Home  > NORTH AMERICAN F-100D SUPER SABRE (タミヤ・イタレリ 1/72) > 特集 イタレリ>2020年8月号

特集 イタレリ

NORTH AMERICAN F-100D SUPER SABRE
(タミヤ・イタレリ 1/72)

by 五六式(TYPE-56)



 今回は,イタレリのF-100D スーパーセイバーを製作しました。デンマーク空軍の戦車みたいな全面オリーブドラブのスーパーセイバーを再現してやろうと思っていたら・・・EXTRA DECALの,ちょうどいいのを入手できました。デンマーク空軍のマークの赤の発色がちょっと渋いようにも思うのですが,五六式の責任じゃないから,まぁ,いいや。 

<実機について>



 朝鮮戦争で活躍したF-86セイバーを発展させ,強力なJ-57エンジンを装備し,より薄く,後退角の大きい翼を装備することで更なる高性能を狙った世界初の実用超音速戦闘機。初飛行は,1953年5月で,この時、早くも水平飛行で音速を突破している。

ただし,機外兵装を装備したままでは音速を突破できず,本機の任務は,制空戦闘から次第に戦術爆撃および核攻撃に移行していった。同じJ-57エンジンを装備し,1955年に初飛行したF-8クルセイダーが,艦上機ながら更なる高性能を発揮し,制空戦闘機として働き続けたことから,この2年間の航空技術の進歩を思い知らされる。

また,三菱重工がF-86Fのライセンス生産をしていたことから,同じノースアメリカン製のスーパーセイバーにレーダーを装備させる迎撃型が,自衛隊のFX候補になったが,その時点での本機の任務が戦術爆撃であったことから採用は見送られた。

<キットについて>



 このキットは,タミヤのウォーバードシリーズからも発売されていて,実売¥800ぐらいで入手できました。ハセガワの1/72F-100Dスーパーセイバーコンボが2機組で税別定価¥3400ですから,半額以下ですね。(何!?某密林では¥70000ですと!?)

部品数は,62で,オプションパーツがあるので実質50〜60パーツぐらいです。デカールは,派手なアメリカ空軍と三色迷彩のフランス空軍と珍しいナチュラルメタルのデンマーク空軍。一番活躍したベトナム迷彩機用のデカールは入っていません。

最大の難点は,キャノピーの枠が1本多いこと。これは,復座型のF-100Fと混同しているのではないかと思われます。


 組み立て説明図や塗装図には枠があるけれど,完成写真では,枠を消しています。

 ここの処理は,世界中のモデラーを悩ませていてるようで,サードパーティーの差し替え用パーツも発売されていました。残念なことに現在,この差し替え用パーツは,入手困難です。(タミヤさん、定価が500円高くなってもいいから新しいキャノピーをつけようよ・・・。新パーツをイタレリにも供給してタミヤもイタレリもモデラーもWIN・WIN・WINではないですか?あと,転売屋に好き勝手させないために再販もよろしく。)

仮組みしてみると,主翼と胴体の接合は良好でした。水平尾翼も同様で,接着しないでも押し込むだけでフィットします。実機の胴体の後部は,チタニウム合金で,他の部分と色が変わっているし,迷彩塗装の機体は,エンジンの熱で塗装が焼けてくるので,この部分の塗り分けの際に水平尾翼を外したまま作業できるのはありがたいです。

<製作>

 精度が高くてかっちり組めるところと,ゆるゆるで位置決めがしにくいところが混在しています。作りながら,喜んだりがっかりしたり,楽しませてもらいました。


 胴体より機首先端の部品の方がわずかに寸法が大きく,段差ができてしまいます。胴体前部にシムを挟むのがよいのですが,そうすると,今度は,機首下面の機銃のパネル周りの隙間が大きくなってしまう・・・。

操縦席周りのパーツの取り付けのガイドとなる突起は,小さくて役目を果たしていません。上記のように機種周りを幅増しているのでなおさらです。ガイドの突起の代わりに厚めのプラ板を貼ってしっかり操縦席周りが固定できるようにしました。


●機首下面の機銃のパネル(部品A24)のための開口部は,歪んでいて不自然な隙間ができます。胴体左右を接着した後に,主翼下面のパーツを取り付けると,ある程度補正されますが,十分ではありません。ここの整形と部品A24のすり合わせに手間取りました(手間取っただけで結果を出せていないのが辛いところ)。部品A24は,アールが付いているのに胴体の方は平らになっています。ここの面を揃えるために胴体側に少量のパテをもって整形しました。
部品A24を接着する前に,この開口部から操縦席周りや●前脚収納部の位置の調整ができます。

おもりもこの段階で組み込むことができるので便利です。組み立て説明図では,おもりを20g入れるよう指定していますが,釣りのおもりを叩いて整形したものを先端に押し込めば,6gで十分でした(てこの原理)。ジェットインテークのパイプを再現する今風のキットだったら,おもりを組み込むのに苦労するかもしれません。
●胴体後部下面の謎のアウトレットのふた(部品B10)は,どう組み込むのか,組み立て説明図からはさっぱり読み取れません。閉位置にするためには,作動肢の部分を削り取ったり,胴体の開口部を整形したりすることが必要で,結構面倒です。世界の傑作機の写真を見ると,駐機状態のときや離陸のときに開いているようです。


前/主脚収容部のカバーの一部は,プラ板で閉状態のものを作って収容部の塗装を保護しています。全面銀塗装の場合は,必要のない作業ですが,イタレリのキットでべトナム迷彩の機体が作りたくなったら,この自作パーツが再び役に立ちます。

右を向いて左を向いたら,手のひらの上にあったエアブレーキのアクチュエーターが1個なくなっていました。これは,エアブレーキを閉めておけという天の声なので従いました。エアブレーキをきちんと閉めるためには,多少の削り合わせが必要(前部のステーを細くする。後部のへこんだ部分を少し削って広げる。)です。

<完成>


 デカール保護のためにトップコートをかけたら,連日の雨の影響で思いっきりかぶってしまいました。ショックに負けずに,全面タミヤのアクリルXF-62(オリーブドラブ)をごく薄く希釈したものでウォッシングしたら何とか見られるようになりました。元々が戦車みたいなのにますます戦車らしくなってしまいました。


 主翼上面のウォークウェイのデカールが思いっきりシルバリングをおこしていました。デカール乾燥後、マークソフターを乱用してちょっとましなレベルに持って行きました。


 攻撃機は,この角度からみると迫力があります。爆撃される側からみれば,「冗談じゃないョ。ぷんすか」でしょうが。



 ここのところ,ライトニング作って,Mig-15作って,Mig-19作って,Mig-21作って・・・こいのぼりばっかり・・・。



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