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 零戦52型(アリイ(旧LS)1/72)

  by 加藤 寛之



 旧LSの零戦を、また入手できた。LSの零戦シリーズは私の好きなキットで、年に1つくらい作りたくなる。前回は約1年前で、二式水戦を作った。零戦52型は東京オリンピック開催の1964年に発売だ。キットの内側にちゃんと刻印してある。それからずっと現役という長寿キットで、こんな商品は珍しい。
だが高齢化は隠しようもなく、バリはプラ板のごとく大面積があり、水平尾翼のモールドはますます薄くなり、乱反射の固まりのような透明度の風防には、第一風防にヒビも入っていた。

 今回は、エルロンとフラップ、ラダーといった動翼類と風防を可動で組んだ。
エルロンの主翼側は窪む傾向があるので、プラ板で厚みを保つ。垂直尾翼も同様。各ヒンジと棒には水性ボンドを塗ってガタ防止にしておく。ついでに接着剤でくっついてしまう事故も防げる。フラップは事後変形で少し曲がっていたのだが、矯正で折れるといけないのでそのままでOKとした。ヒンジ部分の大きな膨らみは、強度が保てるくらい厚みを残して低く削った。
 第一風防はヒビに流し込みタイプの接着剤を入れてくっつけ、黒を薄めて塗ることで傷の輝きを弱めておいた。キットのままでは第一風防が後傾するので、その分を前方胴体で削り、僅かだがM字胴体断面にする。とても実機のようにはならないので、塗装でM字感をだすようにごまかす。
 第三風防は、パーツの形状が原因で後半の左右に胴体との隙間ができる。胴体側の背中を少し削って低くし、それでも残る隙間には水性ボンドを流し込んで目立たなくした。
胴体はコックピット近くにランナー片の突っ張り棒を組み込み、主翼の上反角をしっかり付ける補強とした。
 このキットの排気管は断面が丸すぎ、外側への広がりも強い。外側を削って低くすることで、ついでに断面も丸みも緩和できる。
 今回は、機関砲とピトー管は、キットのままとした。特に理由はない。コックピットにはプラ板をL字に曲げた椅子らしいものを作っていれておいた。
 パーツ数は少ないし、作り慣れてもいるので、どうってことなく組みあがった。



 キットの塗装は、三菱塗装と中島塗装の2種から選べる。ちゃんと塗れば、カウリングや機体の緑色、水平尾翼下面の塗装に違いがある。前者は戦爆タイプのようだから、キットパーツにある爆弾にあわせたものだろう。後者は埃だらけの機体を部分的に拭き取った跡と分った、以前は雲形迷彩といわれた機体だと思う。とても工夫をしている組み合わせだ。
 とはいえ、そういうことにとらわれず、好きなように塗る。その辺りにある、似たような色を塗ってOKとする。主翼前縁のオレンジはもっと細く塗りたかったが、機関砲が太いのでバランスが崩れるから、無理はしなかった。
 デカールは貼りやすい。
最後に半光沢のスプレーをプ~~っと吹いて完成とした。



 私にとって72クラスの零戦といえばこのキットのことで、これは似ている・似ていないという次元ではない。以前は固定していた動翼も、水性ボンドで適度な動きで作れるようになって、実に楽しい。おもちゃ的だといえばその通りで、それでいいじゃないかと思う。くちゅくちゅとエルロンを動かし、フラップを開け閉めして、風防も前へ後ろに動かしてみる。面白い、本当に面白い。プラモデルは精密だけが価値じゃないって、よく分る。
 以前も書いたが、プロペラやアンテナ柱は実に見事な造形をしている。機関砲やピトー管が太いのは、頑丈だとか、カッコいいとか、そういう商品化対策に過ぎない。可動のために大きく膨らんだヒンジも、ちゃんとした形にしたうえで追加加工してあるので、整形するときれいな形になる。風防可動も時代の要請だ。これらは「不出来」でも「欠点」でもない。メーカーのそんな想いが感じられる、人間味あふれたキットなのだ。


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