ル・ブルジェ航空宇宙博物館のWWⅡ機を集めたハンガーには、80年前に初飛行し、75年前の連合軍のノルマンディ上陸作戦を迎撃したJG26(第26戦闘航空団)司令のヨーゼフ・プリラー中佐の乗機Fw190Aー博物館の表示はA8型ーが展示されています。この展示機自体は戦後後にSNCAC社が64機生産してフランス空軍に納入した
NC900です。ネットで見た同博物館の古い写真はフランス空軍塗装で、その後ドイツ機に変わり、最終的にフランスと縁の深いプリラー機に落ち着いたようです。
実は私が一人で初めて映画館で見た映画は「一番長い日」(邦題は「史上最大の作戦」)で、ノルマンディ海岸の上陸地点をプリラーと他1機が銃撃し、無事離脱するシーンにアドレナリンが出ました。(Fw190A役をBf108が演じたのを残念に思うのは後年です)。また同じ頃、初めて別売りデカールを、確か「えんどう」から通信販売で購入しましたが、これがプリラー機でした!
かくしてレベル72の痩せぎすのFw190A4はプリラー機に変身し、私は幸福なプラモデル体験を堪能できました。 |
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けれど昔から気になっている事があります。映画の機体右側は陸地、左側は海で、プリラーとハインツ・ヴォダルチックは西から東に銃撃した事になります。ところがコーネリアス・ライアンの原作日本語版に掲載された地図は、東から西へのルートです。日本語版による6月6日の飛行は、8時にリールを離陸、「低空で真西向けて襲いかかった」。アブヴィル上空で高空を飛ぶ敵機に気づき、ル・アーブルに接近して高度を上げ雲に隠れ、雲を突き抜けると、そこは英軍上陸地スウォード(上陸地の最東端)でした。ここから銃撃を開始して海岸沿いを西進します。ジュノー(東から2番目の英軍上陸地)、オマハ(東から4番の米軍上陸地)と地上からの証言が続き、Fw190は2機とも無傷で戦場を離脱します。つまり一貫して東から西への飛行でした。
でも映画はアドバイザーにプリラーも参加しています。すると真相は東進なのか?でも映画は他の場面で脚色も多いし、撮影上の制約があったのかなんて妄想しています。
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