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特集 72スケール

BRISTOL BEAUFIGHTER (AIRFIX/HASEGAWA 1/72)

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,5月号の”イギリス大戦機”に間に合わなかったブリストル ボーファイターを1/72スケール特集にて紹介します



 5年前,CONVEX岡山の骨董市で入手したブリキのボーファイター(普通,スピットかモスキート,次点でハリケーンじゃろ?)が気に入って,それからちょこちょこキットを買っていたらストックがこんなに・・・後,タミヤの1/48も・・・ボーッとしてました。チコちゃんに叱られそうです。

今回,製作したのは,手持ちのキットで一番古いハセガワのNF.Ⅰと,AIRFIXの近作TF.Ⅹです。実は,この2つの組み合わせが,後に,思わぬ幸運に結びついたのでありました・・・つづく・・・。

<実機について>
 雷撃機ブリストル ボーフォート(由来は,中世のイングランド王ランカスター家の分家ボーフォート家から)の尾翼や降着装置などを流用して設計された重戦闘機。ボーフォートの部品を使った戦闘機でボーファイターということらしい。

初期のMk.Ⅰは,十分な性能を発揮できなかったが,エンジンを高出力のものに換装するなどの改良を受け,重戦闘機としてばかりでなく,雷撃機としても使われるようになった。(一式戦闘機隼には敵わなかったようだけれど。)


<キットについて>

  ハセガワの初版は,1998年。オプションパーツなどの入れ替えでMk.ⅠからMk.ⅩⅩⅠまで様々なタイプのキットが出ています。2019年にMk.ⅤⅠ仕様で再販されました。また,MPMなど、他社にもOEM供給されているようです。


 エアフィックスの初版は,2015年。1958年の初代キットを57年ぶりに更新したものです。実機スキャンやCADを使った部品設計など新しい技術を使って製品化されていますが,小さなバリが散見されるなど,エアフィックスらしい脇の甘さも健在です。2016年に,レドームやドーサルフィンなどのパーツを追加したキットも発売されました。

 ハセガワ版の組み立てに要する部品は,90個で,エアフィックス版のそれは,100個あまりです。ただし,そのうち,ロケットランチャーの部品が18個とパイロットフィギュアが2体付いているので部品数はほぼ同等と言えるでしょう。



※ 排気管は,ハセガワ版ではメタルパーツとなっています。

 また,エンジンのカウリングは,ハセガワ版では二分割でカウルフラッブの部品で固定するのに対して,エアフィックス版では三分割でエンジンの部品で固定するようになっています。

 全体としてエアフィックス版の方がハセガワ版より17年分新しいだけに,ディテールフルで,組み立て易さのために新しいアイデアを盛り込んでいるような感じですが,かといって,あっと驚くような圧倒的な差はついていない感じでした。総合的に,どちらもおすすめのキットです。


<製作>
各キットの製作のアドバイスを以下にあげます。

〇 ハセガワ版
 初期のレーダー搭載型夜間戦闘機型NF.1仕様のキットです。

下地に吹いた黒いサーフェイサーを夜間戦闘機の黒い塗装にそのまま使ったら感じがいいかな?というコンセプトで作りました。


1 建て付けが少しよくないので部品の継ぎ目の段差が出ることがあります。

2 エンジンカウリングは、先端の部品をゲージにすると歪まずに形になります。エンジンカウルについている突起が部品の合わせ目の処理のときに消えないよう,マスキングテープで保護しておくことをおすすめします。もし,消してしまったら(消してしまったのだけれど),ゼリー状の瞬間接着剤を点付けしてそれらしく再生します。

3 フィレットの部分にひけがあるので表面をパテ盛りやサンディングでならしておきます。(AIRFIX版も同様に処理します。)

4 主翼取り付け用のダボは,組み立て後にも外から見えそうなので機体内部色で塗っておきます。

5 組み立て説明図にあるピトー管の取り付けのための穴は,部品の方には開いていません。AIRFIX版の部品を参考に,小径ドリルで取り付けのための穴を開けました。


6 キャノピーの枠の段差が小さいのでマスキングテープを切り出すのが困難でした。洗面所のライトの透過光でモールドを透かして切り出しました。トレース台があればそんな苦労は要らないのですが・・・。

 
7 キャノピーと主翼前縁の透明部品は,はめ合わせが適度にきついので,接着しないでもはめ込んだだけで組み込めます。主翼前縁のライトは,100円ショップで入手したデコシールを貼ってそれらしく表現しました。

8 デカールは,黄ばんではいなかったものの,経年のため,なかなか台紙から離れてくれませんでした。ちょうど,一緒に製作していたAIRFIX版のデカールの余った分からラウンデルが流用できたので,ありがたく使わせていただきました。コードレターは,1時間ほど水につけていたら台紙から動くようになったので,それを貼り付けた後、余白をカッターで切り離してシルバリング対策をしました。細かなステンシルは,普通に使えたので,普通に貼り付けて,安定した後,マークセッターで本体との密着度を高めました。なお,デカールのフィルム自体は,丈夫ですが,マークセッターには弱いので,注意が必要です。


〇 AIRFIX版 
 雷撃戦闘爆撃機型TF.Ⅹ前期型仕様のキットです。

このところ,黒く塗った英国機ばかり作っているので,筆塗りでRAFの迷彩塗装をするというコンセプトで作りました。

1 ハセガワ版より若干組みやすいですが,成形が甘いところがあるので部品のチェックや合わせ目のチェックが必要です。

2 このキットの最大の難関が3分割されたカウリングの組み立てです。組み立てたエンジン部の周りにカウリングを貼り付けていくのですが,組み付けが安定せず潰れていってしまうのです。

まず,エンジンを組んで塗装した後、これをエンジンナセルに仮付け(接着剤を付けないでもしっかり固定できます。)し,このエンジンにカウリングを取り付けていくと組み立てやすくなります。このとき,カウリング内部やエンジンを塗装を塗装しておかなければなりませんが,塗料の厚さの分,どうしてもカウリングの部品同士の合わせ目に隙間ができてしまいます。

この合わせ目は,3つできますが,そのうちの2つは,エンジンの吸気口と排気口で隠れてしまいますので,丁寧に合わせ目処理する必要があるのは一ヶ所だけとなり,ここだけを頑張ればよいわけです。


3 主翼裏面のラウンデルのあるところからピトー管が出ています。初めから分かっていたら,ラウンデルのデカールを貼った後にピトー管を付けたのに・・・。

今回は,仕方がないのでラウンデルのデカールを貼り込みつつ,カッターで切れ目を入れてピトー管をラウンデルで囲み,めくれたところはカッターで切り飛ばしたりマークセッターで馴染ませたりしました。


※ グレーの部品がハセガワ ライトブルーがAIRFIX

4 主脚は,部品が華奢で組むのがやや難しいです。くの字型の主脚基部をがっちりと主脚庫に接着しつつ,主脚本体にそれを接着,ステーの部品の助けを借りて骨組みを安定させるという手順ですが,これを実際に実行してみると・・・涙・・・。


5 翼端灯は,透明のカバーの中に赤や緑の電球が入っているというタイプでした。AIRFIX版、ハセガワ版ともにそのように見えるよう,透明部品を加工しました。


6 塗装は,まず,ストライブのための白をスプレーした後,マスキングしておきます。下地の黒いサーフェイサーをスプレーした後,黒立ち上げで筆塗りしていきます。

迷彩パターンは,RAFのスタンダードと若干違っているようです。塗装図のパターンは,左右の側面図でダークアースとダークグリーンの境界線が一致しないところがあったので,上面図を参考にして適当にアレンジして塗り分けました。

上面迷彩の部分でトップコートを除き,6層くらい塗り重ねています。


<完成> ハセガワ 1/72 BEAUFIGHTER NF.Ⅰ










<完成> AIRFIX 1/72 BEAUFIGHTER TF.Ⅹ










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