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フルアクション スピットファイアMk.9 (エフトイズ 1/72)
by
田
口博通 Hiromichi Taguchi
エフトイズからフルアクションシリーズ第5弾として、「1/72 フルアクション スピットファイアMk.9 塗装済み組み立てキット」が発売されたので、ニューキットレビューで取り上げてみました。
このフルアクションシリーズは塗装済み部品を 接着剤を使わずスナップ方式で、おまけ付きチューインガム いわゆる食玩として、コンビニ、スーパー、模型店などで 売られています。
モデル化されたスピットファイアは、第2次大戦後期の4枚プロペラのMk.9Cです。マーリン60系エンジンを搭載し、重武装のCウイングとなっています。
キットは第3弾のFw190Aと同様に 主脚引き込み式、各舵可動、風防可動、主翼機銃とエンジンもカバーをとりはずして見ることができるというオール可動モデルです。
主翼機銃カバーを開けると機銃が見える。キャノピーも可動する。
塗装済みの機体はイギリス大戦中期から後期の標準地図迷彩で 上面のオーシャングレーとダークグリーンもなかなか良い色合いです。
また、エンジンや、脚、タイヤ、計器板などもそれぞれ色分けされています。
1/72プラモデルではエンジンやコクピットだけでなく機銃まで内臓されたスピットファイアのキットは過去に無かったことと思います。これで塗装済み部品で1000円。食玩おそるべし。
今回組み立てた感触はシリーズ前作同様で、エンジンやコクピット内部を再現した部品点数も多く、「精密プラモデルを組み立てた」という印象です。
スナップ方式の部品の嵌合は良いですが、塗装厚みできつくなっている部分もあり、はめ込むには少し力が必要でした。また、箇所によっては流し込み接着剤を併用した方が組み易いでしょう。
箱絵
枠塗装済みキャノピー
胴体部品
主翼部品
各塗装済み部品
組み立てには カッターナイフ、プラモデル用ニッパーが最低必要で、それにピンセットがあれば 組み立て易いと思います。
カッターナイフは標準の他、もう1本 刃先30度の鋭角刃があると更に便利です。
また、Mr.セメントSPもしくはタミヤ速乾流し込み接着剤や 手芸用水性透明ボンド などを用意しておくと、良いでしょう。
工具
工作
(1)エンジン
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エンジン
Mk.9のエンジンはマーリン60系です。従って排気管は6本となっています。キットはそのエンジンが良く再現されています。
黒鉄色で塗装済みのエンジン部品をニッパーで切り離し 切り口をカッターナイフで整形します。プロペラ軸を左右エンジン部品ではさみ、組み立てます。
左右の排気管部品はエンジン側面の穴にはめこんで組み立てます。
エンジン部品
組みあがったエンジン。
■
エンジン架
左右のエンジン架部品は、イギリス機の機内色であるエアクラフトグレイグリーンで成型されています。エンジンを両側から挟み込み、組み立てます。
エンジン架が外れやすいので流し込み接着剤で固定しておくと良いでしょう。
排気管部品
完全に組みあがったエンジン。
(2)コクピット
■
エンジン架を防火板に取り付ける。
エンジンの上下にエンジン補機部品を取り付けます。エンジン架を防火板(No.21)に取り付けます。
外れやすいので流し込み接着剤でしっかりと固定しておくと良いでしょう。
エンジンと補機(銀色)、防火板
完全に組みあがったエンジン部。
操舵系は組み立て説明書の通り、先に組み立てます。アクチュエーターとペダルが別部品になっています。
ピンはペダル部品に貫通させます。
■
コクピット
エアクラフトグレイグリーンで成型された各コクピット部品を切り離し 各部品を穴(溝)にはめこんで組み立てて行きます。
コクピット部品
計器板には照準器部品を先に取り付けますが、はめ込みがきついので、カッターナイフで少し穴を広げ、差し込む部分の塗料を削り落として調整します。
エンジンもコクピットに連結します。かなり精密なコクピットが出来上がります。
(3)コクピットとラダーを胴体に組み込み、胴体を組み立てる
(注:)組み立て説明書に書かれていますが、左右の胴体が組まれた状態で箱に入っているので、これを一度はずす必要があります。しかし、胴体中央のピンがきつく入っているので、はずすにはかなりの力が必要でした。胴体を壊さないように、胴体内にラジオペンチを入れ、そのペンチをゆっくりと開いて やっとこさ はずしています。
きつく入っている胴体中央のピン
(赤丸、矢印)
をはずそうとせずに、プラモデル用ニッパーでカットしてしまう方が楽なようにみえます。これから作る皆様にはピンをカットする方法をお勧めします。
胴体右側にコクピットを取り付ける。
ラダーもはさんで、胴体左側を組み合わせる。スナップにはかなり力が必要です。
垂直尾翼部は流し込み接着剤で接着してしまうとよいでしょう。
(4)主脚と主翼の組み立て
■
主脚
まず、可動の主脚を作っておきます。
タイヤ、脚柱、脚扉をニッパーで切り取り、カッターナイフで切り口を整形します。
脚が組みあがったら、ピン部を流し込み接着剤で固定しておくと良いでしょう。
■
主翼
主翼下面部品に機銃を組み込みます。
主翼下面に可動主脚をセットします。
フラップとエルロンを組み合わせます。
主翼上下をパチッと合わせて主翼完成。
主翼上下も流し込み接着剤で接着しておくと良いでしょう。
(5)主翼と胴体を合わせ、尾翼を取り付ける。
それぞれ 組みあがっている胴体を 主翼に押し込み、組み合わせます。
形が見えてきました。
■
水平尾翼
水平尾翼は、上下尾翼部品で可動昇降舵をはさみ 組み立てます。
翼上下をパチッと合わせて尾翼完成。
水平尾翼を胴体に取り付けます。
水平尾翼の昇降舵のピンは垂直尾翼の穴を通してつなげ、両側の昇降舵を連動させます。
プロペラにスピンナーを組み合わせます。そして、エンジンのプロペラ軸に通します。
透明キャノピー、エンジンカバー、機銃カバーを取り付けます。
(6)機体裏側にラジエーター、機首吸気口の取り付け
Mk.9から左右対称形になったラジエーターと大型になったインテークを取り付けます。
マーキング
組み立て説明書の裏がカラー塗装図とパーツランナー図になっています。
マーキングは豊富に5種から選べるようになっています。付属のデカールは印刷は良好で、色合い、文字の抜けともシャープです。
また、模型店ルートの特別限定版では 1945年春にイタリアからユーゴスラビアに展開した73WGの派手な揮官機のデカールが付属していました。
好みのデカールを貼りましょう。
塗装図と パーツランナー図
デカール
特別限定版に付属するデカール
今回は第312飛行隊のデカールを貼りました。これで 完成!
主翼やエンジンカウリングのラインなど かなりバランスがよい。
製作の感想
組み立てた感じは、精密さは前作同様。
主翼を組み立てる際にフラップとエルロンを最初からはさむと組みづらいので、主翼前縁を合わせたら、後縁の隙間からフラップとエルロンを差し込む方が組み立て易いでしょう。
コクピットも照準器など細かい部品も多いので、プラモマニア向けかもしれません。
もう少し、細かい部品を減らして簡略化した方が、コンビニで手に取る一般の方にも組み易いのではないかと思います。
今回も3時間ほどでスピットファイアが見事完成。
ハセガワ、タミヤ、エアフィックスのプラモデルスピットファイアと並べても違和感がありません。
それだけ、このフルアクションシリーズがこなれてきたということなのでしょう。
塗装済み部品を組み立てるプラモデルというのも最近のトレンドになりつつあり、フルアクションにもかかわらず、フォルムもよく、スタイルにも破綻がありません。食玩の進歩からも 目が離せません。
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