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誌上個展

   1/72で綴るソ連レシプロ戦闘機の系譜

   第9回 Yak-9T (ICM 1/72)

by akaihoshi2004

 第二次世界大戦におけるソ連戦闘機は従来、性能が低く見るべきものが無いとされて来ましたが、実は大戦末期にはドイツ機と肩を並べるほどに発展していました。このシリ-ズではソ連の単発レシプロ戦闘機に焦点を当て、1/72の模型を使って概ね年代順に辿って行きます。 


Yak-9はYak-1からYak-7を経て発展した戦闘機で、Yak-7までは木製だった主翼を金属に替えて軽量化し、性能向上を果たしました。軽量化を徹底するため武装が減らされ、プロペラ軸内に20mm機関砲1門、機首上面に12.7mm機銃1丁を装備しましたが、貧弱な武装を少しでも補おうと、Yak-9Tではプロペラ軸内機関砲が37mmに強化されています。Yak-9は1943年末に実戦投入され、各型合計16,000機以上も量産されて大戦後半のソ連主力戦闘機となりました。



BOXア-トですが、場所はソ連領内もしくは東ヨ-ロッパの山岳地帯でしょうか。夕焼けに染まり始めた空の下、一機のJu87が墜落して行きます。そしてその手前には箱の対角線一杯に描かれたYak-9の雄姿。ロシアや東欧圏の少年たちはこのBOXア-トを見てさぞかし胸躍らせたことでしょう。



箱のサイズはかなり大きくて、単発大戦機としては1/48が入る大きさ。開けて見ると中はスカスカで、2枚のランナ-に手際よくまとめられたパ-ツが出て来ます。箱が大きいのはほぼA4サイズで2色刷り8ペ-ジという、やたら気合の入った取説が入っているためです。パ-ツの方は胴体とキャノピ-が前期型と後期型の2機分、その他機首の銃身と操縦桿などがコンバ-チブルになっていて、Yak-9の全サブタイプが制作可能という豪華な構成。1/72Yak-9の決定版を狙ったメ-カ-の意気込みが伝わってきます。



成形はバリはあるものの少なめで、まずまずシャ-プな感じ。パネルラインは凹です。コクピット内壁や脚庫にもモ-ルドが施されており、脚パ-ツもスケ-ルなりに精密で、ディティ-ルはしっかりしています。私が見る限りプロポ-ションは正確そうです。まあ、前期型と後期型でわざわざ別の胴体パ-ツを入れるくらいだから、メ-カ-を信用していいと思います。



しかし成形技術に劣るのか、各部品とも微妙に歪んでいたり表面が引けていたりするので、ただどんどん組めば良いという訳ではなく、若干の修正も必要です。近年の優秀なキットに慣れたモデラ-さんにとっては手が掛かる旧作と言えますが、これがいわゆる「キットの味」になっていて、修正工作が無いと物足りないDeepマニアには楽しみの多い一品です。



デカ-ルは10機分のバリエ-ションから選べる充実したものなので各サブタイプを網羅しているのかと思ったのですが、9機はYak-9(無印)、残り1機はYak-9Tのものでした。箱絵の機首から大口径砲身が突き出た機体はYak-9Kで、この機体のデカ-ルは入っていません。箱絵の機体が作りたくてキットを買うことも多い訳で、少なくとも箱絵に描いてある機体のデカ-ルはセットしておいてもらいたいものです。

 下記アドレスは本稿の筆者のホームページです。ご興味がありましたらどうぞご覧下さい。
http://w01.fitcall.net/akaihoshi/


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