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特集 多発機 

(Photo) ホーカー・シドレー トライデント

by  コルディッツ
博物館実機写真

 現在では既に時代遅れになった感のある、三発ジェットエンジンの旅客機の元祖は、ずっとボーイング727と思い込んでいました。
ところが調べてみると、実はデ・ハビランド社の開発したD.H.121トライデントが最初と知り、愕然としました。D.H.121の初飛行は
1962年1月9日、727は1963年2月9日、ツポレフTu-154は1968年10月4日なので、デ・ハビランド社の先進性は明らかだと思います。が、ここでもD.H.106コメットとボーイング707の歴史が再現されます。
すなわち先行したデ・ハビランドの先進的な旅客機は、キャパ不足の欠点を有し、後発のボーイングはその欠点をついて、大容量の旅客機を投入し、市場を制覇するという…
もっともトライデントの初飛行は、デ・ハビランドがエアコー社を経てホーカー・シドレーの一員になってからのことですが。
トライデントの生産数は117機、727は1,832機、TU-154は1,015機とされていますので、大英帝国の凋落を象徴するかのようです。なお最終型の3Bは、尾翼に離陸時に使用するジェットエンジンを追加し、4発機になっています。
※本稿は「旅客機」(K・マンソン著 湯浅謙三訳 野沢正監修
鶴書房 昭和46年2月10日)とWikipediaを参照しました。


  ホーカー・シドレー HS121 トライデント 2E G-AVFB
 戦争博物館ダックスフォードにて       2005年7月撮影

ダックスフォードの滑走路脇に展示されてますが、訪問
はエアショーの時ばかりなので、何とこの1枚しか撮影を
していませんでした! 最初のトライデント1型の乗客数
は101名、2E型では115名に増えていますが、727は最初の
100型で149名とキャパが大きく、勝負が着きました。


 ホーカー・シドレー HS121 トライデント 1E B-2207
 中国民航博物館(北京)にて         2019年5月撮影




 中国が最初に導入したジェット旅客機がトライデント
でした。ちょうど中ソ対立時代で、最新鋭のジェット機
を売ってくれるのは英国しかありませんでした。そのため
VIP機としての運用実績もあります。展示のB-2207機も
「中国の中枢指導者用の特別機」(拙訳)と掲示されて
いました。それで思い出すのは1971年9月の林彪事件です。
通説では毛沢東暗殺に失敗した林彪は、トライデント1 E
(No256)でソ連への亡命飛行中に、モンゴルで墜落死
しました。




エンジンはロールス・ロイス・スペイ RB163-25 Mk511-5




小振りな機体で、主脚の構成も簡素に見えます。
 当時、航空技術面では発展途上国だった中国には、適切な機体だったと思います。







トライデントの隣はBAe146-100とA310です。ジェット
旅客機を3機並べられる航空博物館とは、日本と比べると
羨まし過ぎます。やはり中国は巨大ですね。


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