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 P-61 ブラックウィドウ (ハセガワ・フロッグ 1/72)

  by 加藤 寛之



 ハセガワがフロッグと提携していたのは、1967~1974年だそうだ。今回組んだ製品は、提携終了後におもちゃ屋で売れ残っていたキットを見つけて購入したもので、それから40数年経過した。今回、作ってみた理由はカンタンで、塗装嫌いの私が、キットの素材色を活かして組んでみたくなったことによる。ハセガワ・フロッグのブラックウィドウは黒色成形で、塗らないで作るのに都合が良かったのだ。
 塗らないでOKなプラモデルという発想は、珍しいものではない。暗緑色やくすんだ黄色の戦車、灰色・茶色・赤の3色成形の日本の軍艦、きれいなボディー色と銀メッキパーツを組み合わせた自動車みたいなキットは普通だし、昔にあったカブトムシとか扇風機のプラモとか、ニチモの楽器とか、塗らないことを前提のキットもいっぱいある。いやいや、ガンダム系や自動車プラモで「塗らなくてOK」は、劇的な進化を続けている。



  飛行機はそのなかで特殊な領域だと思う。飛行機模型はプラモデル以前に、木を削って造形するいわゆるソリッドモデルがあった。これは色塗りが必須だったから「塗らなくていい」は、プラならではの特色をいかした作り方だったといえる。だからこそプラの色をそのまま活かした「塗らなくていい」は、1970年初頭までの「モデルアート」誌や航空情報『プラモ・ガイド』に堂々と書かれていたのだ。いや、零戦21型は灰色プラ、52型は緑色プラ、ジェット機は銀色だった時代は、そんなに昔ではない。最近は実機色と無関係な灰色キットが多くて、つまらない。
 現代のキットならば、やすやすと組める。50年前のフロッグのキットの場合、そんなに簡単ではない。基本的にガタガタだし、なぜかハセガワとの提携品は事後変形が著しい。でも、塗らない飛行機プラモが堂々と存在していた時代の、黒いキットで組んでみた。



 まず、中央胴体。前席は小さな板に上半身人形、後席は小さな板に単純な椅子1個と人形で終了。計器盤はないし、前脚庫から下が見える。ここに可動の前脚を挟むのだが、脚類は後で接着できるように改修した。左右パーツは事後変形が酷く、後方をあわせると前が1センチ以上開く。仮押さえしてみると変形が原因で機首が曲がる。これらをしごいたり曲げたりして矯正し、接着可能にもっていく。このキットは、前部に相当量の錘を入れる必要がある。以前に作ったときには、前脚がしなるほど入れてもフラフラと立つ限界だった。今回も相当量を入れたが、結果は☓。最後に真鍮線を挿して立たせた。
 エンジンは異常なほど小さく、接着場所も分らない。前に寄せて、カウリングに接着しておく。エンジン側の穴にプロペラの軸は通らない。穴を大きくする。プロペラとスピナの接着位置もあいまい。プロペラパーツに押し込んで接着剤を流したが、左右で揃わなかった。
 左右の胴もグニャっと曲がっている。中央胴体同様に、逆に捻ったり曲げたりして、なんとか接着できるように矯正。
 中央胴体に、組んだ主翼を接着。この主翼に、水平尾翼を挟んだ左右胴体を接着する。書くと簡単だが、隙間やガタと戦いながら各翼をそれなりの位置関係に収めるわけで、手品をしているような手つきになる。・・・で、どうにかする。



 基本的に本体はプラの黒のままだが、さすがに風防の枠は黒で塗る。それ以外にも、機体の内部、プロペラ先端、脚柱、翼端灯類などは、ちゃんと塗る。タイヤは接地部分を荒いサンドペーパーで削ったままにすることで、黒いプラに変化をつけた。ナイショだが、傷つけてしまって白っぽくなったところも、ちょっと黒を塗ってごまかした。
 ところで、接着の境目の段差は、削って合わせることになる。フロッグのブラックウィドウは、全身これ。削ったら、その傷は丁寧に目の細かいサンドペーパーで落とし、磨いたり、楊枝で擦ったりして、なるべく元のような表面にもどしたい。私はテキトウにやるので、傷が残っているが。
 キット付属のデカールは最初から諦め、そのあたりの余りデカールを使った。完成だ。


「なんだ、塗らなくても出来るじゃないか」と思うでしょ。そうです、出来ます。どうぞやってみてください。楽しいですよ。 でも、なるべく新しい金型のキットにしましょうね。フロッグのブラックウィドウを最初に選んではいけません。


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