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  スピットファイア(エアフィックス 1/72)

  by 加藤 寛之

「スピットファイア」という商品名が大胆だ。何型でもない、「ゼロ戦!」という言い方と同じだ。じゃあ何型かっていうと、私も気にしない。
この商品、エアフィックスがバトルオブブリテン何周年とかで製造した、昔の製品に似せて袋入り・青色成型で作った記念キット(らしい)。本Web誌2010年9月号で私がキット紹介記事を投稿したのだが、そのキットを作ってみた。
 理由は簡単で、アカデミー48のスピットファイアで「楕円翼の感じが物足りないが、だれが見てもスピットファイア。それでいいじゃないか」とか書いてもホントは許せず、「こっちはいいぞ」となったワケ。このキットは楕円翼を分かっている、と知っているのだ。



 コックピットは、床板+椅子+お人形さん=終了、の簡単さ。しかも、左右を接着した胴体下面側から入れられる。私はプロペラを固定するので、つまり、すぐに胴体左右を接着できる。これは超手軽でいい。
 主翼は、胴体に左右一体の主翼下面をつけ、その後に上面をかぶせるという、ちょっと面白い組み順になる。しっかりと翼厚をとる工夫だと思う。(1)胴体と主翼下面後部を瞬間接着剤でガッチリつける。(2)機首下面を瞬間接着剤でガッチリつける。(3)胴体とつかないように、主翼下面パーツに上面をガッチリつける。(4)上反角をつけるようにマスキングテープを翼端>胴体上面>翼端へ張る。(5)流し込みタイプ接着剤をフレット部分に流す。(6)一晩おく。…で、接着終了。ちょっと面倒。仮組みで微調整も必要だった。まあ、この時代のキットは、全部そうだけど。それと、エアフィックス共通の難点で後縁が厚い。下面から削り上げて薄く見せてOKとする。
 水平尾翼はちゃんとつくけれども、今日のキットのようにはならず、それなりの隙間がある。そこで、十分にたっぷりとビン入り接着剤をつけて差込み、ブチュ~~とはみ出させる。それを流し込みタイプで溶かして整形する…と、それなりになる。
 風防は胴体とそれなりに合う。脚柱はカバーと一体でお手軽。尾輪は丈夫。プロペラはとてもいい感じ。下面につける冷却器なんかも、模型的は手軽さで精密感はないがいい感じ。何も考えずに組めばすむ。



 塗装。細部はほぼ指定なし。雲形迷彩は胴体左右面の図があるので安心。塗装は筆塗りで、まずダークアースをテキトウに上面全体に塗ってしまい、ダークグリーンはテキトウに塗り重ねる。テキトウとは、プラの地色が透けているとか、緑のなかに茶が残っているとかだ。このテキトウが大事で、それが雰囲気というか味というか、機械的でない面白さをつくる。 デカールは上質。胴体マークの貼り位置指定が怪しいくらいだ(結構、ひどい)。デカールはすばらしいことに基本的なものしかない。貼り始めると、すぐに終わる。雑誌掲載の写真では細かいのは映っていないから、これこそ実感だ。しかもデカールにはお好みで、翼上面用に太い黄色フチ付も用意してあった(私は指定通りに貼った)。
最後に缶スプレーのクリアを軽く吹いて仕上げとした。



 古いキットで、いかにも古いですという外観だ。でも、いいものはいい。楕円翼に胴体を載せた形になっている。似て非なるキットは、半分に切った楕円翼を胴体左右につけた形をしている。後縁側も、切れ上がった胴体下面と取付角のために低い位置にある主翼との不整合を逆ガル型に整形した強引さを、誇張気味に再現している。 私には、古いとか、凸線だとか、隙間があるとか、そんなことはどうでもいいことで、このこだわりの再現がたまらなくいいのだ(賛同者は圧倒的少数派だとは思いますが)。



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