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特集 テストプレーン

キ64(ソリッドモデル 1/48)

  by 小山新一


(1) 図面

 1981年発行の航空ファン別冊「日本陸軍機写真集」掲載の図面を1/48に拡大して使用しました。「日本陸軍機写真集」は初版だと橋本喜久雄さんの図面ですが、1981版はソリッド・モデラーとして有名な長谷川一郎さんの図面で構成されています。
さらに、1976版「世界の傑作機」の「日本陸軍試作戦闘機1」掲載のK.KOMURO氏の図面も参考にしました。


製作

(2) 〔木取り〕
 ほぼ型通りのパーツ割ですが、主翼は左右一枚ずつ。中央翼と外翼の折れ曲がりは切りこみを入れて曲げることにしました。
 切り出して大変だなと思わせられたのが、プロペラで、前後3枚ずつの6枚。しかも前後でひねりが逆です。失敗を予想してプラス2本の拍子木状の角材を準備しました。






(3)〔整形〕
 切り出し小刀などでおおまかに整形。のち、主翼の中央翼と外翼に切れ目を上下から入れ、慎重に折り曲げ(みしっという感触は冷や汗もの)、下面から木片をくさび状に充填、瞬間接着剤で固めます。






(4)〔小物の作成〕
 機体の整形と並行して、くり抜いたコクピット部の側壁を薄く削り、プラ板で桁を入れ、コクピット内のあれこれを作ります。 






(5)〔下地処理〕
 ここがプラモデルと違うところで、筋彫り、リベットなしのまだ木地むき出しの状態から、①クリアラッカーがけ、②サフェーサー塗り③ペーパーがけ
と進んでいくわけです。サフェーサー、クレオスの1200の缶スプレーを使ってみました。3回ほどかけ、乾燥後ペーパーでならしていきます。こんにちは私の場合、800⇒1000⇒1500の番数でいき、最後の1500番は水研ぎで仕上げます。こののち、ようやく筋彫りとなります。



スジボリを入れる



 ここで、遅ればせながら脚の工作です。脚柱はシンチュウパイプ、タイヤはいつものように、木の丸棒から作ってあります。




(6)〔仕上げ塗装〕
 試作機らしく無塗装銀なので、クレオスの缶スプレー(銀)を吹いて仕上げます。大戦中の無塗装銀、私はこれで十分だと思っています。並行して作っていたハセガワ1/48キ61「飛燕1型丁」も一緒に塗りました。キ64の全体はすべて缶スプレーと横着な仕上げです。すなわち、日の丸と電光の赤、機首のつや消し黒の2色もクレオスの缶スプレーです。




(7)〔プロペラとスピナーの制作〕
 スピナー、木の丸棒から全長を測って切り出し、センターをだしてピンバイスに差し込み、回転させて削りました。ここを正確に作るには旋盤が必要かなと痛感、木工旋盤の安いやつを導入することまで考えたのですが、今回は見送りました。モーターライズするわけでもないので、それっぽいところで妥協です。変化をつけるため、前・後列を分割にして、回転可にしました。微妙なずれがわからない位置で固定できるようにしてあります。ソリッドのためには安い旋盤、必要かも知れません。
 プロペラ、右回転のものは削り慣れぬため、苦労しました。

 というわけで、あちこち不満が残り妥協した部分があるのですが、完成とします。




(8)〔おわりに〕
 キ64、軍からの試作内示が昭和15年ですが、一号機の完成が昭和18年、試験飛行にこぎつけましたが、5回目の飛行で後方エンジンから出火、不時着し以後修理しているうちに終戦を迎えています。開発の進行が遅かったのは、新機軸が多く、それらの解決に時間をとられたことと、川崎のスタッフが3式戦の改修や、5式戦の設計に翻弄され、手が回らなかったためというのが実状であったと思われます。
 模型としては魅力的で、キ61より一回り大きい機体に二重反転プロペラを備えたフォルムはたのもしい印象です。






 機体に配したフィギュアは、タミヤ、ファインモールド、それにモデルカステン製の寄せ集めです。中央風防可動にしようとしたのですが、隙間が出てうまくいきませんでした。可動の名残のピンがあるおかげで、開状態で写真を撮ることが出来ましたが、実機はどうだったのでしょう。知る人に教えを請いたいところです。






 最後の写真はハセガワ1/48キ61「飛燕1型丁」との平面形の比較であります。






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