Home  >De HAVILLAND CANADA DHC-1 CHIPMUNK (AIRFIX1/72 /AZmodel 1/72)>飛行機プラモデル製作>2018年12月号

特集 複座機

    De HAVILLAND CANADA DHC-1 CHIPMUNK (AIRFIX1/72 /AZmodel 1/72)

by 五六式

AIRFIX


 今月の第一特集は,複座機ということで,デ・ハビランド・カナダ DHC-1 チップマンクを製作しました。1/72スケールでは,AIRFIXとチェコのAZモデルから出ています。当初,両方作って並べたら面白いだろうと作業を進めていたのですが・・・・・・,AZモデルの方は,完成目前で挫折してしまいました。あちこち工作に手間取るところを何とかしのいで基本塗装を終えて,完成目前というところまでこぎつけたのにデカールが5回も破れて心が折れました・・・無残・・・。

AZモデル

<実機について>

 デ・ハビランドの子会社として設立されたデ・ハビランド・カナダ社が初めて開発し,量産したカナダ空軍向けの小型練習機(初飛行1946年)。DH.52タイガーモスで使用されたジプシー・メジャーエンジンを搭載し,
曲技飛行もこなす本機は,本国であるイギリスの空軍でも採用され,デ・ハビランド社で量産された。その結果,生産機数1200機を超す成功作となり,現在飛行可能な機体は,500機を超えている。

<AIRFIXのキット(初版1970年 当時の定価¥200!!)について>


※左がAIRFIX,右がAZモデル

 初版は,T.10とT.2のコンバーチブルキットで,現行版は,T.10のみの仕様です(五六式は,高校生のときに初版のキットを作ったことがあります。)。コンバーチブルキットとはいうものの,キャノピーとデカールがT.10用とT.2用の二通り用意されているだけというものです。外形上の違いがある主脚柱や水平尾翼の部品は,T.10用のものしか入っていません。
表面にリベットがびっしり。初版がリリースされた当時は,リベットのモールドがあると「すげー!!」という時代でした。同世代のバッファローやハリケーンもそういうキットでした。部品の合いは,比較的良好で,パテのお世話になることはほとんどありません。現行キットは,型の痛みのために主翼に不自然な突起がついています。


 キャノピーの前後,正中線にある枠は,実機には無く,そのかわりに,キャノピーの内側にステーのようなものがあるようです。  インテリアはあっさりしていて,計器盤すら付いていません。しかし,パイロットが二人ついているので彼らを乗せてやれば,あまり気になりません。パイロットの顔が作り分けられているので,老け顔の方を教官として後席に座らせてます。




<AZモデルのキット(初版2017年)について>

 チップマンクの各型のキットが別々のパッケージに分けて販売されています。形式の記述に混乱があって,カナダ軍向けの機体をチップマンクT.30と記述していますが,カナダ軍では,実際には,T.1および,T.2と呼称していたようです。AIRFIXの現行キットでは,カナダ軍仕様の機体は製作できないのでAZモデルで製作しました。

箱のところどころに,日本語が書かれています。また,説明書には,英語とチェコ語が併記されています。おかしなことに,チェコ製のキットなのに実機説明は,英語のみです。
カナダ仕様の機体とイギリス仕様の機体とでは,水平尾翼の平面形が異なっています。本キットでは,これを再現するためにイギリス仕様の水平尾翼の翼端を切ってカナダ仕様の翼端部品を接着するようになっています。しかし,この水平尾翼,そのままでも,翼端を付け替えても,ほとんど同じ型をしています。つまり,イギリス仕様のT.10の水平尾翼とは,ちっとも似ていない(AIRFIXのキットの水平尾翼の形が正解)のです。


 ※ 上がAIRFIX,下がAZモデル

インテリアの再現のため,たくさんの部品がおごられています。その反面,主翼下についていてよく目立つピトー管は,省略されています。また,主脚柱のオレオは自作することになっています。部品が多い上にたてつけが悪く,主翼と胴体の接続が決まりません。そのため,塗装に入るまでに多くの時間を要しました。塗装無しの素組みだけなら,この間にAIRFIX版が3機完成するでしょう。主脚柱や尾輪の取り付けも怪しかったです。

新しいキットなのに機首前面に成形不良があります。
塗装の指示が不十分で,自分で調べなければなりません。(プロペラの前側とスピナーは,銀,プロペラの後ろ側は,つや消し黒です。)

 デカールは,薄く,糊も強力でシルバリングの心配はありません。でも,すぐ破れます。細かなコーションマークが一体となって印刷されており,一つ一つ切り離していかなければなりませんが,RESCUEの矢印は,2つありますが,間が1mmもあいていないので切り離すのが困難です。メーカーとしては,コーションマークはおまけで,「嫌なら貼らなくていいよ。」というスタンスなのでしょう。

レバノン空軍のマーキングも収録されているのは,珍しくていいかもしれません。







なぜなのか,AIRFIX版とキャノピーの部品に互換性があります(どちらのキャノピーの部品をつけてもぴったりフィットします。)。主翼のフィレットのあたりもよく似ています。


ここまで,クラッシュしちゃったAZモデル版についてくどくど書いてきたのは,AIRFIX版の製作に役立ったし,AZモデル版の方が新しく,筋彫りが凹モールドでインテリアに凝っているので,こういうキットが好きな人や間違って買ってしまった人の役に立つと思ったからです。では,本題に。


<AIRFIXのキットの製作>

1 全体のリベットを削り,うっすらと分かる程度にしました。思い切ってがしがし削っても,リベットの周りがひけているのでリベットラインが残ります。





2 キャノピーの余分な枠を削った後,コンパウンドで磨いて削り跡を消しました。削った枠の代わりに,実機では風防の内側にステーが入っているので,黒いダイモテープの細切り(色塗り不要。糊付きなので接着が楽ちんだし,何度でもやり直せる。)を貼ってあります。オーバースケール気味ですが,あまり細いと接着が困難になるのでほどほどにしておきました。

3 主翼の成型不良はカッターや耐水ペーパーで修正し,このときに消えた布張りのモールドはカッターでけがいて再生しました。・・・が,中坊のときに,高専で教材としておいていたテキサンを見ると,布張りのところも塗料を塗り込めているのでつるつるになっていたのだよね。
4 気休めですが,プラ板で室内の隔壁や計器盤を簡単に作りました。プラ板の切り出しからパテの乾燥まで丸1日かかった工作ですが,パイロットを座らせて風防をのせると,さっぱり目立ちません。


5 AZモデルのキットから水平尾翼の前にある細長いフィンを貰って取り付けました。1970年当時には,実機にこのフィンがなかったのかもしれません。しかし,キット指定の塗装の機体写真を見ると付いているんだなぁ。機体の補強か何かで後付けされたのかもしれません。


6 白のストライプは,最初に白を塗った後,マスキングをしてから黒をスプレーして再現しました。動翼のラインで黒が漏れてくるのを予防するため,木工ボンドで溝を埋めてからマスキングしました。塗装後,水で濡らしたティッシュでボンドをふやかしてからボンドを除去しましたが,思いのほか手こずりました。次回からは,マスキングゾルを使います。
7 エンジン周りのインテークは,小径ドリルで軽く掘って開口しました。前面の大きなインテークの下にある小さな丸いインテークは,再現されていなかったのでAZモデルの部品や実機写真を参考に開口しました。

8 バットマンのマントのような排気管は,実機の写真を見ると,ただのパイプにステーが付いて斜めに突き出ているだけです。今回は,分かっていてスルーしました。
9 ややこしい風防の枠は,無謀にも筆塗りです。一気に塗らずに少しずつ塗りむらは気にせずに書き込んでいきます。塗っている途中で手に塗料が付くのを防ぐために少し塗ったらビデオでも見て間を置き,一通り塗ったら,何日か放置して二度塗りをするという感じで進めて,はみ出しは,塗料の完全乾燥後に枠の輪郭をカッターでなぞってから爪楊枝で除去しました。塗装面に多少の凹凸がありますが,軽くコンパウンドで磨いた後,デカールを貼ってグンゼの半つや消しトップコートを筆に吹き付けたもので艶を整えました。

10 赤箱のエアフィックスのデカールは,優秀です。何も考えないですいすい貼って,糊が乾燥したらシルバリングも出ません。AIRFIXのキットの商品力が上がった所以と言えるでしょう。



 以上のようにいろいろいじりましたが,フィレット周りを除き,部品の合いも良好でぱかぱか組み上がりました。 約50年前にこれを実現し,しかも,実機の雰囲気をよく伝えているとは・・・。


黒の塗装がスタイリッシュ・


なかなかかっこいいです。スピットファイアより・・・。


練習機で黒ってどうよ,と思っていたのですが,この塗装,暗いところでも目立つんですね。

<製作を終わって>


 AZモデルのキットは,暗礁に乗り上げてしまいましたが,このキットがあったゆえ,分かったことも多々ありましたし,AIRFIXのキットの製作に大いに役立ったのでよしとしたいと思います。

それにしても,AZモデルのキットってAIRFIXのキットに似ているところがありますね。きっと開発スタッフがAIRFIXのキットを基本として足りないところや現代に通用するようなプラスアルファを付け加えようとしたのではないかと思ってしまいます。でも,技術力が伴わなかったんですね・・・涙・・・。

約50年前に,このレベルのキットをすでにリリースしていたAIRFIX,恐るべし!!




ツカノを作って並べたい!!  後,ジャギュアの黒も・・・。


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