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特集 オートバイ

(Photo) 空挺バイク ウェルバイク(Welbike)

by  コルディッツ
博物館実機写真

第二次世界大戦中、イギリスのSOE(特殊作戦執行部)の研究開発部門「ステーションⅨ」では、潜入する特殊工作員の移動手段に、パラシュートで投下する「折り畳み」の小型バイク、ウェルバイクを開発しました。重量僅か32kgで、空挺部隊のコンテナ(長さ130cm、高さ38cm、幅12cm)に納める事が出来ました。しかしエンジン音がうるさい上、小径のタイヤでは不整地は走行不能なため、SOEで使われなかったようです。なおWelbikeの名称は、ステーションⅨの秘密工場のあるWelwynという町名に由来との事です。
 情報部関係は不採用でも、軍は基地のスタッフ移動用に採用、オートバイメーカーのエキセルシャー社が1942年から1943年まで3,641台生産しました。

 そして欧州侵攻の尖兵役のコマンド部隊、海兵隊コマンド部隊、第1空挺師団、第6空挺師団、ポーランド第1空挺旅団などにも配備されました。最初は1943年のアンツィオ上陸作戦で、その後ノルマンディ上陸作戦やアーネム空挺作戦でも投入されましたが、どんな活躍をしたのか分かりませんでした。
ノルマンディ海岸でウェルバイクを担いで上陸する英軍兵士の写真をネットで見ましたし、改装前の空挺博物館(アーネム、オランダ)にウェルバイクの
展示がありました。が、エンジン音の問題や路外性能と搭載能力の低さから、戦場で役に立ったのか疑問です。サスペンションもないですし… 
 上記の欠陥に加え、軍用大型グライダーの投入で、通常の大きさ・重量のオートバイを運搬可能になったので、空挺用折り畳みバイクは廃れました。
 以上英文Wikipediaを参考にしました。


 ウェルバイク
 軍事博物館(ブリュッセル)          2009年12月撮影
 同博物館の第二次世界大戦の実寸大ジオラマで、空挺用コンテナに格納
されたオートバイクの展示です。コンテナは緑色で、その表面には白文字で
「Motor Cycie」と書かれているはす。コンテナは機外に吊し、パラシュートで
投下したようです。コンテナから取り出し、折り畳み状態を解除するのに11秒
で済むとありました。(一部資料では10秒)


帝国戦争博物館(ロンドン)           2017年4月撮影
 後輪に泥よけがないMark1で、1,200台製造されました。 







 オーストラリア戦争記念館(キャンベラ)にて   2018年4月撮影
 後輪輪に泥除けの着いたMark2型。同型のシリーズ1は1,400台、シリーズ2
は1,240台製造です。シリーズの違いはサドル付いている燃料タンクと、その
キャップの違いとの事ですが、比較できる写真がないので済みません。


 エンジンは98cc、2ストローク、単シリンダー、空冷。


ガソリンタンクの容量は6.5英パイント=3.7L、時速48km/hで140km走行可。
 マーケット・ガーデン作戦の発動されたベルギー国境からアーネムまでが
約100kmなので、ドイツ軍がいなければ半日で走破出来たかもしれませんね。 





コーギー スクーター
 王室空軍博物館(コスフォード)にて        2018年4月撮影
 戦後にウェルバイクをベースにしたコーギー社の開発した小型バイク。と
言うよりもスクーターですね。軍も使用しましたが、民間の「地域看護師」
活動の「足」としても有名です。ちなみに日本の「訪問看護」は英国の
「地域看護師」をモデルにしていますが、残念ながら実態は… 






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