主翼はフラップが別部品で構成されていて、作品に表情をつけやすいが、エルロンにタブがない。H社はスパンがやや短く、脚収容部内のモールドがなく、マスバランスの取り付け位置が内側に寄りすぎ。 ④主翼下の空気取り入れ口(矢印)にA社は何もなく、H社は隔壁になっているが、これはいずれも誤りで、一本の支柱が正しい。



⑤A社の水平尾翼は舵面がやや広すぎる。また、垂直尾翼との接合部はタガが大きすぎて、そのままでは絶対に入らない。さらにA社の部品全般に言えることだが、ランナーゲートが翼後縁などに直接つながっていて、取り外しに対する配慮が足りない。H社はタブが長すぎるので、A社を参考に短くする。ランナーゲートは胴体取り付け部にあり、切り出しやすいが、垂直尾翼との接合はガタガタでまったく定まらない。
⑥A社の機首カバーは一発成形で本機の持つ精悍さを見事に再現している。ただし、彫りが深い分、機銃が縦長の楕円形になっているのはいただけないので、真鍮線などと交換してやる。また、エンジンが胴体と一体成形されているが、そのモールドはあまり精密ではなく、あえて見せるほどのものではない。H社も機首カバーは別部品になっているが、全体に丸みが強く、E型にしては甘ったるい印象を与えるので、他の部品に影響を与えない範囲でエッジを立たせる。



⑦A社のコックピットは少ない部品で上手に立体感を出している。特にパイロットのモールドは秀逸だが、明らかにオーバースケールで、座席に乗せて取り付けることはできない。H社は初版のころにはパイロットが付いていたが、このキットには付属せず、座席もメタル製でまったくモールドがないため、シートベルトなどの追加が必須である。
⑧A社のプロペラはブレードの形状も良く、軸心の20mm砲身の名残りの表現も巧みだが、裏側にやや大きなヒケがある。H社のブレードは広すぎて、Bf109Fのそれに近いので、一旦切り離して細身に整形のうえ、ハブ基部に付けなおす。また、後部スピンナー板が厚すぎるので、半分くらいまで薄くしてやるとよい。なお今回、H社はE-7/Bとして製作するため、スピナはフルキャップの方を使用した。



⑨A社の主輪タイヤは自重変形し、主脚カバーがオレオ緩衝している意欲作だが、残念ながらカバー下部に湯が回っていない。H社の脚カバーは単純な一枚物だが、実機の着陸状態としては、実はこちらが正しいので、上下の境界部にスジボリだけ追加してやる。脚カバー内側・主脚柱・ホイールハブのモールドは両社とも良好で、ブレーキパイプの付加工作程度で充分である。 ⑩A社のキャノピーは1/72では限界と思われる薄さと透明度を実現した3ピース・タイプの後期型で、形状も文句なし。H社はワンピースで前期・後期の2種類のキャノピーが入っているが、低い胴体高に合わせて上下幅が足りず、あまりE型らしくない。なお、H社を作例の高速爆撃航空団仕様とするためには、後期型の前部風防の前にさらに防弾ガラスの追加が必要。



⑪A社の主翼の上半角不足は本キットの致命的欠陥。しかし、これを+4°に補正するのは至難の業なので、胴体と主翼の糊面を多少削って、瞬間接着剤で圧着する程度で辛抱する。H社の上半角は良好だが、胴体主翼間にスキマが目立つので、パテやプラ材などで埋める。 ⑫H社の塗装の場合、インクスポット迷彩はピースコンを使うとリアルに仕上がる。この際、その上に貼るデカールの位置とサイズを常に意識しておくことが肝要である。



⑬A社のデカールはカルトグラフ社製の上質なものだが、低価格のこともあり、マーキングは1種類だけ。また、英国製キットとは言え、いまだにスワスチカが付属しないのは困りもの。H社はステンシルが豊富で、マーキングもハインツ・ベール中佐乗機を始めとして4種類から選べる豪華版。ただし、経年劣化を認めたため(1992年製)、今回はキット指定の塗装を行っていない。 ⑭A社のデカールにもステンシルはたくさん付いているものの、その添付位置について解説がないのでとまどうが、この番号は同社1/48版キットとほぼ共通なので、それを参考に貼る。



⑮A社の側面形。風防を閉位置に仮置きした状態で、機首周囲や垂直尾翼などの表現に優れる。 ⑯A社のキットをこの角度から見ると、主翼の上半角がほとんどないことがわかる。



⑰H社の側面形。風防を閉状態で仮置きした単体では、機首のカーブに難はあるものの、全体的な造型には及第点を与えられる。 ⑱この角度から眺めるH社のキットはBf109E本来の機影をよく伝える。



⑲A社のE-4完成品。塗装はキット指定の第3戦闘航空団第1飛行大隊副指揮官フランツ・フォン・ウェラ中尉乗機。



⑳H社のキットをE-7/Bとして製作した第210高速爆撃航空団第3飛行大隊所属機。デカールは自作品と流用品を併用した。


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