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AV-8B／TAV-8B　ハリアーII
（ハセガワ／スウォード　1/72）

　　by Windy Wing 2013

　今回は1/72のハリアーIIを２種ご紹介いたします。

＜ハセガワ　1/72　AV-8BハリアーII＞

　いわゆる「ハセガワのＤ帯」はその高い品質と程良い価格ゆえに、初心者からベテランまで、それぞれの腕にあわせて楽しめる素晴らしいシリーズでした。シリーズの中には一部、古い凸モールドのキットも混じっていたとはいえ、もの慣れたモデラーならば、その中から切れ味の良いアイテムを賢く選んでいたことと思います。この＜AV-8BハリアーII＞もそんな「優れ組」のひとつで、形状・モールド・組み上げのいずれをとっても、発売当時はプラモデルの鑑として非の打ちどころのないキットでした。

　しかしながら最近の製品は表面がツルツルになり、モールドもややダレて、金型がいささか摩耗してきた感を拭えません。さらに追い打ちをかけるような値上げによって、そのお手軽感もずいぶん薄れてしまいましたが、今のところ、まだ本キットが1/72におけるハリアー系のベスト・モデルであることには違いがないようです。

＜スウォード　1/72　TAV-8BハリアーII＞

　こちらはチェコ製のハリアー複座型。浅くまばらなモールドと甘い造りの小部品は購入前から覚悟していたことで、簡易インジェクションに細かなことを求めてもしかたがありません。歴代のキットを並べてみると、この「スウォード」というメーカーの中では少しずつ品質の向上が図られているようですが、部品の整合性や細部の描写など、商品としての完成度は今なお、とても世界標準に達しているとは言えず、このキットをゴリゴリとすり合わせている間に、他社のキットならば２機完成させることができたような気がします。

　ただ、完成時のフォルムは予想以上に的確で、複座となってそのスマートさを増したTAV-8Bの美しいシルエットをなかなかうまく再現しています。そしてそのつもりで見ると、同梱されたプラ製キャノピーのふくらみも充分にバブリーで、アイテム選択の巧みさと合わせて、総合的には意外な好印象を残すキットとなりました。

　メディアではもの珍しさから、その垂直上昇降下時の映像しか流されることのない本機ですが、私はこの小さな機体が矢のように滑走離陸してゆく姿がとても好きです。F-35Bの配備に伴い、この歴史的名機が退役してしまうのはいかにも惜しい気がしますが、幸い、ハリアー・ファミリーは各種スケールで良キットに恵まれていますので、これからも時間をかけてこの「ペガサスの系譜」を充実させてゆきたいと思っています。

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AV-8B／TAV-8B ハリアーII （ハセガワ／スウォード 1/72）

AV-8B／TAV-8B　ハリアーII
（ハセガワ／スウォード　1/72）